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(更新: ORICON NEWS

地下アイドルヲタの現場記録〜知られざる世界の実情〜Vol.2

地下アイドルヲタを自認するライター、シーウィード高科。アイドルへの“ガチ恋”経験も経て得た、その特異な世界でのすべての感情、思い出の数々を赤裸々に白日のもとにさらす! ここまで深い地下アイドルの世界、アイドルヲタの実情を少しでも理解してもらうために……。3ヶ月間の集中連載第2回!!

【第2回】握手会編:女の子に突きつけられる競争社会の現実

『あまちゃん』で描かれた握手会のシーン
如実に出る人気の差は握手列が物語る
それに対してファンやヲタの取る行動が美しいのだ

 一大ブームとなったNHK朝ドラの『あまちゃん』。
 ひとりの少女が様々な経験の末に上京し、東京でアイドルを目指して奮闘する姿も描かれていた。

 そのなかで、主人公・天野アキが所属するグループ・GMTの握手会が催されるシーンがあった。ご覧になった方はおわかりだろうが、握手会では誰かひとりと握手をするために人気のある子には列ができ、無い子には誰も並ばない。またはすぐ途絶えることがある。そこは本題からはズレてしまうだろうから、それ以上深い描写はなかったが、地下=売れていない現場にいる私としては非常にセンシティブな映像として観ていた。

 ああいったシーンは、実際にある。
 これは地下に限らず地上のアイドルでも同じなのだが、競争社会よろしく非常にえげつない現場ともいえる。

 例えば人気が特定のひとりだけに偏っているならばまだ問題ない(グループとしては問題あるが(苦笑))。だが、仮に6人ほどいたとして、5人だけに列が出来ていたとしたら? ひとりだけに列が無かったとしたら?

 その子だけはニギる手も無く、他列に並んでいるお客さんと話したり下を向いていたり……。それが実力なのだし、現実だよ、と言ってしまえばそれまでなのだが、とくに小さいコミュニティで形成されている地下現場においてはそんな言葉で片付けられる問題ではない。

 年頃の女の子に突きつけられる現実は、大人の我々が想像をする以上に彼女たちを傷つけるはずだ。その場で泣いてしまったり落ち込まないように気丈に振る舞う姿は美しくもあり、それ以上に辛くもある。

 こんなときにファン……いや、ここではヲタといったほうが正しいか。
(※ヲタ=ファンよりも上の表現。重度のファン。)

 ヲタは実に機転を効かせた行動をとっている。
 なんと自分の推しとは関係なく、列の無い子に握手をしに行ったり写真撮影をしたりと、さりげないフォローをするのだ。「券をあまらせちゃったから」とか「時間が空いているし、せっかくだから」と嘘をついて。

 と、簡単に書いたがこういったことには実はお金がかかるのだ。CDやグッズ、握手券や写真撮影券を買って初めて出来ること。けっして安くはない金額だ。

 それを自分の好きな子のため以外にもするということ……。

 ヲタそれぞれの考えもあるのだろうが、根底にはグループ自体を支えなければ個人だって成功しない、という考えが共通しているのだろう。

 ただでさえ毎週の現場通いでお金が無いなかでも、こういった行動を取れるヲタの心意気、人間性。私が現場に居続ける理由のひとつは、こんな場面にしばしば遭遇するからである。

 よく、アイドルを追っかけていると一般の冷たい目線に晒されることがあるが、少しは見直してもらえただろうか(笑)。
 悪くない…でしょ? つづく
(文:シーウィード高科)

連載:地下アイドルヲタの現場記録 BUCK NUMBER


【最終回】地下現場に通うヲタの気持ち
【第9回】新規アイドルファンに注意セヨ!
【第8回】ロックフェスにアイドルがブッキング!
【第7回】アイドル業界のビジネス
【第6回】推し被り敵視と心の病み
【第5回】ファンとヲタは違う生き物!
【第4回】ブレイク=古参が離れるタイミング[Part2]
【第3回】地下→ブレイク→地下のループ[Part1]
【第2回】女の子に突きつけられる競争社会の現実(握手会編)
【第1回】地下アイドル現場の実情(序章)

[PROFILE] シーウィード高科
出版業界で働きながらもモーニング娘。の登場でアイドルにハマり、その後、有名無名の様々なライブに通うようになる。1年間でのライブの本数は約200本。現在はデジタルコンテンツ・プランナーとして働きながらアイドルライターとしても活動する。ご飯代よりも握手とチェキ代を優先しているうちに自然にダイエットに成功した現場主義者である。

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