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(更新: ORICON NEWS

東出昌大『いまはまだ楽しいとは思えない』

高い評価を受けた『桐島、部活やめるってよ』(2012年)、NHK連続テレビ小説『ごちそうさん』など話題作への出演が続き、瞬く間にスターダムを駆けあがっている若手の最注目俳優・東出昌大☆ モデル活動を経て役者を志すまでの道のりから、最新主演作『クローズEXPLODE』での新たな発見と自らの成長まで、いまの東出の心も体も丸裸にするロングインタビュー! 『クローズEXPLODE』連載インタビュー次週は永山絢斗が登場☆

この仕事をずっとやっていきたい

──『クローズEXPLODE』の鏑木旋風雄(かぶらぎかぜお)役はオーディションで勝ち取ったそうですね。
東出お芝居でのオーディションを『桐島、部活やめるってよ』でしか受けたことがなかったんです。『桐島〜』のあと、仕事をしないと生活できないし(笑)、仕事をすることで次の仕事に繋がるので、「ぜったいにこの映画で役を取ってやる!」という思いでオーディションに行きました。

──次に繋がる、という意味では『桐島〜』との出会いは大きかったですか?
東出自分にとっては転機となった作品、役者になったきっかけの作品でもあるので、大きかったですね。

──いままさに役者として大活躍中ですが、そのときにその道に進むことを決めたということ?
東出そうですね。決め手は『桐島〜』でご一緒させていただいた、すばらしい人たちとの出会いです。吉田大八監督、共演者、スタッフ……プロの方々がひとつの目標を持って長期間一緒に仕事をする、そういう経験が初めてだったので、撮影を終えたときに年甲斐もなく大泣きしました。でも、いま思うと、感動だったのかなって。現場が終わってしまうのは寂しいけれど、こんな感動が味わえるのならこの仕事をずっとやっていきたい、そう思ったんです。

──それまでは? 高校時代からモデルのお仕事もしていますよね?
東出ジュエリー関係の仕事に就くんだろうと漠然と思っていました。物作りが好きで、高校卒業後、モデルをしながらジュエリーの学校に通っていました。当時在籍していたモデル事務所に6年いたんですけど、初めて芝居のオーディションをいただいたのが『桐島〜』だったんです。縁と出会いとタイミングで、いまここにいると思っています。

──改めて、今回の『クローズEXPLODE』の撮影をふり返ってみると?
東出オーディションのあとに豊田利晃監督と食事をする機会があったんです。「映画なんて人の生き死にと関係ないんだから、テキトーにやればいいんだよ」って言われたんですけど、目がぜんぜん笑っていなくて(笑)。現場での豊田監督の気迫もすごかったです。プレッシャー云々ではなく、とにかく豊田監督について行こうと必死でした。原作と比較されることに関しても、漫画と血の通っている人間が演じるのは違うわけで。だから、監督について行って、監督をぎゃふんと言わせたいというか、監督に認められるようにやり続けようと。撮影中は「プレッシャーは感じてないっす」と言っていたんですけど、終わってみるとやっぱりありましたね、プレッシャー(笑)。当時はそれを言うのが悔しかったんだと思います。

──負けず嫌いですね(笑)。そして、今こうして明かしてくれるのが、東出さんらしさなんでしょうね。もともと豊田さんの作品は……。
東出好きです! 今回も豊田監督がメガホンをとると聞いて、絶対に出たい! と思いました。

──具体的に豊田作品のどんなところが好きなんですか?
東出男のくだらなさ、寂しさ、弱さとか、本質的な格好良さを撮っている監督というか……。弱いところをさらけだして情けなくなる瞬間がない人間なんていないと思うんです。そういうところを撮っていることがすごいと思います。

役者としての意地がある

──だからこそ、何としてもオーディションで役を勝ち取りたかったと。
東出はい。三池崇史監督の『クローズZERO』『クローズZERO II』も好きで観ていたんです。ただ、豊田監督が『クローズ』をやると聞いたときにまず浮かんだのは、『クローズ』の小栗旬さんというよりは、『青い春』の松田龍平さんでした。高校という共通点もありますけど、豊田さんがやるということは、ああいう世界観なのかなと。どんな『クローズ』なんだろう……と期待が膨らみました。

──その期待を寄せて臨んだ豊田組、初めて足を踏み入れたクランクインのことは覚えていますか?
東出初日は大変でした。鈴蘭高校の校門をまたぐシーンだったんです。臆したことはないんですけど、エキストラさんたちが本物のヤンキーで(笑)、すごくちょっかいを出してくるんですよね。僕は後から輪に入っていく設定なんですけど、彼らは隙あらば暴れてやろうという感が半端じゃなくて。ただ、彼らの存在がいい起爆剤になっていたことは確かで、心のなかでは「こんにゃろー!」と思っていました(笑)。エキストラさんは演出いらずでしたね。

──さすが『クローズ』ですね(笑)。その初日を迎えるまでにはどんな準備を?
東出メインはアクション練習ですね。実はクランクイン前日まで台本がなかったんです。でも、どういう役かという話は事前にしていたので、本を読み込んで役を作るというよりは、格闘技などの映像をみたり、ジムでスパーリングをして殴られる感覚を身につけたりしていました。

