日本の文化・芸能の保存、向上に寄与した人物を表彰する『第43回松尾芸能賞』の贈呈式が30日、都内で行われた。大賞を受賞した野村萬斎は、2002年8月から今月いっぱいまで、世田谷パブリックシアターの芸術監督を務めたことが評価されたことへの喜びを語った。 萬斎は「芸術監督として評価していただいたことが大変うれしく思います。能・狂言というジャンルと現代が行き違うので、最初は共通語を探ることに苦労をしました。狂言と現代劇の“大きい”が違ったりするので、そういうのを共通の意識にしていくのに時間がかかりながら、だんだんお互いわかってきて…。そういう意味では、世田谷パブリックシアターのみなさんに感謝したいです」としみじみ伝えた。 表現者として大切にしていることを向けられると「能楽堂でもホールでも劇場でも、基本的にはライブを中心にやっていますので、生きている人間のコミュニケーションを大切にしたいなと。やっぱり、生きている実感をお客様に持っていただきたい、喜びを感じてほしい」と熱弁。「一緒に盛り上がってね、お客様に人間としての発露を感じていただきたいですし、コミュニケーションが成り立つところに醍醐味がある気がいたします」と語った。 今後については「あしたで世田谷パブリックシアターを退任いたしますので、そこでできた時間でいろんなことをやりたい。劇作をしながらキャスターをやろうとしている人がいたりするので、新しいことを勉強していかないといけない」と三谷幸喜氏のことを念頭においてか、笑顔でコメントする一幕も。「私もみなさんに負けていられない、いろんな可能性を勉強していきたい」と声を弾ませていた。