ORICON STYLE

2009年02月10日
悲しみって、やさしさの在りかたを考えさせる

――Salyuさんは、サーカスに興味をお持ちですか?
【Salyu】 小さい頃に一度、ボリショイサーカスを家族で観に行った温かい思い出がありますね。それと、昨年たまたま『ドラリオン』を観に行ったんですよ。こういったお話をいただく前だったんですけどね。なので、特に詳しいわけではないんですけど、世界観が圧倒的ですよね。技術だったりパフォーマンスだったり音楽だったり、舞台のセットであったり、総合芸術なんだなぁと感じていたので、今回『コルテオ』のイメージソングということで、とても光栄に思っています。

――人生という大きなものに向かって歌っていますね。ずっと昔から命が受け継がれてきたという神秘的な匂いも感じます。
【Salyu】 一瞬一瞬の刹那的なものではなくて、人類の歴史であったり、もっともっと尊いつながりを感じさせるような作品だなと感じたんです。神秘的な世界観の中で当たり前になされる人間の営みが、本当に愛しく描かれていると思いますね。

――<どうしてあなたと昼も夜も/一緒にいたいと思うのでしょうか>という歌詞が、胸を締め付けるように響いてきますね。
【Salyu】 本当に大切な人と聴いてほしい楽曲ですね。恋愛とか人間関係の中の愛を歌っているとも思うし、自分の記憶にも置き換えられるなと思ったんですよ。私自身は“あなた”というものが悲しみであるのかもしれない・・・という捉えかたをして歌ったんです。悲しみって、人に幸せであったり、人生の価値を考えさせるだろうし、やさしさの在りかたを考えさせるだろうし、とても尊いものだなってことを、今回の制作、レコーディングを通してすごく感じさせられたんです。自分と向き合ってこそ、悲しみを超えられるんじゃないかな?って。

――今のお話を聞いて、切なさが倍増です。
【Salyu】 ふふっ。とてもいろんな感情が入っていて、熱量が高い歌になったと思いますね。

――今までご覧になったサーカスの中で、もっとも印象深いものはなんでしたか?
【Salyu】 小さい頃に観たサーカスはほとんど憶えてないんですけど、ピエロが客席に入ってきて、誰かをさらってステージに連れて行くんですよ。それが怖くて、「絶対にイヤだ!」と恐怖に感じた覚えがありますね(笑)。舞台に巻き込まれていく恐ろしさがありました。子供から見れば、ピエロはピエロという生き物に見えますよね。

――そうですよね。子供から見たら、不思議で怖いと思う。
【Salyu】 ね?でも会場は笑っていて、なんて妙な空間なんだろう!ってポカーンとしていたと思いますよ。

――“行列”という言葉から、何を連想しますか?
【Salyu】 普通に、中野のラーメン屋さんにできている行列とか(笑)。あとは星を観ていると、行列という言葉が似合うなと感じるときもあるんですよね。

本能のままの10代は反省がたくさん…

――もう1曲の「HALFWAY」は、映画『ハルフウェイ』の主題歌ですね。
【Salyu】 映画の中で、主人公が英語の辞書を引いて“ハーフウェイ”を間違えて“ハルフウェイ”と読むところから、このタイトルが来ているんです。

――春のような曲ですよね。
【Salyu】 まさに青春って感じですね(笑)。

――歌詞は、小林武史さんと、脚本家の北川悦吏子(ERIKO)さん、そしてSalyuさんの共作なんですね。
【Salyu】 そうなんです。北川さんが元の歌詞を書かれて、小林さんが音楽的な直しを入れて、私は歌入れの際に北川さんと相談しながら雰囲気や歌い回しで言葉を選んでいったんです。面白いなと思ったのが、歌詞って音楽が流れてこないと、意外と見えてこないこともあるんですけど、北川さんの歌詞は読んですぐにストーリーが見えたんですよ。やっぱり活字の世界で表現されているかたなんだな〜と感じたのが新しかったですね。

――映画は北川悦吏子監督の青春ラブストーリーですが、Salyuさんはどう感じたんですか?
【Salyu】 どれだけ甘酸っぱいんだろう?と思っていたんですけど、観て感じたのは、10代の苦しさを瑞々しく描いているなということだったんです。チカラがありすぎて苦しいことってあると思うんですよ。自分の未来を期待する気持が大きすぎたりとか、1人の人を好きになると、それが永遠だと思い込んでしまう世界の狭さというか。それは大人から見ると、とても不自由に見えたりして。だけど、すごく正直で純粋で、生きるパッションに満ちている。そういうことすべてが鮮明であざやかなタッチで描かれているんですよね。

――Salyuさんの高校生時代ってどんな子だったんですか?
【Salyu】 チカラがありすぎて苦しかったと思いますよ(笑)。憧れという幻想がリアルにあって、自分で現実を進めていけない感じとかね。でも楽しい高校時代でしたよ。

――戻れるなら・・・という後悔は?
【Salyu】 ない。ひとつもない(笑)。10代は、自分の本能の赴くままに、正直に生きたと思いますね。・・・反省点はたくさんありますけど(笑)、後悔はしていないです。「コルテオ 〜行列〜」の話じゃないけど、いろんなものを自分の中に貯蓄していって、大人になってから選べばいいと思うんですよ。だから、怖がらずに何でもやったらいいと思うんです。・・・自分に子供ができたら、そう言えるかどうかわかりませんけどね(笑)。

(文:三沢千晶)
RELEASE
コルテオ〜行列〜/HALFWAY

コルテオ 〜行列〜/HALFWAY
Salyu
2009/02/11[シングル] 価格:\1,050(税込)
トイズファクトリー 品番:TFCC-89271

PROFILE

2000年4月、Lily Chou-Chouとして2枚のシングルをリリース。
2001年10月に彼女の歌が全編にフィーチャーされた映画『リリイ・シュシュのすべて』(岩井俊二監督)が公開され、そのオリジナルアルバムとして『呼吸』をリリース。
2004年、シングル「VALON」でのコラボレーション、Ilmari×Salyuを経て、6月にシングル「VALON-1」でSalyuとしてデビュー。
2005年6月15日、1stアルバム『landmark』をリリース。
2007年10月17日、シングル「LIBERTY」をリリース。
2006年9月6日、シングル「name」をリリース。
2006年11月1日、シングル「プラットホーム」をリリース。
2007年1月17日、アルバム『TERMINAL』をリリースし、2位を獲得。初のTOP3入り。
2008年11月26日、ベストアルバム『Merkmal』をリリース。
2009年2月11日、シングル『コルテオ 〜行列〜/HALFWAY』をリリース。

石野卓球プロデュースでテクノに初挑戦