(更新: ORICON NEWS

“同業者”からも注目されるGLIM SPANKY、ブレイク必至のワケとは

 男女2人組の音楽ユニット・GLIM SPANKY(グリムスパンキー)の活躍が目立っている。昨年7月発売のアルバム『Next One』では初のTOP10入りし、デビュー当初から業界内でも注目されていた。まるで洋楽のロックを聴くようなスケールの大きなサウンド感とハスキーボイスは、桑田佳祐や佐野元春などの大御所アーティストを筆頭に、みうらじゅんら多くの著名人に愛されている。ブレイク目前と言われるGLIM SPANKYは、なぜ“同業者”から支持され、幅広い世代に親しまれているのだろうか?

確かな演奏と音楽性で、佐野元春やみうらじゅんら著名人も絶賛

 GLIM SPANKYは、松尾レミ(Vo&G)を中心に同じ高校に通っていた亀本寛貴(G)らと長野県で2007年に結成。活動早々から周囲からの評価が高く、2008年にはソニーミュージック主催の『ロック番長』で優勝、2009年には10代アーティスト限定のフェス『閃光ライオット』のファイナリストに選出。2010年から現在の2人編成になるが、勢いは衰えることなく2014年に1stミニアルバム『焦燥』でメジャーデビューを飾った。

 メジャーデビュー前から注目を集めていたGLIM SPANKYは、諸沢利彦監督のドキュメンタリー映画『ROAD SIDE#2010』へ出演、亀田誠治主催のイベント『子亀祭』に出演した経験があるなど、「同業者評価」が極めて高い。佐野元春は、『大谷ノブ彦キキマス!』(ニッポン放送)出演時に、気になる新人としてGLIM SPANKYを紹介。このほかアーティストでは、ストレイテナーのホリエアツシとはプライベートでも親交が深い。同世代のハマ・オカモト(OKAMOTO’S)は、MCを担当する番組『FULL CHORUS』内でGLIM SPANKYをレコメンドし、GLIM SPANKYの楽曲「焦燥」ではサポートベースとしても共演。

 2015年には、ニコニコ生放送で放送された『輝け! 第18回 みうらじゅん賞』で「みうらじゅん賞」を受賞。みうらじゅんの独断によって選考・贈呈される同賞で、GLIM SPANKYとともにダウンタウンの松本人志も同年に受賞している。みうらは「GLIM SPANKYの活躍を見ていて、今後賞とかいっぱい獲っちゃう前にあげなきゃと思って」と彼らしい笑いも交え、高く評価していた。また、リリー・フランキーはアルバム『SUNRISE JOURNEY』で「いやいや、歴史的な新人でしょ、この凄さ。そっちから言われなくても、褒めますよ! あんたら、ヤバい!」とコメントを寄せている。アーティストだけでなく文化人など、多くの著名人に愛されている。

懐かしさと新しさが同居したサウンドは、世代問わず愛される

 多くの業界人を魅了するGLIM SPANKYの音楽とは、どんなものなのか? 大きな特徴として、1960年代〜70年代の洋楽のロックとブルースを基盤にしていることが挙げられる。ほとんどの作詞作曲を手掛ける松尾は、影響を受けたアーティストとして、ビートルズ、ザ・フー、レッド・ツェッペリン、ジミ・ヘンドリクス、ジョニ・ミッチェルなどを挙げ、亀本は他にニルヴァーナ、ガンズ・アンド・ローゼズ、オアシスなどからも影響を受けたという。名前の挙がったほとんどが、ギタリストが主役級のバンドばかり。実際に亀本は、泣きのギターソロと呼ばれるようなエモーショナルでブルージーな演奏が魅力だ。そこには若いときにバンドをかじったサラリーマンが、慌てて押し入れからギターを引っ張り出したくなるような、往年のロックスピリットを感じさせる。また、ジャニス・ジョップリンを彷彿とさせる松尾のハスキーなボーカルも大きな魅力。爽やかなハイトーンボーカルや、R&Bテイストの憂いを持ったボーカルがもてはやされる中で、そうした歌声に辟易としていた音楽ファンが、パンチの効いた松尾のボーカルに食いついた。

 今若手として活躍する20代のバンドの多くは、バンドを始めたきっかけになったバンドとして、BUMP OF CHICKENやASIAN KUNG-FU GENERATION、ELLEGARDENなど2000年代以降のJ-ROCKを挙げる。もちろん松尾や亀本もそれらのバンドのファンではあったが、そこからさらに洋楽のブルースやロックへと遡り、そこに魅力を見いだしたところに彼らの音楽性の奥深さが垣間見える。一世代飛び越えたところに、懐かしさと新しさが同居したサウンドを生み出すカギがあったのだ。また、個性的なバンドが目立つ今の音楽シーンにおいて、懐かしさも共存する彼らのサウンドは、ブルースや往年のロックスターと共に時代を生きた世代、そこに新しさを感じる若者と両者の心をくすぐる。前述の通り、それは業界内でも同じことが言える。

 GLIM SPANKYの魅力は楽曲だけでなく、確かな演奏力とステージングでライブにも定評がある。大型フェスにも引っ張りだこで、『JOIN ALIVE』や『FUJI ROCK FESTIVAL』、『SWEET LOVE SHOWER』などで多くの観客を沸かせた。60年代ファッションで身を包み、リッケンバッカーのギターをかき鳴らしながら、客席を睨み付けるように歌う松尾。魂を削るかのような歌声は、聴いた瞬間に惹きつけられる。亀本は、ステージ最前まで出て行き、俺のギターを聴けと言わんばかりに弾きまくって観客をあおる。ロックな楽曲だけでなく、バラード調の楽曲では松尾の歌声の魅力をダイレクトに感じ、より深みがかったサウンドを体感できる。3月11日には、東広島芸術文化ホールくららで待望のワンマンライブも開催される。歌声とギターで彼らの世界に引き込み、世代を越えて楽しめるライブは、ぜひ一度見てもらいたいものだ。

(文:榑林史章)

【動画インタビュー】「王道だけどB級」“マスもコア”も魅了するワケとは?

ライブインフォメーション

【開催日時】3月11日(土) 開場17時30分 / 開演18時
【会場】東広島芸術文化ホールくらら 大ホール
【入場料】
前売:くららフレンズ3,500円 / 学生3,500円 / 一般4,000円
当日:くららフレンズ4,000円 / 学生4,000円 / 一般4,500円
【お問い合わせ先】
東広島芸術文化ホールくらら チケットセンター 電話:082-426-5990
(※お問い合わせ対応時間は、平日および土・日・祝日10時〜19時)
※全席指定
※学生は大学生以下
※未就学児入場不可

チケット購入先はこちらから(外部サイト)

あなたにおすすめの記事

メニューを閉じる

 を検索