──やっぱり、撮影とはいえ殴られると痛いですよね。
東出痛いし、ビシッと響くんですよね。頭を殴られるときはフラッシュがパッと光る感じというか、頭に血が上った状態というか、痛いけど痛くない、不思議な感覚です。事前にスパーリングをして練習できたことはよかったです。撮影中に僕がケガをさせちゃった人もいるし、自分もケガをしたし……。でも、後遺症が残るようなケガはいっさいなくて、それは本当によかったなと思います。

──アクションシーンのなかでいちばん苦労したのは?
東出何回もテストをやって本番をやるんですけど、(見せ場となる)一発のパンチが通っていなかったら撮り直しになるんです。豊田監督は一連で撮るので──。大変だったのは、後半に屋上に向かって階段を上がっていくシーン。段取りのとき、昔剣道で傷めた腰の古傷に(パンチ)が入ってしまって、力が入らなくなったことがあって……。あのシーンはみんながケガをしながら撮影していました。必ずしも順撮りではないので、青たんを作ったりできないんですけど、パンチが当たって生のリアクションがカメラに収められたら、それは儲けもんという感覚もあって、それが豊田イズムなんでしょうかね。現場は、そう理解している人たちしかいなかった。強羅徹(柳楽優弥)が煙草を手の平で握りつぶすシーンがありますけど、あれも本当にやっているんですよ。

──身体を張っていますね。現場の空気がそうさせるんですか?
東出役者としての意地もありますけど、みんな豊田監督に心酔していて、信じているんですよね。助監督の方が「豊田監督は毎回、みんなの親父になるから」と言っていて。息子としては親父に一泡ふかせてやりたいし、親父の前で「できない」なんて絶対に言いたくないんです。豊田監督って、プライベートで会うとまったく雰囲気が違うんですけど(笑)、現場での気迫はものすごくて恐いですよ。でも、ものすごく格好いいです。

これが好きってことなのかな

──男の人が恐いと思うって……、相当恐いんですね。
東出目が、笑っていないんです(笑)。プレッシャーとか喜びよりも、不安とかやるしかないっていう気持ちのほうが強かったですね。自分の経験や知識の浅さ、芝居のできなさ……いろんな課題がありましたけど。

──そのなかで、演じるおもしろさ、この道を選んでよかったという実感はあった?
東出いまはまだ楽しいとは思えないですね。ただ、『ごちそうさん』(NHK連続テレビ小説)に入ってからなんですけど、ある日、その日いちにちの芝居をいろいろ反省しながら布団に入ったんです。そのとき「こんなに熱中できる仕事に就いてよかったな、これが好きってことなのかな」とふと思ったんですよね。

──変化を感じたわけですね。ちなみに、『クローズEXPLODE』でも変化は感じた?
東出いままでは、一語一句きちんとセリフを言うことが役者だと思っていたんです。でも、この現場はそうではなくて……。豊田監督に「セリフって何ですか?」って聞いたら「それがセリフだ」って言われました(笑)。自分のなかから出てくる言葉ってことか? 一体どこまでやればいいんだ? とわからなくなりながら演じていました。ひとりで考える時間も多かったです。しかも、事前に監督から「みんなと仲良くならなくていいから」って言われて。旋風雄はひとりでいることが多いので、この役の演出なんだなと捉えていました。

──役作りとはいえ、そうやって考える時間は自分自身との対話の時間でもあったはず。新しい自分の発見もありましたか?
東出頭かたいなぁ、俺……と思いました(苦笑)。だから、柔軟に人の話を聞くようにしたり、でも聞きすぎないようにしたり、最後は自分を信じようとか視野は広がりました。役者としてはまだまだこれからですけど、東出昌大の演技を観てよかったと思っていただけるような、感動を与えられる役者になりたいですね。

──最後に、東出さんにとっての格好いい男とはどんな人ですか?
東出周りの人を幸せにできる人ですね。あと『クローズEXPLODE』と同じように、格好いい人間になろうと想い続けている人も格好いい。旋風雄たちは決してヤンキーになろうとしているんじゃなくて、強い男、格好いい男になりたいからてっぺんを目指しているんです。それって、ものすごく格好いいと思うんですよね。
(文:新谷里映/撮り下ろし写真:草刈雅之)

クローズEXPLODE

  『クローズZEROII』から1ヶ月後。滝谷源治、芹沢多摩雄らが卒業し、新年度を迎えた鈴蘭高校では、空席になった“頂点”の座を狙って、新3年生たちが次々と名乗りをあげていた。頂点に最も近い男・強羅徹(柳楽優弥)、そのライバルと目される高木哲次(KENZO)、5人衆を束ねる寺島聡司(遠藤雄弥)、お調子者を装うキレ者・小岐須健一(勝地涼)。

 しかし2人の男の登場によって、鈴蘭の勢力図は大きく変わる。「自由気ままに生きたいだけ」と頂点争いに興味を示さない3年の転入生・鏑木旋風雄(東出昌大)と、本能のまま好戦的に暴れる新1年生・加賀美遼平(早乙女太一)。およそ接点が無く対照的な2人が、やがて鈴蘭史上最大の抗争の中心人物になっていく――。

監督:豊田利晃
出演者:東出昌大 早乙女太一 勝地涼 岩田剛典 永山絢斗 
【映画予告編】 【公式サイト】
2014年4月12日(土)全国ロードショー
(C)2014高橋ヒロシ/「クローズEXPLODE」製作委員会

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鈴蘭史上最大の抗争―<映画予告編>
『クローズEXPLODE』公式サイト

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