90年代前半のアウトドアブームを凌駕する“爆発前夜”の今を『BE-PAL』発行人が語る
アウトドアファンも時代と共に変化、エントリー層は“学び”が盛り上がり、女性ユーザーも増加傾向
【大澤氏】以前に比べるとエントリー層の人たちは講習会などにお金を使うようになってきています。例えば登山ならガイドにお金を払って安全を担保する。自力でやって失敗して身につけていくというやり方じゃなくて、塾のように効率よく学びたいという志向ですね。みんな新品のアウトドア用品を身につけて、アウトドアを教わりながらやるというのが今の大多数派になってきています。
――アウトドアを“習う”人が増えているのは驚きです。失敗したくないという世代の関心も引いているのですね。
【大澤氏】講習会やツアー登山の需要がすごくて、人気のガイドさんは予約が取りずらくなっています。アウトドアのはじめ方も変わってきていますね。物品の市場だけでなく、今はそういった体験消費が伸びています。若い人に「アウトドアやるの?」って聞くと「正式に習ったことはないです」ってみんな言うんです。今の時代を象徴していますよね。休みが増えて自然回帰志向が高まれば、みんなアウトドアをやるようになるんです。今の若い人たちが少しずつ新しいライフスタイルを確立しようとするエネルギーから新しい時代のアウトドアブームは起こるのではないでしょうか。
――2018年は『ゆるキャン』や『ヤマノススメ』といった、女子のアウトドアをテーマにするアニメも好評でした。ガールズキャンプも増えていますし、女性ファンも増加傾向にある印象ですが、どういった背景があるのでしょうか。
【大澤氏】まず、『ゆるキャン』『ヤマノススメ』ファンはむしろ男子じゃないですか?そういう意味では男子はアニメでアウトドアと結びついたりしてきているんでしょう。女性客の増加は近年、アウトドアのインフラが整ってきたのが一番の理由じゃないでしょうか。マーケットリードするのはいつでも女性ですよね。例えば、昔の山小屋は本当に汚かったんですが、今は綺麗になってごはんも美味しくなって、雑魚寝だったのが個室ができています。これは2000年くらいからの百名山ブームで増えた中高年女性登山者のおかげですね。今はキャンプ場がすごいことになっています。トイレもピカピカです。余談ですが、キャンプ場情報に「Wi-Fi」「ウォシュレットの有無」を雑誌で初めて表記したのが『BE-PAL』でした(笑)。編集部もがんばってアピールしたんですよ。