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AKB48衣装を学校制服へ オサレカンパニー社長が語る制服ビジネスの可能性

 2005年12月のAKB48発足以来、AKB48グループの衣装制作やスタイリング、ヘアメイクを担い、2013年3月に分社化。その経験と実績を活かした学校制服ブランド「O.C.S.D.」を立ち上げ、今春には全国5校の中・高校に「O.C.S.D.」の制服が導入された。オサレカンパニー代表取締役の内村和樹氏が、エンタメから教育、地域発展まで、新たな制服ビジネスの可能性や今後について話を聞いた。

AKB48の衣装の発想は、学校制服にも適用できる

――この春、御社が新たに立ち上げた学校制服ブランド「O.C.S.D.」(オサレカンパニースクールデザイン)が全国5校の中・高校に導入されました。AKB48グループの衣装で知られる御社が学校制服に参入した理由を教えていただけますか。
【内村】 弊社はAKB48が発足した05年12月以来、AKB48グループの衣装制作やスタイリング、ヘアメイクを担っており、分社する前と合わせると、昨年末に通算11年を迎えています。今後はこれまでの経験と実績を発展させた新規事業に挑戦していく意向で、その1つが学校制服です。そもそもAKB48グループの象徴的な衣装は学校制服がモチーフですので、原点に回帰するイメージでした。

――しかし、アーティスト衣装は個性を輝かせるもの。かたや学校制服は規律が重んじられます。そこには真逆の発想が求められそうですが。
【内村】 まず大前提として、O.C.S.D.は学校制服業界の最大手の1つである明石スクールユニフォームカンパニー(以下、明石S.U.C.)さんと弊社の協業によるブランドです。また、学校もアイドルグループも「1 人ひとりの輝き」と「集団美」が共存した場であるという意味では、弊社がこれまで追求してきたこととは、さほどかけ離れてはいないと思っています。もちろん学校制服についての考え方は明石S.U.C.さんから勉強させていただいていますが、弊社のデザイナー陣も違和感なく取り組めています。

――実際の手応えはどうでしたか?
【内村】 例えば第1弾で採用していただいた中で唯一の公立高校である熊本県立芦北高校は、入学者が前年比で約7割増加したそうで、母数が少ない上での数字とはいえ、大きな手応えを感じていただけたようです。ちなみに同校は芦北町唯一の高校で、少子化による生徒数の減少という課題に直面していました。そこで同校は、町から支援をいただき、HKT48のメンバーが芦北町の親善大使に着任して入学式にメッセージを寄せるなど、町ぐるみでO.C.S.D.を活用した盛り上げ施策に取り組まれています。

――若者の流出を食い止めたい自治体は日本全国にあるだけに、芦北町の成功例は大きいですね。
【内村】 弊社としても、制服が地域発展を担う効果があるという勉強をさせていただいた貴重な事例となりました。やはり単にオーダーにお応えしたものを作るだけでなく、相手が喜んでくれる付加価値を提供できると嬉しいですし、また常に期待以上の周辺付加価値の提供を意識できるクリエイター集団でありたいとも思っています。

膨大な場数を踏んできたタフなスタッフが社の財産

――直近の御社の仕事としては、この3月に発売された書籍『AKB48衣装図鑑』も話題になりました。
【内村】 2005年からの約11年分のシングル衣装1102着を収録した、弊社の社史のような本になりました。現在は、国内AKB48グループの衣装を中心に年間3000着以上を制作し、すべての衣装を全国各地にある倉庫で保管しています。また、制作だけでなく、スタイリストやヘアメイクの現場対応、衣装を作った後のメンテナンス保管まで、衣装に関わるすべての業務及びヘアメイクをワンストップで手がける体制が整っているのが弊社の強みです。

――もともと御社はAKS の衣装部とヘアメイク部に始まり、2013年にオサレカンパニーとして独立されました。どのような意図から、衣装とヘアメイクに特化した会社を分社したのですか?
【内村】 AKSは設立以来、アーティストマネジメントから劇場運営、興行運営、舞台制作、楽曲制作、グッズ販売、デジタルビジネス、キャスティング、そして衣装制作やヘアメイク等々とエンタメビジネスに必要な360°のビジネスを展開してきました。そうした各機能の中で、より専門性を高めて成長できる可能性がある1つの事業領域として衣装とヘアメイク部門が分社されました。AKS本体から分かれて以降は、AKB48グループ以外のアーティストさん、クライアントさんの衣装制作、スタイリング、ヘアメイクを手がけさせていただくようになりました。

