前シングル「箒星」から約4ヶ月。Mr.Childrenから届けられたニューシングル「しるし」は、“好きだ”とか“愛している”という想いをただただ真っすぐに刻んだラブソングだ。
ドラマ『14才の母』の主題歌として10月初めから私たちの耳に届いている「しるし」は、彼らが今年の初めから行っている(そして現在も続いている)レコーディング作業の中から生まれた作品だ。秋に行ったthe
pillowsとの14年ぶりの“対バンツアー”でも一足早く演奏された「しるし」は、歌詞もメロディも初めて耳にする新曲だから、桜井の言葉(歌詞)もMr.Childrenが奏でる音も何の予備知識もない状態で観客は聴くことになったわけだ。Mr.ChildrenがなぜCDで発表する前に「しるし」をライブで演奏したのか・・・。それはきっと、この歌を、その時点では歌詞も知らなかった歌を、何の先入観もなく心と体で真っすぐに感じてもらいたかったのかもしれない。
ピアノの音から静かに始まり、次第に音が重なり合い、歌と共に気持ちが高まり、強さを増していく「しるし」。付き合ったばかりの恋人たちの愛の歌にも悲しい別れを迎えてしまった恋人たちの歌にも受け取れる詞は、聴き手のその時の心境や状況によって思い浮かぶシーンが変化する物語だ。彼らがいくつになってもこの曲は演り続けていける作品だと思う。その時の彼らの姿や生きかたや思いをそのまま映し出す作品として・・・。
2曲目には初期のMr.Childrenを思い起こさせてくれそうな軽快でシンプルな「ひびき」を収録。この曲は10月初めに出来上がったばかりのピカピカの新曲だそうだ。
さて、3曲目には映画『幸福な食卓』のために、すでにシングルとしてリリースされている「くるみ」がリアレンジされ、新たにレコーディングされた。昨年行った初ドームツアーのステージで演奏されていた「くるみ」のライブバージョンに近い形で収められた今回の新しい「くるみ」は、まず最初にピアノから始まり、1番を通して桜井の声とそのピアノを中心にしたアレンジの中で“言葉”が伝えられる。そして、そこにゆるやかで優しいストリングスの音色が加わり、後半はオリジナルの「くるみ」のようにバンドの音が入り、グッと気持ちを高めてくれるアレンジに新しく生まれ変わっている。シングルとしてすでに発表され、ライブでも演奏されていた曲なのに、耳馴染みのある「くるみ」なのに、とても新鮮だ。
今作に収められた3曲は、タイトルがすべて平仮名だ。しかし、それはきっと狙いがあってそうなったというものではないだろう。小さな子供でもわかる平仮名。丸くて親しみの感じられる文字。このシンプルなタイトルからは、実は様々なイメージが広がっていくだろう。“君と僕のしるし”とは一体何だろう。心に響くいちばん好きな音って、自分にとってどんな音だろう。“くるみ”って女の子の名前なのかな?それとも・・・?彼らから届けられた歌を私たちは私たちの日常の中で、自分の思いに勝手に重ね合わせていく。彼らが刻んだ思いを受け継いだりもする。Mr.Childrenの歌は、そういう存在の歌なのだということを、この3曲はあらためて教えてくれるんじゃないだろうか。
(文:松浦靖恵)