2014-12-01

オリコン2014年 年間“本”ランキング発表 『妖怪ウォッチ』『アナと雪の女王』が旋風!!ノンフィクションの新たな流れも!?

BOOK:『妖怪ウォッチ』『アナと雪の女王』が書籍でも旋風

 『妖怪ウォッチ』と『アナと雪の女王』、日本と海外で誕生したふたつのアニメが大きな旋風を巻き起こした2014年だったが、BOOKランキングにおいても両作品の関連本が年間のTOP10入りを果たし、その影響力の高さを知らしめた。

 テレビ、映画、玩具、音楽、ゲームとマルチメディアでの展開が人気を博した『妖怪ウォッチ』からは、2冊のゲーム攻略本が1位と4位にランクイン。キッズ人気を背景に群を抜くシェアを獲得した。一方、子どもだけでなく幅広い層に観られ、聴かれ、歌われたミュージカルアニメ『アナと雪の女王』は、各社から様々な形態での関連書籍の発刊があったが、そのなかから、映画の日本公開に先立って発売された偕成社版の小説本が10位を獲得。しかしながら、他社の発行物と合算するとその経済効果は大変なものとなる。

 そのほか、哲学や心理学、なんとなく難しそうで手が出しづらそうなテーマをマンガや対談形式など噛み砕いて紹介した作品にも人々が関心を寄せた。『まんがでわかる7つの習慣』が6位、『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え』が9位。2位の『人生はニャンとかなる!―明日に幸福をまねく68の方法』もこの同種系と捉えてよさそうだ。2010年に大ヒットした『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』以降、こうしたわかりやすい指南書に対するニーズは確実に広がりを見せている。

 これまでにもネットの世界から書籍化されヒットした“小説”の例はあったが、新たな流れとして“ノンフィクション”もありと知らしめたのが、5位の『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』だ。ストーリー性とは別に、勉強法のケーススタディとしての活用もあるなど、幅広い層に支持されてのランクインとなった。

コミック:『ONE PIECE』1強時代にくさびを打ち込む『進撃の巨人』

 2013年のデジャブを見ているかのような気持ちにさせられる2014年の年間コミックランキング。今年発売された3巻(73巻〜75巻)が発売順にTOP3を占め、盤石な安定感を見せたのは『ONE PIECE』(12月末発売の76巻は集計期間外)。その強さについてはさんざん語り尽くされた感があるが、敢えて加えるなら、近年日本人の間で喧伝されている“絆”をベースに置いた冒険ファンタジーであることが、ことさら人々の心を打つのだろう。ランクインの3巻だけの合計で850万部。ケタ違いの波及力はまだまだ衰えることを知らない。

 その『ONE PIECE』1強時代にくさびを打ち込むべく猛烈な勢いで追いかけているのが、昨年の年間ランキングで5位から15位までを占拠し驚かせた『進撃の巨人』だ。2014年も『ONE PIECE』の背後にピタリとポジションを取り、一気の逆転劇を虎視眈々と狙っている。4位から6位までに並んだ3巻のセールス実績も前年のものと遜色なく、高い水準での人気をキープ。現在上野の森美術館で開催中(1月25日まで)の『進撃の巨人展』に続いて、2015年にはアニメ劇場版の後編『〜自由の翼〜』や三浦春馬主演の実写映画などの公開も控えており、このブームがさらなる拡大を見せる可能性もある。

 そして、コミック“3強”の最後の一角を占めるのが、このなかでは海外においての人気も高い『NARUTO―ナルト―』だ。残念ながら、本編の連載は11月で15年にわたる歴史を終えたが、年末の劇場版アニメ公開に続き、来春には「新編」が短期集中連載されるなど、その魂の炎は消えていない。残るコミック新刊への反応がどう出てくるのか、興味深い。

文庫:百田尚樹氏『永遠の0』年間連覇 読者が手に取る傾向は…

 2013年に続いて、百田尚樹氏の『永遠の0』が年間を制覇した2014年の文庫ランキング。このロングセールスを後押ししたのが、昨年末に公開され、国内実写映画No.1の成績を残した劇場版(岡田准一主演)のヒットであることは間違いないが、今もなお、週間ランキングのTOP100に入り続けており、文庫としての推定累積売上部数(念のためだが、同作は2006年に単行本で発売、2009年に文庫化された)は440万部に達している。この数字は、本とレコードの違いこそあるものの、あの「およげ!たいやきくん」に匹敵するセールスだ。加えて、年間TOP10に百田氏の作品が『幸福な生活』『海賊とよばれた男』(上・下巻)と全4作。まさしく今最も注目されている作家だろう。

 そして、百田氏以外でTOP10を形成しているのも東野圭吾氏、湊かなえ氏、池井戸潤氏というおなじみの顔触れ(池井戸作品では、『銀翼のイカロス』がBOOKランキングで7位を獲得)。直木賞(平成17年下半期・東野、同23年上半期・池井戸)、本屋大賞(2009年・湊、2013年・百田)という受賞歴を持つ“間違いなくおもしろい”作家が売れているとも言え(BOOKランキング8位の和田竜『村上海賊の娘』も2014年の本屋大賞受賞作である)、その意味では“外れのない作品”を手に取る傾向が読者のなかに生まれていることがわかる。

 そんななか、ユーザーの“お気に入り”作家であるにもかかわらず、敢えて単行本→文庫化という「2度の利益が生まれるシステム」を避け、『マスカレード・イブ』『疾風のロンド』の2作を初めから文庫で打ち出してきた東野圭吾のアプローチには、「もっと本を手に取りやすく」とする作家の心意気を強く感じずにはいられない。こうしたところから“本離れ”が改革されていけばいいのだが……。

(文:田井裕規)