- ――マガジン仕様という発想は、どんなところからきたものですか?
- 【黒木】 2年間音楽活動をやってきて、最初の頃の音楽に対する向き合い方と今とでは変化があったりしたので、それをすべて伝えたいなと思ったときに、マガジンという発想が出てきたんです。そこには4ページに渡るインタビューも載っていますし、それと音楽を表現する上で、私にとってファッションは欠かせないものだったので、こういう1冊の作品という形で作らせていただきました。
- ――今おっしゃいました音楽との向かい合い方とは、どのように変化していったのですか?
- 【黒木】 私は10代からこの世界にいて、ずっと先輩や大人の方々に囲まれてお仕事をさせてもらうことが多かったんです。そうやって黒木メイサという芸名の人物像と、女優としての役柄を演じていくうちに、自分自身が普段思っている気持ちや感情を隠すことに自然と慣れてしまっていたんですよね。それがなんだか居心地が悪いなと思い始めているときに、“ひとりの人間として自分を表現する場所はどこだろう?”と考えたんですよ。そうすると、仕事をする前から好きだった音楽やダンスに行き着いたんです。でも最初の頃は、“人間として何を伝えるか?”“誰に伝えるか?”ってことがわからないままに“黒木メイサはこうです”と言っていた、10代の頃に抱えていた葛藤をイッキに打ち壊すイメージで音楽をやっていたんですよ。そこから少しずつ曲を作って、アーティストとともにブログを立ち上げて、曲を聴いてくれた人たちがBBSでコメントしてくれるようになったり、2010年に初めてライブをやらせていただいて。そこでお客さんの表情や反応を生で見ることで、曲を届けるべき存在が自分のなかで見えてきたんですよね。その変化を、今回のアルバムに詰め込みました。
- ――このアルバムにあるものは、芸名の黒木メイサではなく、本当の自分の姿であると?
- 【黒木】 はい。そうですね。
- ――アルバムを聴いて感じたのは、とても素直な気持ちであることと、そこに喜怒哀楽があるということですよね。
- 【黒木】 そうなんですよね。今まで私は強い女性像をイメージして音楽活動をやってきていたんですよ。でも、強い人でも弱い部分や隠したい部分があって、それを人に見せたり自分で認めることで違う強さが身につくんじゃないのかな?と思ったんです。だから今までの攻めの態勢ではなく、家に帰ったときの素の自分だったり、弱い部分を出したりしています。
- ――それって、最初は恥ずかしかったり勇気が要りませんでしたか?
- 【黒木】 それはありましたね。私のなかでそれは見せちゃいけないとすら思っていたし、強い女性を演じている間だけは、強くいられると思っていたので。だけど、誰にでも弱い部分があっていいはずですよね。私がそういう部分を見せることで、悩んでる人たちが少しでも元気になってくれたらいいなと思うようになりました。弱い部分を見せるということが、私のなかでのプチテーマでした(笑)。
- ――アルバムを聴いていくと、最初は不満や苛立ちが表れていて、そこから受け入れてほしい自分だったり、ハートの奥のほうが見えてきて、最後にはやさしさを感じました。
- 【黒木】 ふふっ(照笑)。制作期間中は、素直に自分と向き合えたかな?って思うんです。余計なことを考えずに、“あ、今この曲を歌いたいな”とか“この曲を届けたいな”とか、思ったままにやっていました。
- ――「Say Good Night☆」のあたりから、グッと深く心に斬り込んできているような…。
- 【黒木】 そうなんです(笑)。
- ――「As I Am」なんか今話していた“弱い部分”と、“自分がわからなくなる”という混沌がそのまんま表現されていますよね。
- 【黒木】 まんますぎて恥ずかしいくらいです(笑)。「As I Am」って、誰にも少なからずある部分だと思うんですよ。天の邪鬼というか、思っていることを素直に言えなかったり遠回しな言い方をしちゃうんですけど、私はまさにそんな感じ。
- ――メイサさんのなかで印象深いエピソードのある曲は?
- 【黒木】「LOVEHOLIC」は、新しい挑戦でしたね。プロデュースのカミカオルさんは最初の頃からやっていただいているので私にとっては姉御みたいな感覚なんですよ。その方がいつも新しい曲を“メイサこれできる?”ってテンションで持ってきてくれるので、これも新しかったですし楽しかったです。気だるい感じで歌っちゃいました(笑)。あとは、「BYE BYE MY FRIEND」と「CELEBRATE」はLAで撮りました。ライブをやることが決まって、そのトレーニングのために行っていたときに、せっかくLAにいるんだから…ということで録ったんですよ。そのときのクリエイターの方々がすごくテンションの高い集まりで、すごく楽しいレコーディングでしたね。
- ――そして最後の「Somewhere...」はいろんな意味に捉えられますね。ラブソングのようでもあり、メイサさんがまだ居場所を探している最中なのかな?と感じたり。
- 【黒木】 ふふっ。これは本当に聴く人のそのときの状況や気持ちによって、いろんな捉え方をしていただいていい曲だと思うんです。雰囲気的には、To be continued…って感じですね(笑)。
- ――今回のアルバムのグラビアは、普段のファッション誌に載っているメイサさんとは違っているということですよね?
- 【黒木】 はい。普段表現できないことも音楽の場所だとできるので。音楽でもジャケット写真などで視覚的な部分は必ず入ってきますし、そこは意識していました。服もメイクも、そのときの気分で選んで楽しみました。
- ――普段のメイサさんのファッション傾向は?
- 【黒木】 服は基本的に黒が多いですね。でもジャケットひとつにしても形が変わっていたり、スタッズがついていたり、パンチがあるものが好きなんです。
- ――女優と音楽、そのバランスはとれていますか?
- 【黒木】 今は両方やれていることでバランスがとれていると思うんです。感情を殺した役をやったあとに音楽で気持ちを素直に爆発させて、そこでリセットして違う役に挑むということができているので、すごく満たされていますから。だから、このままのスタンスでいきたいですね。
(文:三沢千晶)

