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2009年09月09日
ヘンな女を演じさせるのは上野樹里しかいない(岸谷) すごくかわいがってくれている……(上野) 岸谷五朗の初監督映画『キラー・ヴァージンロード』で 当て書きされた“わかりやすい”ヒロインを見事に演じきった上野樹里。 おもしろおかしく、危険な撮影にも果敢に挑んだ上野とそれを指示した岸谷…… そんなふたりがインタビューに登場!交錯するそれぞれの思いと撮影のウラ話を聞いた

──シュールな内容のブラックコメディ(?)ですね。
【上野】 リハーサルで芝居を固めていく段階から、コミカルで演劇っぽくて、どんな人に対しても観やすくて、笑って泣けるエンターテインメントになっているかなって。お客さんにいろいろな意味を探ってもらうというよりも、わかりやすいキャラの登場人物が出てきて、観やすい映画だなと思いました。

──そのわかりやすいキャラ、上野さん演じる“どん尻ビリ子”のひろ子は、素で演じている部分も?
【上野】 そうですね。演じているうちにひろ子になっていくというか、リハーサルで“こういうテイスト”というのがしっかりみえると、あとは突き進めるので。ひろ子は、ホントに素直な女の子で、キャラは薄いようで実はすごく濃いんですけど、演じるうえで考え込んで悩んだり、苦労したことはなかったですね。現場で(岸谷)五朗さんや(木村)佳乃さんが、「かわいいな〜」「似合うな〜」ってかわいがってくださって、そのおかげで段々ひろ子の見え方がわかってきて。走り方やコケ方、くせとかいろいろなシュールさが徐々に足されていって、自然にひろ子になっていきました。

── 岸谷さんは、脚本は当て書き(※)だったとおっしゃっていました。
【上野】 そうなんですか〜。当て書きってことは、私はそういうふうに見えているってことですね。でもなんかうれしいです。すごくかわいがってくれているってことだと思います(笑)。

──木村さんとのトークでは、見事な掛け合いをみせますね。
【上野】 ボケとツッコミの掛け合いや間、テンポ感とかも、しっかりとリハーサルで固めて、それを何回も繰り返して、ナチュラルにみえるように仕上げていきました。そういうのは、これまで映画に取り組んできたなかでも初めての経験だったので、最初はちょっと不安もありましたけど、自分のなかに役が入ってくると楽しくなってきて、皆さんのおかげでできていった感じです。本番はほとんど一発OKでした。

──ゴリラを背負って川を泳ぐ“ゴリラバタフライ”のシーンは、かなり大変だったのでは?
【上野】 もともと、最初の台本の段階ではタイトルが『ゴリラバタフライ』になっていて、それくらい映画のなかでキモになるシーンだったんです(笑)。撮影は楽しみにしていたんですけど、当日はカメラのセッティングが終わる前から川に入っていたら、本番にはもう寒くて足がガクガク震えちゃって。アクション指導の方からは、泳ぐと息が吸えなくなるからっていわれて「こわっ」て思ったり(笑)。撮影は10月だったんですけど、水はすごく冷たくて呼吸もできない感じで、本当に必死だったんです。実際にゴリラのなかに男の人が入っていて、のしかかられると重いし・・・。そのシーンは、映画のなかでスローモーションで使われていて、本当におもしろい顔になっているので、ぜひ楽しみにしていてください(笑)。

──ハードな撮影だったようですが、楽しかったことは?
【上野】 スーツケースに乗って山をすべり落ちるCGのシーンで、夜中にスタジオのグリーンバックで撮影しているとき、スピード感とかガタガタ落ちている感じを佳乃さんとふたりで演じているうちに楽しくなってきて(笑)。スタッフの皆さんは1日の疲れがピークでつらそうななか、私たちだけ元気でした。ワイヤーアクションもあったんですけど、私は“どん尻ビリ子”役なのに、そういう撮影が好きで率先してやりたいタイプで、逆に佳乃さんは危険な女の役なのに、怖い怖いって遠慮がちな感じなんです。私が「こうだよこう」ってみせたりしながら、ふたりでやっていたアクションは楽しかったですね。

――撮影の合間に木村さんとはどんな話を?
【上野】 世間話をたくさんしていましたね。そこから作品のこととか、深く入っていくときもありましたけど。現場で普段から一緒に楽しく話をしていた感じが、映画のなかにも出ているんじゃないかな。でも、ふたりとも時間があってもなくてもマイペースでやっていた感じです(笑)。

――映画監督としての岸谷さんの印象は?
【上野】 もう挑戦挑戦、何事も恐れずにチャレンジされていますし、自分のアイディアをふんだんにいろいろなシーンにちりばめています。シーンのつなぎ方も五朗さんならではのこだわりがたくさんあって、私も観るたびに気が付くことがあっておもしろいですね。五朗さんの舞台が好きな人も、映画が好きな人も、こんな映画いままで観たことない!という感じで楽しんでいただけると思います。

※当て書き:出演者を想定して脚本を書くこと

(写真:原田宗孝)

上野樹里
1986年5月25日生まれ。兵庫県出身。
2001年にCMでデビュー。2003年には田辺聖子原作の映画『ジョゼと虎と魚たち』でスクリーンデビューを果たし、2004年に映画『スウィングガールズ』で主演を務め、第28回『日本アカデミー賞新人俳優賞』のほか、多数の国内映画賞を受賞した。その後、2006年に放送されたドラマ『のだめカンタービレ』(CX系)の天才ピアニスト・のだめ役で大ブレイク。2008年にはドラマ『ラスト・フレンズ』(CX系)で性別違和症候群に悩む女性を演じるなど、様々なキャラクターを個性的に演じきる実力派若手女優のひとり。
2009年12月には映画『のだめカンタービレ 最終楽章 前編』、2010春には『のだめカンタービレ 最終楽章 後編』が公開予定。

【ストーリー】
幼い頃からいつもビリッけつの沼尻ひろ子は、リッチなイケメンと、とうとう結婚にこぎつけた。しかし、結婚式の前日、ひろ子はアパートの大家さんを誤って殺害してしまう。どうしても「結婚したい女」ひろ子は、死体を隠すという大胆な行動に出る。死体を捨てるために向かった富士の樹海で、ひろ子は何度自殺を試みても死ねない「死にたい女」小林福子と出会う。福子がひろ子の死体の処理を手伝う代わりに、ひろ子が福子を殺すという交換条件で、ふたりの逃避行が始まる!ひろ子はタイムリミットまでに幸せな結婚式を迎えることができるのか!?福子に生きていく希望は生まれるのか!?そして、死体の行方は・・・。

監督:岸谷五朗
出演:上野樹里  木村佳乃 寺脇康文 眞木大輔 小出恵介
主題歌:「旅人」(アルバム『残響』に収録)福山雅治
2009年9月12日(土)全国東宝系ロードショー
(C)2009 「キラー・ヴァージンロード」製作委員会

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