ORICON STYLE

2006年04月26日
今、ガールズ・ロックが熱い! 女性ロッカーが台頭してきた理由とは!?

ロックが与えた“革命”という名のDNAを持って生まれた

 今日のガールズ・ロック・ムーブメントを語るうえで欠かすことのできない存在といえば『NANA』に行き着く。言わずと知れた超人気コミックであり、中島美嘉、宮崎あおいの主演で映画化され、爆発的ヒットも記録した。女性ロッカーを扱った究極の成功作。この作品がマーケットに“ロック”を受け入れやすくする下地を作り上げたことは否めない。
 さらに、現在のティーンエイジャーや20代前半の人々の間にリアルタイムでの“バンドブーム”体験者が少ないことも大きい。今回ピックアップした“21世紀型ガールズ・ロック”の代表格は、その年齢層が16歳〜22歳(バンドの場合は中心人物の年齢)という若さを誇る。彼女たちがこの世に生を受けたおよそ20年前、ロックのフィールドではある象徴的な出来事が起こっていた。1987年、BOφWY解散。同じ年、THE BLUE HEARTSがメジャー・デビューを果たした。これら、日本のロック・シーンに多大なる影響と足跡を残したバンドの登場と燃焼を彼女たちの“親”は同じ世代の声として耳と心に焼き付けたのである。バンドブームは知らないけれど、バンドの熱気を身体に刻みつけられた運命。彼女たちはいわば、日本屈指のロック・バンドが与えた“革命”という名のDNAを持って生まれた存在なのである。
 90年代の“ディーバ”の時代を経て、R&B、ミクスチャーの台頭がミュージック・シーンを包んだ。いつしか、英語中心の歌詞は日本語を大事にする“伝える歌詞”へと変わってきた。日本語でロックがやりたい。『NANA』や女子高生によるバンドを描いた映画
『リンダ リンダ リンダ』などの根底に流れているのは“カッコ”ではなく“情熱”である。80年代のバンド・ブームでは雑誌を通してメンバーを募集する“メンボ”が中心だったが、現代ではメールのやり取りやネットのチャットあるいはBBSでいくらでも仲間を募ることが可能になった。音を自由に鳴らせる場所は減ってしまったが、“サイレント楽器”が彼女たちの“情熱”を守り続けた。

今のガールズ・ロック代表格は?

 モデルからロックへ。木村カエラが果たした役割も大きい。ファッションとしてのロックをやるのではなく、ロックの精神でポップなものに挑戦し続ける彼女は、音楽に線を引くことなくあらゆるトライを試みている。アルバム『Circle』にちりばめられた多彩なサウンドには進化を止めることのないカエラの溢れ出る才能が詰まっている。
 同じくモデルから音楽の世界へとステップアップを果たしたのは土屋アンナ。パンキッシュなスタンスで矢継ぎ早に新作をリリースしている彼女の次なるチャレンジは放送がスタートしたアニメ
『NANA』とのコラボレート。オープニング曲「rose」
(ANNA inspi’ NANA(BLACK STONES)名義)に心を奪われたなら、同じように彼女の魂が宿った「SLAP THAT NAUGHTY BODY」を聴けばいい。
 切れ味では上木彩矢も負けてはいない。セカンド・シングル
「ピエロ」はB’zのナンバー(「ゆるぎないものひとつ」の2nd beat)のカバー。個性の強い彼らのサウンドに負けることなく、自分の形に変えて昇華させている。恐ろしい女性ロッカーが出てきたものだ。
 バンド・スタイルでは中ノ森BANDがポップでありながらエネルギッシュなサウンドをぶち上げている。「i Need Love」は洋楽フレーバーにあふれたグルーヴ感が心地良い。バンドとしてのチームワークの良さから生まれた音楽の楽しさを実感させる作品だ。
 ZONEを経て新たな活動をスタートさせた舞衣子率いるMARIAの動向にも要注目。ツインベース&ツインボーカル、ツインギターが叩きだす自在性と広がりのあるサウンドは、バンドの面白さを僕たちに運んでくる。デビュー曲「小さな詩」のドライブ感はこれからの季節に彩りを添えてくれること間違いなし。小細工なしのストレートさが心を鷲掴みにする。
 重厚感を味わいたいのならチャットモンチーがオススメだ。3ピースとは思えない轟音ギターサウンドは文句なしにガールズ・バンドを超越した存在。身体を震わせるぶ厚い音で脳天からつま先までを直撃する。「恋愛スピリッツ」、このサウンドの“アルコール度数”は限りなく高い。
(文:田井裕規)

【過去の特集】
木村カエラ 特集&ピックアップ
上木彩矢 特集&ピックアップ
中ノ森BAND インタビュー

恋愛スピリッツ 
2006/06/07発売
KSCL-1002
CDを購入する

MARIA
MARIAの写真コメント

小さな詩
2006/03/08発売
SRCL-6243
CDを購入する

i Need Love 
2006/05/31発売
TECI-102
CDを購入する