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安倍なつみ『10年のソロ活動で出会えた自分自身とは?』

ソロデビュー以来、数々のミュージカルに出演してきた安倍なつみが、その経験を活かしたアルバム『光へ−classical & crossover−』を10月22日にリリースする。ミュージカル、舞台への出演を重ねるなか、表現力を磨き、クラシックの歌唱法も会得した安倍。同作は、こうした彼女の新たな魅力が感じられる作品となっている。

ミュージカル、芝居で学んできた経験が活かされたアルバム

――今回の作品はミュージカルの名曲が多数収録されていますね。舞台女優としても様々な作品に出演されていますが、やはりミュージカルへの思いは強いのですか。
安倍なつみミュージカル、歌がないストレートプレイのお芝居もたくさん出演させていただいてますけど、やっぱり強いですね。演技をするときに自分じゃない何者かになれているという感覚、その期間は安倍なつみじゃなくて、その役で生きられているということが楽しいし、幸せだなって思います。もちろん、演技は難しいですし、本番前はとても緊張しますけど、この役を自分の身体とこの声で演じ切りたい、という気持ちのほうが上回っています。

――では、今回のアルバムもその経験が活かされているわけですね。
安倍それは間違いないですね。ミュージカル、お芝居の経験で学んできたことを活かすことができたと思います。たとえば、歌に対する意識の変化。歌詞の世界観を理解して、主人公を“演じる”ようになったんです。1曲1曲にストーリーがあって、自分のテンションや感情、声のアプローチの仕方次第でまったく違った曲になる。今までは歌詞の世界観というよりは、リズム、ピッチとかビートを意識していたんですよ。表現ってひとつじゃなくて、いろいろあるんだなというのは、経験を通して学んできたことではありますね。今回はオケ録りから私も一緒にスタジオに入って、演奏家の皆さんと呼吸を合わせてイチから作らせていただいたんです。特にミュージカル・ナンバーは呼吸ひとつで変わるので、曲によってアプローチも試行錯誤して。本当に新しい挑戦になったと思います。

――新曲として収録されている「光へ」は作詞を平原綾香の「Jupiter」などで知られる吉元由美さん、作曲をスタジオジブリ映画『思い出のマーニー』の音楽に抜擢された村松崇継さんが手がけられていることも話題ですね。作品の第一印象を教えてください。
安倍最初に曲があがってきたときはちょうど他の曲のオケ録りをしていて、スタジオにいたんですよ。歌詞とメロディーを聴いたとき、ぞくぞくして鳥肌が立ちました。今の自分の心境と置かれている立場、新しいことに挑もうとしている気持ちを、すごく代弁してくれているんです。タイトル通り、夢とか希望とか、“光”に向かって前向きに進んでいくイメージ。生きることや人生の大切にすべきことをこの曲から教えてもらっている気がします。この曲は大切に育てていきたいと思っていたので、納得いくまで何日もかけてレコーディングしましたね。最後の最後まで妥協せず、挑ませていただきました。

自分と向き合うことでたどり着いた今の安倍なつみとは?

――作品のコンセプトも含めて、今回、様々な新しいことにチャレンジされていますが、チャレンジに対する恐怖などはあったりしましたか?
安倍それはなかったです。これ難しいなとか、不安とかはありましたけど。制作に入る前に方向性について意識統一をさせていただいたんですけど、「クラシックな世界に安倍なつみが挑戦しました!」ということでは全くなくて、モーニング娘。を卒業してから10年、ソロで様々なことを経験してきたなかで「今できる安倍なつみの表現でいいですよ」とおっしゃっていただけたので、気持ちがふっと楽になりました。

――つい最近のことのような気がしてましたけど、モーニング娘。の一員としてデビューされてからもう17年、卒業してからも10年経ってるんですね。
安倍気づけば長くてすみません(笑)。10代でデビューして、20代を過ぎて、今30代です。やっぱり年を重ねてきたなかで人との出会いやいろいろな出来事を経験して、自分も成長していきたいなって。

――より自分と向き合っていくことが必要だと。
安倍やっぱりソロになってから、アイドルと呼ばれる集団の中にいたときは経験できなかったことをやらせていただくことが多くなって、自分と向き合う時間が必然的に増えていったんです。私は何者なんだろう、今の私に何ができるんだろう、何を伝えることができるんだろうって。自分の曲もあまり聴かないタイプだったんですけど、積極的に見たり、聴いたりすることが増えましたね。

――“今の安倍なつみ”についてはご自身でどう捉えているんですか。
安倍うーん、なんだろうって思いますけど。いまだにどこかに「モーニング娘。のなっち」みたいなイメージがありますよね。自分でも「モーニング娘。のなっちはこうじゃなきゃいけない」という時期があったんです。でも、今はそこは引きずっていなくて、「私はこうです!」と吹っ切れて伝えられるようになったので、活動のスタンスが変わってきた気はします。やらなきゃいけないんだ、っていう意識から、自分がやりたくてやらせていただいているんだ、って。だから、ちゃんと結果を残していきたいなと思います。あまりの変化に、母から「びっくりして言葉でないわ〜!」と言われたりしましたけど(笑)。

――自分の足で歩き始めたわけですね。
安倍ライブでも、これが私らしいステージなんだな、というのがだんだんつかめてきて、今回のバンド編成はこうしましょう、じゃあこのタイトルで、だったら衣装はこれで、とか、客観的な面も持ちつつ自分は何がしたいかみたいなことを、うまくバランスを取って表現できるようになってきました。もうつんく♂さんプロデュースではないですし誰もいないですからね(笑)。コミュニケーションを取りながら、自分をプロデュースさせてもらってます。

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(写真/尾鷲陽介)

「光へ」MV−YouTube ver−

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