オリコン2011年上半期“本”ランキング大発表

本屋大賞、もしドラ、水嶋ヒロ…話題作が上位席巻!

 リリー・フランキー『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』、伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』、湊かなえ『告白』など次々とヒット作、話題作を生み出してきた“本屋大賞”。その最も新しい大賞受賞作、東川篤哉『謎解きはディナーのあとで』が100万部の大台を突破して上半期のNo.1に輝いた。令嬢刑事と毒舌執事というユニークなコンビが事件を解決するコミカルタッチなミステリーが、ASIAN KUNG-FU GENERATIONのジャケットでもおなじみの中村佑介によるイラストとともに、従来のミステリーファン以外の層まで巻き込んでの大ブレイク。“本屋大賞”受賞が大きな追い風となって、瞬く間のミリオンセラーとなった。

 これに続いたのが昨年の年間BOOKランキング1位の『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』。春先のアニメ化に続いて、前田敦子(AKB48)主演による劇場映画も封切りとなるなど、「もしドラ」ブームはまだまだ衰えを知らない。“本家”の『マネジメント 基本と原則 エッセンシャル版』も14位に入るなど、波及効果は絶大だ。

 3位には、水嶋ヒロの作家デビュー作として話題を呼んだ齋藤智裕『KAGEROU』がランクイン。作品の根底に流れる「命とは何か?」「人間の価値とは何か?」という強烈なメッセージは、ファンならずとも考えさせられるテーマであり、時代にフィットした内容と言える。

 超高齢化社会を生き抜く指針が満載の曽野綾子『老いの才覚』、W杯に続きアジア杯でも国内に感動を与えたサッカー日本代表のキャプテン長谷部誠がメンタルコントロールについて記した自己啓発本『心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣』など、時代を乗り切る術に溢れた、各世代ごとの“ヒント”本も高い人気を誇っている。

不動の王者『ONE PIECE』が“ケタはずれ”の記録達成!

 累計発行部数が史上初の2億冊を突破、30を超える国と地域でも刊行されるなど“世界的人気”を持つ海賊アドベンチャー『ONE PIECE』の、近刊第60〜62巻がいずれもランクイン。第61巻が300万部オーバー、ランキング開始以降13巻連続での200万部超えを達成した、第62巻が約270万部とケタはずれの強さを見せた。(物語の中での)2年という年月を経て、各さらなる成長を遂げたキャラクターの姿がまぶしい「新世界編」を収めた第61巻以降も、これまで以上の感動と興奮を巻き起こすことは間違いない。老若男女を虜にする友情と感動のストーリーを追うのは、ある意味“国民的関心事”なのかもしれない。

 1〜3月にかけてアニメの2ndシーズンが放送された『君に届け』も、最新の第13巻が100万部を超える高い反響を見せている。“血湧き肉躍る”男性コミックが上位を占める中での爽やかな恋愛ものは一際強い輝きを放つ。

 ブッダとイエスという“天界の住人”が、東京・立川での共同生活を始めたことから巻き起こる騒動を描いたコメディ『聖☆おにいさん』の第6巻が、100万部に手が届く勢いで上半期の上位10傑に。大胆な発想が生み出した新感覚の笑いは一読の価値あり。

 人間を捕食する“巨人”が支配する世界というショッキングな舞台設定で、次々とファンを獲得している『進撃の巨人』の既刊4巻がすべてTOP20入りするなど、そのポテンシャルの高さを証明する結果となった。オリエンタルラジオの中田敦彦も絶賛した、ストーリーの面白さが引き込んでいく未知なるテイストを体験すべし。

文庫ヒットのキーワードは“映像化”

 100万部を突破した角田光代『八日目の蝉』を筆頭に、『ゴールデンスランバー』『阪急電車』『ノルウェイの森』『プリンセス・トヨトミ』『流星の絆』『白夜行』『告白』など、映画化あるいはドラマ化された作品が上位に並んだ文庫ランキング。単行本でのヒットが文庫化・映像化へと結びつき、映像化という話題性が文庫でのさらなるヒットへとつながっていく、という図式は近年の“邦画”の王道ともいえるものだ。

 村上春樹のような世界的に注目されている作家と、有川浩や万城目学、湊かなえなどの伸長著しい注目株が競い合っている文壇の未来にますます注目したくなる。

 そして、その中でも圧倒的な存在感を変わらず見せつけているのが東野圭吾だ。上記の『流星の絆』『白夜行』を含む5作品のランクインを見るまでもなく、彼の作品があらゆる世代に支持されていることは明らか。『あの頃の誰か』『白銀ジャック』は文庫オリジナル作品ということもありロングセラー化が期待される一方、『夜明けの街で』が今秋映画化。さらに『新参者』で人気を博した加賀恭一郎シリーズの最新刊『麒麟の翼』も来年早々に劇場公開。加えて、“探偵ガリレオ”シリーズも新刊が控えているなど、彼を取り巻く状況はこの上なくにぎやか。年末のランキングも楽しみな存在だ。

(文:田井裕規)