――御社のアピールポイントはどんな点にありますか?
【内村】 何と言っても、膨大な場数を踏んできた経験ですね。制作してきた衣装の量はもちろん、AKB48グループは毎日のように劇場公演があり、コンサートともなればステージに上がるメンバーは300名にも上ります。その舞台裏で11年間、絶え間なくスタイリングとヘアメイクをやってきましたから、弊社のスタッフはとにかくタフですよ。また、ステージ衣装は、特殊クリーニングも必要ですし、衣装管理そのものも、非常に専門性の高い業務もこなしてきました。こうしたノウハウを他のアーティストさんにもぜひ活用していただきたいとご提案しています。

制服による場作りを通じて人が輝くお手伝いをしたい

――ところで内村さんはオサレカンパニーの代表取締役の前には、どのような役職に就いていたのですか?
【内村】 私は大学卒業後しばらく外資系IT企業でエンジニアとして働いていたのですが、当時からエンタメビジネスに興味があり、縁あってSKE48の立ち上げに携わらせていただいたことが、この業界に入るきっかけとなりました。今は、衣装・スタイリング・ヘアメイクの業界にいますが、以前から業界自体に身を置いていた訳ではないので、今も必死に勉強中です(笑)。ただ、ビジネス視点で見ると、一面的にはオサレカンパニーは受託の会社ではありますが、志向としてはイニシアチブがあるコンテンツホルダーの立ち位置を目指す必要があると考えています。

――O.C.S.D.の立ち上げもその第一歩なのでしょうか。
【内村】 そうですね。実はO.C.S.D.の立ち上げ以前にも学校制服を手がけたことはありましたが、ブランド化したことで単発案件ではない、企業の1つのアセットになりました。同様に単発案件として、企業制服を手がけたこともありますが、こちらもさらに実績を重ねてコンセプトを固めた上で将来的にはブランド化をし、アセットに加えたいと考えています。

―― 一般アパレルではなく、あくまで制服にこだわるのはなぜですか?
【内村】 弊社のミッションは「人を輝かせるお手伝い」とうたっていますが、一般アパレルの世界にはすでに人を輝かせている諸先輩方がたくさんいますから、現状では、正面から新規参入しても勝算はないかと考えています。それよりむしろ、輝きたいけど輝けない悩みを抱えた方々に対して、弊社の培ってきたコンセプトの1つでもある「360°カワイイ&カッコイイ」のノウハウをまずは制服という領域で提供して尖ったほうが、オサレカンパニーらしさを発揮できると思うんですよ。

――「制服がダサい」という声は、まさに輝きたいけど輝けない生徒たちの悩みを象徴していました。
【内村】 おっしゃる通りです。しかし知れば知るほど、日本の学校制服は素晴らしいですよ。アジア諸国でも制服がある学校はありますが、日本の学校制服と形は似ていても概念がまったく違い、ほぼ既製服に近いものなんです。日本の学校制服は1人ひとり採寸もあり、いわばフルオーダーが基本なので、個々を輝かせることができるんですね。将来的にはこうした日本の学校制服の価値観を持って、O.C.S.D.を海外展開することも構想しています。その際には、海外のAKB48グループをアイコンにできたら強いかもしれませんね。

――制服を柱に据えたことで、エンタメから教育まで硬軟織り交ぜた事業の可能性が広がったわけですね。
【内村】 さらに言えば、衣装やヘアメイクが必要とされる場を生み出すことからできる会社になるのが理想です。そもそも弊社は、コンサートの企画段階から入って演出提案をすることで、衣装制作やヘアメイクを受託するケースもあります。ですので、場を生み出すことの重要性は常に意識しています。この発想を芦北高校の事例のような地域活性や、企業制服であれば、そもそもの労働環境整備など、さまざまな場作りの段階からお役に立つことが恒常的にできれば、もっと面白い会社になると思っています。

(文:児玉澄子/写真:ウチダアキヤ)

内村和樹氏(うちむら かずき)
株式会社オサレカンパニー 代表取締役
1975年12月三重県生まれ。理工系大学を卒業後、外資系IT企業に入社。14年5月、AKSにて事業統括を経て、オサレカンパニー代表取締役に就任。就任後、明石スクールユニフォームカンパニーと共同で学校制服ブランド「O.C.S.D.」を立ち上げるなど、衣装・ヘアメイク領域だけに留まらない業界イノベーションを目指し、現在に至る。

提供元: コンフィデンス

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