新作では鈴木京香をプロデュース、“芸人”音楽プロデューサー藤井隆「芸人のクセに」が「芸人だから」に
楽曲は藤井がイメージする鈴木京香と“ムード”が近いクリエイターに依頼
音楽作品での歌唱はもとより、作詞の才能を鈴木から引き出したことも大きい。
「本を出版なさっていて読ませていただいたのですが、お人柄そのままに素敵な本でした。今回の作詞では『この言葉を選ばれるのか』『このメロディーでこの言葉なんですね!』という楽しい発見や驚きがふんだんにありました。写真や美術にもお詳しいんですが、いろんなきれいな色が混ざった絵画的な歌詞に仕上げてくださって、それも淡い色ばかりではなく、驚くほどビビッドな色もある印象です。ぜひ歌詞も楽しみにしていただきたいです」(藤井)
いろんなジャンルの仕事に「戸惑う時もありました」
音楽も昔から聴くのはずっと好きではありましたが、まさか自分がやるとは思っていませんでした。当時保守的な私に、会社の人はなぜかいろんなジャンルの仕事をチャレンジさせようとしてくれました。吉本新喜劇以外の演技の仕事もそうでしたが、それぞれの現場では育てようとしてくださる優しく厳しい監督さんやスタッフさんにお世話になることが多く、自分が器用にパパッと出来ないのでしごいていただくことも多かったです。自分の尊敬する芸人さんはなんでもパッとできる方々なんですが、自分は上手くできなくて、そんなことが続くと『なぜ不得手な仕事ばかりやらそうとするのだろう』と拗ねる時もありました」(藤井)
「音楽番組や音楽雑誌に呼んでいただいた時に、『芸人なのになんでCDを出すの?』という質問から始まるんですが、パーソナリティやライターさんに『芸人のくせに』と言われたこともありました。昔からレコードを出していたり、楽器を演奏する芸人さんもいたりするのになぜそう言われるのかわからず、それは『藤井のくせに』のところを『芸人のくせに』と言われているのかと思いなんだか辛く感じたり、熱意を持って携わってくれている音楽のスタッフさんに申し訳ないなと思った時期もありました。音楽活動をしていない間は忘れていたのですが、後に再開する際にノーナ・リーヴスの西寺郷太さんから『笑いはリズムやテンポが大切ですよね、芸人さんと音楽は近いところにあるんですよ。昔から芸人さんが演奏したり、歌ったりするのは、特別不思議なことではないんです』と教えてくださって。なるほど、別にいいんだ!と思えました」(藤井)