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バンド活動が小学生の教育に

 今や地元・佐賀だけでなく、全国を舞台に活躍する“唐津の女子高生バンド”「たんこぶちん」と「がんばれ!Victory」。音楽指導を行う横井泉教諭(唐津市立浜崎小学校)の下、小学生の頃からバンド活動を始め、腕を磨いてきた。バンド活動は情操教育にもなっていると語る横井氏に、その成果を聞いた。

唐津の女子高生バンド”として活躍するたんこぶちん

唐津の女子高生バンド”として活躍するたんこぶちん

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 学生時代にバンド活動を行い、その楽しさにハマった経験のある横井氏は、「野球やサッカーのような社会体育と同様に、バンド活動を通して教育的なことも指導できたら」と考え、25年前より子どものバンド指導を始めた。「小学生がバンド?」という周囲の反応もあったようだが、今ではすっかり認知され、地域もバックアップ体制にあるという。

 今年度は、自身のクラスの生徒(7名・2バンド)を指導中だ。「楽器は私個人で準備しました。週に1回程度、昼休みに指導しています。クラブという形態ではなく、興味のある子たちの集まりとして活動しており、学校内での発表や地域のイベント出演を目標に練習に取り組んでいます」

 また、学校以外では、社会教育の一環で“音楽道場K音”というバンド教室を作っており、そこで小学生から高校生まで8バンドの活動を支援し、有志で子どもたち用のスタジオの運営も行っている。

「人は好きなことのためには、努力や我慢ができますから、バンド活動を通して音楽だけでなくいろんなことを教えられます。また、その活動自体が親をはじめ、周囲の協力によって支えられているということもしっかりと伝えていますので、挨拶や時間厳守など礼儀も身についていると思います」

 この10年で小学生のバンド活動を取り巻く環境も大きく変化した。今や唐津では珍しいことではなくなり、ライバルも増えた。インターネットの普及によって、県内外のバンドの情報が入ってくるようになったため、子どもたちの意識も変わった。動画投稿サイトで他のバンドの演奏シーンをチェックすることによって、それが刺激になりレベルアップにつながっている。

「練習やライブでは、自己満足で終わらず、常にオーディエンスを意識するように指導しています。他のバンドの演奏を
見ることで、もっと上手くなろう、お客さんを楽しませようと考えるようになりました」

 ネットにアップした彼女たちの動画指導するバンドの動画は動画投稿サイトで公開。海外からの視聴も多いには、コメントも多く寄せられる。その多くは賞賛や励まし、アドバイスなどだが、なかには中傷コメントもある。

「ネットにアップすることはメリットもありますが、デメリットもあります。ネットから得られる意見をどう捉え、取捨選択する力が必要であることも教えています」

 小・中学生の男子は音楽よりもスポーツに関心が高く、一方で女子は『けいおん!』やSCANDAL人気の影響を受けてバンドを始めるケースが多いようだが、それに加えて2つの先輩バンドがプロになったことが具体的な目標となり、学校の次にバンド活動を優先する子が増えてきているという。

 子どもたちの意識は高まり、クオリティも上がっている。この状況をさらに好転させるために、音楽業界ができることはまだまだありそうだ。その1つがテレビの音楽番組の放送時間だ。

「子どもたちは深夜の音楽番組を観ることはできません。ゴールデンタイムに増えるといいですね」

(ORIGINAL CONFIDENCE 15年3月23日号特集より)

関連写真

  • 唐津の女子高生バンド”として活躍するたんこぶちん
  • 5月20日にメジャーデビューするがんばれ!Victory
  • 指導するバンドの動画は動画投稿サイトで公開。海外からの視聴も多い

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