BLACK & WHITE、2枚同時リリースという強烈なインパクトで話題を巻き起こした『A BEST 2』は、ここまでの浜崎あゆみの足跡をしっかりとまとめあげたものだった。すなわち、それは第2章(2001年発表の『A BEST』までの流れを第1章とするのなら)の完結を意味するものであり、その観点に立って言うなら、『A BEST 2』以降のリリースとなる今作が新章の幕開けということになる。
新たなステージの始まり──そのためにインターバルが置かれた。シングルとしては「BLUE BIRD」から1年以上という期間が設けられた。1998年のデビュー以来、シングルのリリース感覚としては最も長いものとなった。もちろんその間には、名盤と称される『Secret』や前述した2タイプのベスト盤などのアルバムが燦然と輝いていて、聴き手を退屈させることはなかったものの、“浜崎あゆみの新曲”を待ち望むファンの声もまた途切れることはなかった。
そして、今年もまた、彼女の歌声がまばゆさときらめきをまとう季節である夏に、ニューシングルを耳にすることができた。「glitter」──そのタイトル通り、輝きに満ちたこの曲はいきなりサビのフレーズが始まる。新しいステージのオープニングを飾るのに、余計な演出はいらない。彼女自身の言葉と声があればいい、という僕たちの思いを受け入れるかのように、高らかな“宣誓”で幕を開けるこの曲は、「fairyland」にも似た“まっすぐさ”と、「Startin'」でも取り上げられていた“今を大事にするという思い”に満ちている。さらに付け加えるなら、カップリングの「fated」では、「HEAVEN」でも感じることができた“深い愛”を感じずにはいられないし、『Secret』の延長線上とも言える“究極の愛と運命”をギュッと凝縮した凄みすら覚えてしまう。
ここからもわかるように、新しいステージというニュアンスこそあっても、アーティスト・浜崎あゆみは不変だということだ。とかく、新しいことへと歩を進めるとき、人は新しいことに挑もうとする。それは決して悪いことではない。でも、そのためにそれまでの自分のスタンスをおろそかにするのは、どうだろうか。アーティストのなかにも、これが自分の新しいスタイルだと公言し、それまで築き上げてきたものを脇へ置いてしまう例は少なくない。ともに歩んできたファンであれば、アーティストが進化していくことを喜びながらも、そこまでの足跡を振り返ることが少なくなるのには、寂しさを隠せないだろう。
しかし、浜崎は変わらない。いや、正確には変わっているし、進化を遂げている。このシングルで言うなら、それは圧倒的なボーカリゼーションの冴えにある。「glitter」の躍動感と「fated」の重厚感。この両極端なテーマを存分に伝えながらも、2曲通して聴いたときに、分散した印象を受けないのは驚異とも言えるほど。
すなわち、浜崎あゆみというアーティストの根本は変わることなく、明らかな進化を遂げているということだ。それもこれも、彼女のスタンスには確固たる“芯”が通っているからにほかならない。その“芯”がブレないかぎり、浜崎あゆみは今後もファンとともに歩み、進化を続けていくはずだ。
(文:田井裕規)
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