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アニメファンからの支持も集めるSTEREO DIVE FOUNDATION 新曲は進化系EDMで新境地

 WEB小説投稿サイト「小説家になろう」で7億PV(ページビュー)を突破し、伏瀬氏による同名人気小説のコミカライズで、コミック、小説、スピンオフ作品などの関連書籍のシリーズ累計発行部数で2,000万部を突破(2020年9月現在)するなど、多くのファンを獲得している『転生したらスライムだった件』。今や日本を代表するエンターテインメントになった“転スラ”のアニメ第2期(TOKYO MXほか、2021年1月〜)のエンディング主題歌「STORYSEEKER」を手がけているのが、STEREO DIVE FOUNDATION(以下SDF)だ。

美しく流麗なピアノ、軽快なギターのカッティング これまでにはない新しいアプローチを見せるSDF流のエレクトロ・サウンド

 NEWS、Lead、ももいろクローバーZといった数多くのアーティストへの楽曲提供、『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rhyme Anima(TOKYO MXほか)、『刀剣乱舞-花丸-』(TOKYO MXほか)等アニメ作品のBGM・主題歌を手がけるなど、幅広いフィールドで才能を発揮しているR・O・Nによるサウンドメイキングプロジェクト、SDF。2013年の活動スタート以来、アニメ『境界の彼方』(TOKYO MXほか)のエンディング主題歌「Daisy」、『ノブナガ・ザ・フール』(テレビ東京ほか)エンディング主題歌「AXIS」、『GANGSTA.』(TOKYO MXほか)のオープニング主題歌「Renegade」、『食戟のソーマ 神ノ皿』(TOKYO MXほか)オープニング主題歌「Chronos」などをリリースし、アニメファンを中心に絶大な支持を得た。昨年11月には、TVアニメ『憂国のモリアーティ』(TOKYO MXほか)エンディング主題歌「ALPHA」をリリースし、話題を集めている。

 ギターロックからEDMまで幅広い音楽性を備えたSDFだが、その中心はアタックの強いビートと派手なサウンドを軸にしたエレクトロ。高揚感に溢れたトラックとポップなメロディ、近未来的なサウンドメイクは、「ALPHA」にも存分に発揮されていた。

 SDF流のエレクトロ・サウンドを追求してきたR・O・Nだが、新曲「STORYSEEKER」では、これまでにはないアプローチを見せている。美しく流麗なピアノ、軽快なギターのカッティングにEDMの進化型と称すべきトラックを融合させたサウンドは、The Chainsmokers 、Kygo、MADEON、Porter Robinsonといった海外のダンスミュージックともリンク。10年代後半に生まれたADM(Acousitc)の潮流に連なる楽曲に仕上がっているのだ。

メロディーメイカーだけじゃない R・O・Nのボーカリストとしての進化も見どころ

 生楽器の響きを取り入れることで、メロディメイカーとしての資質がさらに押し出されているのも「STORYSEEKER」の聴きどころ。切なさ、高揚感を同時に感じさせながら、サビに入った瞬間に気持ちよく解放されるメロディは、きわめてドラマティック。まるでロードムービーのように展開されるのだ。
 
 アニメ『転生したらスライムだった件 第2期』(TOKYO MXほか)のストーリーと重なりながら、この時代を生きる全ての人の感情に訴えかける歌詞にもぜひ注目してほしい。大切なもの、大切な人を失い、世界が終わったかのような喪失感を抱えた“僕”が、“君”のために生きることを決意し、愛と希望を持ち、物語を先に進めようと決意する――ここで描かれているストーリーは、先が見えず、閉塞感で埋め尽くされている現状に対して一筋の光を与えてくれる。そう、「STORYSEEKER」は、アニメソングという枠を超え、普遍的なメッセージを放っているのだと思う。

 壮大なストーリー性、真摯なメッセージをたたえた楽曲の本質をしっかりと描き出すボーカルも素晴らしい。ダンスミュージックとしての盛り上がりをキープした状態で、言葉の一つ一つに豊かな表情を与え、リスナーに語り掛けるように歌う。「STORYSEEKER」によってR・O・Nは、ボーカリストとしてさらなる進化を遂げたといっていいだろう。
 1月28日にはMVも公開された。まず映し出されるのは、都会の川辺の側を歩きながら、軽快なビートとともに「STORYSEEKER」を気持ちよさそうに歌うR・O・Nの姿。楽曲が進むにつれて、映像に様々なエフェクトが加わり、バーチャルとリアルが一体感した世界観を描き出している。“生身のしなやかさ”と“テクノロジーを駆使した演出”を共存させたこのMVはそのまま、楽曲のアレンジやコンセプトに直結している。

 前作「ALPHA」からYouTubeの公式チャンネルをオープンさせるなど、確実に活動の幅を広げているSDF。サウンドアプローチ、歌詞のメッセージ、ボーカリゼーションを含め、新たな表現の扉を開いた「STORYSEEKER」によってSDFの音楽世界は大きく広がりことになるだろう。
(文/森朋之)
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