この秋最大の話題作である。BUMP
OF CHICKENの1年ぶりのシングルは何と2枚同時発売。しかも「花の名」は、日本映画の記録的ヒット作『ALWAYS三丁目の夕日』の続編『ALWAYS続・三丁目の夕日』の主題歌だ。映画を手がけた山崎貴監督は、BUMP
OF CHICKENの前作「涙のふるさと」のPVを制作している。そんな監督からの熱烈なオファーで実現した大型コラボである。
「実は「涙のふるさと」の時から主題歌をというお話は、まだ正式にではなかったのですが、直々に頂いていたんですね。今回もそう言って頂いただけでもとっても嬉しかったんですけど、それだけではお引き受けはできないと思いまして。完成前の映画のラフ映像も観せていただいて。それでもまだ引き受けることができなくて。それはなぜかと言いますと、どんなに映画が素晴らしくても、例えば、登場人物の名前を入れて欲しいとか、色々注文があったりするんなら、できないだろうとなと。そういう音楽が得意な人もいますし。でも、曲というよりも僕らそのものを望んで頂いているようだったんで、いつも通りでいいんだなと解釈しまして、やりたいようにやったもので良ければ喜んでということでお引き受けしました」(藤原)
音楽と映像。表現者同士の創造的なコラボレーション。映画の“会いたい人がいる
待っている人がいる”というキャッチコピーは「花の名」の歌詞の一節をピックアップしたものだ。それも山崎監督の信頼の表れだろう。
「あの曲は、以前からあった新旧の曲を織り交ぜて作ったもので、今年の7月7日にできたんですが、一年ちょっとぶりのライブの前だったんで、久々にお客さんに会いたいという気持ちがすごく強くて、それが言葉にも出てますよね」(藤原)
「花の名」は映像を包み込むようなバラード。カップリングの「東京賛歌」はギターのアルペジオが優しいカントリー調の美しい曲だ。
「あれは今やりたいサウンドなんですね。今までやったことのない生ギターのスリーフィンガーのアルペジオに挑戦したかったんです。前から作りかけになっていた曲を完成させようと思って。タイトルは東京じゃなくても良かったんですけど、僕にとっては東京なんで。東京に出てきてすぐに思ったことですね」(藤原)
もう一枚のシングル「メーデー」はBUMP
OF
CHICKENならではのアグレッシブなロックだ。
「メーデーというのは国際救難信号のことなんです。映画かなんかで見て子供心にただごとじゃないということで痛烈に印象に残っていたんでしょう。幼稚園の頃は意味も分からずにトランシーバーごっことかで「メーデーメーデー」って叫んでました。労働者の日、という意味ではないです(笑)」(藤原)
「メーデー」には何と彼らの1stアルバム『FLAME
VAIN』の1曲目、彼らの原点とも言える「ガラスのブルース」が入っている。2005年にプラネラリウムでのライブでしか披露されていなかったバージョン。“28
years
round”と銘打たれている。全く違う世界観の曲として聴けるだろう。
「あの時は通常のエレキギターとかではやれない会場だったんでアコーステイックバージョンという解釈だったんですけど、今回、レコーデイングして、全くのリアレンジだなと改めて思いました」(藤原)
「もしこれで「ガラスのブルース」を知った人は、元のほうも聴いてもらいたいですね。そこから始まったんで。28というのは僕らが28才だからということもありますが、だからと言って28才という意味じゃないです。今はまだ言えないんで(笑)」(升)
「本当に満足できる作品になったんで、月並みですけど、一人でも多くの人に聴いてもらいたい」(直井)
「ともかく2枚とも聴いてもらいたいです。特に「花の名」は映画館でどう聴こえるか、僕らもすごい楽しみにしています」(増川)
BUMP
OF
CHICKEN初の映画主題歌、そして2枚同時発売。2008年は年明けから待望のツアーが決まっている。
(文:田家秀樹)
(写真:草刈雅之)