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2005年も残すところあと1ヶ月という時期に浜崎あゆみが、“勇気”と“華美”を力強く描いた「Bold&Delicious」をリリースした。明るいニュースが少ない今の世情に、アーティストという立場を最大限に生かして勇気や元気を贈りたい、という彼女の強い“使命感”と“責任感”が伝わるナンバーだ。「Bold&Delicious」=力強く、楽しく。この曲に込められたメッセージに触れたとき、あなたは間違いなく今まで照らされることのなかった心の闇に一筋の光が射し込むのを感じ、その光によって心が穏やかに温められていくのを実感するはずだ。

すでにパナソニックD-snapのCF曲としてガンガン流れているので耳にした人も多いことだろう。そして、誰もが最初に思ったはずだ。“あゆの声がするけれど、これは洋楽なの?何かのカバー?”と。それほど今回の作品では洋楽テイストがふんだんに組み込まれている。そして、これがただの洋楽テイストではない。ゴスペルとロックを融合させた斬新なアイデアが光る、一級品の洋楽テイストなのである。イントロではロック調が色濃く表現され、気持ちの高揚と共にゴスペル調に変化していく様は聴き応え十分。また、浜崎の歌声によって引率される歌詞は、まるで教会の牧師が苦悩を抱える者に救いを与える、神聖な告知のような、非常に頼もしく清らかな言葉を思わせ、聴く者に笑みを与えずにはいられないほどだ。
ゴスペルとロックの融合という斬新なアイデアが誕生した背景には、作曲を手がけたGEO of SWE
が大きく影響している。GEOといえば、彼とTina HarrisのユニットSWEETBOXの代表曲「EVERYTHING'S GONNA BE ALRIGHT」の生みの親として有名である。「EVERYTHING'S GONNA BE ALRIGHT」は、バッハの「G線上のアリア」を大胆にヒップホップでアレンジさせた曲だ。つまり、彼はクラシックとヒップホップの融合に見事成功したミュージック・シーンの知将なのである。そして、そんな彼の才能に負けず劣らず、自分の才能を発揮しアーティストとして新境地を切り開いたのが浜崎あゆみだ。GEOを浜崎に引きあわせたスタッフのマッチメイキングの妙、そしてその“知将”との対決を楽しむかのように、真正面から切り込んでいった浜崎の果敢な言葉選びは絶妙というほかない。お互いの才能が相乗効果となり、それぞれの魅力を絶妙に融合させた二人の“神業”に脱帽だ。

音楽というものは作り手に強いメッセージがない限り、その本質を聴き手に伝えることは困難である。その点でも、浜崎あゆみの生み出す音楽には1つ1つ明確な強い意思を感じさせられる。それは彼女自身が、何よりも音楽を大切にしているからだ。そして、現状に甘んじることなく、アーティストとして成長することを強く望んでいるからだ。これほどまでにその歌声が浸透し、誰もが存在感を認めているにもかかわらず、である。今作を聴いて確信したことがある。彼女の音楽に対する情熱の灯は、そのアーティスト魂を火種にしてこれからも燃え続けていくのだろう、と。
(文:田井裕規)
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