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ORICON NEWS
【連載 1】SMAP解散がもたらした喪失感 終わらないことは“残酷”なのか?
5人それぞれの魅力、彼らが揃ったステージをもう見ることはできない
そして、木村拓哉の圧倒的なオーラ。私は、SMAPのライブで初めて、人間のオーラをこの目で見た気がした。それはライブ後半になればなるほど輝きを増し、天使にしてスーパースターという、なんとも罪深い存在として、全女子の心を弄んだ、あのド迫力。
それから、稲垣吾郎という存在の面白さ。可愛くて、妖しくて、でも安定感もあって、視野が広い。飛び切りカッコイイのに自虐もできて、いろんな局面にスイスイと対応していく。つい“ゴローちゃん”と呼びたくなる親しみやすさまであって、ある意味、メンバーで一番完全無欠。
さらに、草なぎ剛の優しさと一途さ。歌にもダンスにもパフォーマンスにも、恐るべき全力感が漲り、その集中度は、崇めたくなってしまうほどだ。人間が、いろんな可能性に満ち溢れていることを、ステージのたびに感じさせてくれる。42歳にしてあの“嘘のなさ”は、日本芸能界の至宝とまで思う。
トドメは、香取慎吾の“オリジナルスマイル”。あれこそ、天使そのものだ。ステージの時の彼の笑顔が放つエネルギーは、どんなに深い空洞にも届くし、どんなに凍りついた人の心も溶かす。どんな闇さえも照らす。ステージの上で、あんなに幸福感を放出できる存在を、私は他に知らない。
そんな5人のステージに、私たちはもう会えない。
中居が語った「“終わらないこと”が目標。残酷だなと思います」
私の解釈は、こうだ。
インタビューで、よく中居正広は、「マンネリと進化が大事」と話していた。私が彼のインタビュー担当になってからも、確かに年に1〜2本は、何か進化を感じさせることに、SMAPとしてチャレンジしていた。攻め続けてこそSMAP。何が引き金になったかはともかくとして、グループ内のゴタゴタが露呈してしまった状態で、ファンは、「とにかく25周年ライブを!」と切望していた。でも、考えてみれば、25周年ライブを過去のヒット曲だけで構成して、ひとつの区切りをつけたとして、ファンは満足しただろうか? 「とにかくライブだけでも」では、「マンネリでいいから」と言っているようなものだ。でも、進化がなければ、SMAPではないのである。
『笑っていいとも!』(フジテレビ系)の最終回、中居は、「ドラマは最終回、映画はクランクアップに向けて進む。“終わり”がわかっている。でもバラエティは“終わらないこと”が目標。残酷だなと思います」と話していた。
SMAP以前のアイドルグループもまた、“終わり”は目標でこそないにせよ、いつか終わりが来ることは、それぞれのメンバーの念頭にはあったはずだ。それが、SMAPの出現によって、“アイドルは終わらない”ことが普通になってしまった。でもそれは、中居が言う通り「残酷なこと」だったのかもしれない。
そうしてSMAPと私たちの最後の夏が、逝く。
(文/菊地陽子)
【連載第2回】
『SMAPにとっては“異色”だった国民的ソング「世界に一つだけの花」 』
【連載第3回】
『SMAP 9月9日デビュー25周年 記者が見た5人の真実 PART1』
【連載番外編】
『記者が見たSMAPの真実 PART2 〜中居正広と木村拓哉の素顔〜』
【連載番外編】
『記者が見たSMAPの真実 PART3 〜稲垣吾郎・草なぎ剛・香取慎吾の素顔〜』