ORICON STYLE

春独特の心境を表現できればいいな

――新曲は映画『名探偵コナン 11人目のストライカー』の主題歌ですが。映画側からはどんなリクエストがありましたか? 【山下穂尊】 タイトルが“11人目のストライカー”ということでサッカーがテーマであるということと、バラードではなくミディアムテンポのものにしてほしいっていう、ざっくりとした程度で。あとは僕なりに(映画に)寄せすぎず引き過ぎず、僕たちらしさも失わないように書きました。
【水野良樹】 この曲は頭でポンと掴む感じが山下の曲では珍しい。でもAメロBメロはどんどん言葉を詰めていく彼らしい譜割りになっていて、キャッチーな感じと山下独特のものが両立していてすごくいいなと思いました。
【吉岡聖恵】 デモの段階ではテンポがもっと遅くてむしろフォークっぽい印象だったよね?でも、映画に寄ってテンポを早くしたりアレンジを変えたことで和風だけど、ロック色が強いっていういきものがかりらしい部分が出せたかなと。歌詞も<いつか僕ら大人になる そして出逢える>の部分とか本当は大人なのに子どもにされているコナン君とリンクするし、でも曲単体で見ても出会いと別れっていう春ならではの不安定な関係性を描いていて。誰もが通る普遍的なこと歌っているんですよ。

――その出会いと別れも単純に“君”と“僕”の別れとも取れるし、子ども時代の“自分”との決別とも解釈できて。いろんな状況が思い浮かびますよね。 【山下】 そこはあえてカチッと決め込まないで抽象的に書いたので。ただ僕個人としては小学校のときに仲のいい子が転校しちゃったっていう自分の経験も含まれていて。そんな別れと出会いの切なさと、メロディーが持っている切なさの按配がこの曲はいいバランスで出せたんじゃないかな。
【吉岡】 私もそういう切なさを感触として伝えたくて、1つひとつの言葉にこだわらないで駆け抜けるように歌ったんですよ。そこから力強さはあるけど儚さも頼りなさもあるっていう春独特の心境を表現できればいいなと。あと空の青の濃さとか風の色とか、曲が醸し出している季節感みたいなものも聴いている人それぞれに感じて欲しかったので、あえて無色透明になって自分を出さないように歌うことを心がけました。

子ども時代の決れ&決別エピソードは……

いきものがかり

――それは感情より感覚というか、曲を五感で捉えて歌ったっていうこと? 【吉岡】 今回は特にそうですね。あとはテンポが速くてどんどんいっちゃう曲だから、1個1個の言葉に感情を込めている時間がなかったっていう(笑)。結果的に細かいところにこだわらないで、曲全体の空気感みたいなものをそのまま歌えたと思います。

――では最後に、そんなこの曲のテーマにちなんで子ども時代の別れ、もしくは“あれが子ども時代の決別だった”と思うエピソードを教えていただけますか。 【水野】 僕は中学3年生のときに、先生とケンカして野球部を辞めてしまったことがあって。当時の僕にとっては小さい頃から好きだった野球を辞めたことがすごくショックで、初めての挫折というか。思い通りにならないこともあるだなっていうことを感じたのが今、思えば子ども時代の終わりだったのかなと。
【山下】 僕は18歳の頃に世界中を一人旅したとき。いろんな人に出会ったんだけど、そのなかには、30歳で子どもっぽい人もいれば高校生でもすごくしっかりした子もいて。人は年齢じゃなくてそれぞれの価値基準で判断していいんだって気づいたときに、自分は大人になったなって思いましたね。
【吉岡】 私は中学の頃、バンドをやりたかったのに勇気がなくてできなくて。男子2人が文化祭でTHE BLUE HARTSを意気揚々と歌っているのを見て、すごく悔しかったことがあったんです。でもその悔しさがあったからこそ、高校ではバンドをやっていきものがかりにも出会えて。振り返ると“子どもだった自分”に決別できたのはこの頃だったのかなって思いますね。

(文:若松正子)

RELEASE

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いきものがかり
2012/04/25[シングル]
価格:\570(税込)
エピックレコードジャパン
品番:ESCL-3875

PROFILE

いきものがかり
吉岡聖恵(Vo)、水野良樹(G&Vo)、山下穂尊(G&Har)によるスリーピースバンド。
1999年2月、高校の同級生だった水野と山下によって結成。
水野・山下が小学1年生の時、一緒に“生き物係”をしていたことからバンド名が決まる。同年12月、同級生の妹である吉岡が加入。地元である海老名・厚木を中心にライブ活動を行う。
2006年3月15日、シングル「SAKURA」でメジャーデビュー。『DENPO115』CMソングに起用され大きな反響を呼ぶ。
2007年3月7日、アルバム『桜咲く街物語』をリリース。
2008年2月13日、アルバム『ライフアルバム』をリリース。
2008年12月24日、アルバム『My song Your song』をリリース。
2009年12月23日、アルバム『ハジマリノウタ』をリリース。
2010年11月3日、ベストアルバム『いきものばかり〜メンバーズBESTセレクション〜』をリリース。シングル・アルバムを通じて初のミリオンを達
2012年2月22日、アルバム『NEWTRA』をリリース。
2012年4月25日、シングル「ハルウタ」をリリース。

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BACKNUMBER

■アルバム『NEWTRA』インタビュー
 『音楽と向き合う姿勢から3人の立ち位置とは?!』(2012/02/22)
■シングル「歩いていこう」インタビュー
 『ドラマ主題歌の新曲は、感涙のミディアムバラード!』(2011/11/22)
■シングル「笑ってたいんだ/NEW WORLD MUSIC」インタビュー
 『制作期間中の心境の変化――葛藤を伴った新曲とは?!』(2011/07/20)

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