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コロナ禍で渡伊を断念、デザイナー志望だった青年が月9主題歌に抜擢 大型新人・idom(イドム)が早くも話題に

idom

 坂口健太郎と杏がW主演を務める、現在放送中の月9ドラマ『競争の番人』(フジテレビ系)。ドラマの盛り上がりと共に注目を集めているのが、主題歌「GLOW」を手掛けた24歳の新人アーティスト idom(イドム)だ。彼は2020年4月からイタリアのデザイナー事務所へ就職することが決まっていたが、コロナ禍の影響を受けて渡伊を断念。ひょんなことからYouTubeで音楽動画の配信を始めると、多くの関係者の目に留まった。瞬く間にメジャーデビューへの道を掴んでしまった逸材だ。

 いまではシンガーソングライター、ラップ、イラストレーター、映像作家など、マルチな才能を発揮。SNS等では「いやいや、、カッコよすぎません?」「一生聴いていたい歌声」「バズる予感!!」「歌上手すぎ!有名になりそう!」「新たな天才が出てきた」などと早くも話題に。本記事は、コロナ禍で人生が一変した彼の記念すべき初インタビューである。

楽器のサウンドにまでドラマ監督のこだわり「熱量が伝わってきました」

――公正取引委員会を舞台にした月9ドラマ『競争の番人』の主題歌を担当することが決まったときはどのような心境でしたか。

idom 学生だった頃は友達とよくドラマの話をしていて、それこそ月9ドラマはみんな観ていたので、“月9ドラマで僕の曲が流れるの?”と不思議な気持ちでいっぱいでした。最近の月9ドラマは恋愛だけじゃなくいろんなテーマを扱っているので、きっと主題歌に関しても新しい挑戦をするという意味で、ド新人の僕にも注目していただけたのかなと思いました。

――「GLOW」はどういったことをテーマに歌詞を書かれたのでしょうか?

idom “応援歌のようなイメージで”と監督からリクエストをいただいたので、そういう意識を持ちつつも、最初は主人公と自分がどこかリンクする部分がないか探りながら歌詞を書こうと思いました。ただ、公正取引委員会ってあまり馴染みがないので(笑)、自分自身とリンクさせるのが難しかったんです。なので、過去に経験した辛い出来事や落ち込んだ日々を思い出して、そこから“弱くても戦う”というドラマのテーマと、自分自身が一歩踏み出した状況をリンクさせて歌詞を書いていきました。
  • idom

    『競争の番人』主題歌「GLOW」(初回生産限定盤)

――実際にドラマの主題歌として「GLOW」が流れた瞬間はいかがでしたか?

idom テレビから自分の歌声が聴こえてきて不思議でしたけど、キャラクターの心情と楽曲がこんな風にマッチするんだと感動しました。楽曲を作る際に、ドラマの監督から歌詞やメロディについてだけではなく、楽器の音のひとつひとつに関しても『こういう感じにできますか?』とリクエストをいただいたんです。そういったところからもドラマに対する熱量が伝わってきたので、改めて主題歌を手掛けるという実感が沸きましたね。

コロナ禍で渡伊を断念し、ひょんなことから始めた音楽が関係者の目に留まり…

――先ほどご自身の経験をドラマとリンクさせたとおっしゃっていましたが、具体的にはどういったことを歌詞に反映させたのでしょうか?

idom 2020年の4月からイタリアのデザイナー事務所へ就職することが決まっていたのですが、コロナの影響で断念したんです。そのときの複雑な心境とか、僕自身の家庭環境、むかし学校でいじめられたこと…なんだか辛い経験ばかりですね(笑)。でも落ち込むたびに“チクショー!”と何度も気持ちを奮い立たせて、前向きになれることを探してやってきましたし、だからこそその思いを「GLOW」の歌詞に乗せることができたような気がします。

――奇しくもコロナによる挫折が、月9主題歌抜擢の道に通じていたのですね。

idom そうですね。今ここで、アーティストとしてインタビューを受けていることがとても不思議です(笑)。ちょうど僕がイタリアに渡ろうとしていた当時、現地の感染者数がすごく多くて、一緒に仕事をするはずだった人から『いまはこっちに来ない方がいいから、しばらく日本にいてください』と言われたんです。それで1年ぐらい経ったらイタリアへ行くつもりだったのですが、ひょんなことから音楽をやり始めたら、そっちのほうがおもしろくなってしまって(笑)。
  • GLOW/idom

    GLOW/idom

――もともと楽曲制作に興味はあったのですか?

idom リスナーとして音楽を聴くのは好きだったのですが、自分で音楽を作ろうとは思ってなかったです。

――では音楽を始めたきっかけはなんだったのでしょうか?

idom たまたま音楽をやっている知人とリモート飲みしていたときに『音楽やってみたら?』と言われたんです。そのときイタリア行きを断念したことでめちゃくちゃ落ち込んでいて、お酒を飲んで酔っぱらっていたんですよね。その勢いで、知人に薦められるままに音楽制作ができるソフトをネットで買ってしまったんです(笑)。その後すぐに“いまから曲を作ろう”という話になり、それぞれが翌朝まで作曲作業をして、出来上がった曲を知人に聴かせたら『お前、才能あるよ』って言ってくれて。YouTubeの1本目に挙げた「neoki」がその曲なんですけど、いまはきっかけをくれた知人にめちゃくちゃ感謝しています。

“偶然の連続”で辿り着いたアーティストへの道「1曲で1000テイク録り直すことも…」

――その動画をレコード会社の方が見て、メジャーデビューに繋がったことを考えると、なんだか運命的なものを感じますね。音楽を制作する上で大切にしていること、こだわっていることはありますか。

idom 歌ですね。ワンフレーズを30回、40回と歌い直すので、1曲で1000テイクぐらい録ることもあります。たぶん僕以外の人はそこまで気にならないと思うんですけど、ちょっとした力の入れ具合とかニュアンスとか、歌い方で印象が変わってくるので、自分が納得いくまでやりたくて。そこはすごくこだわってレコーディングしています。一度世に出たら修正ができないので、できるだけ完璧な状態でリリースしたいんです。

――その細やかさやこだわりは、デザイナー気質が影響してそうですね。

idom そうかもしれません。デザインは1ミリでもズレたら商品にならない世界なので、相当神経質になりながらレコーディングしていますね(笑)。
――そういった意味でも、デザイナーを目指していた過去が今にも生きているのですね。9月にメジャーデビューを控えていますが、今のこの状況をどのように感じていますか。

idom イタリア行きを諦めて、身近な人の不幸もあったりと、すごく落ち込んでいた時期に音楽と出会ったので、偶然の連続でここまできたような気がします。神様が与えてくれたギフトじゃないけど、何かに導かれてここに辿り着いた感覚があって。だから今はとにかく、あまり自分の欲を出さないように気を付けています。歌に関しては責任を持って、細部までこだわっていたいですが、目標に囚われ過ぎると自由に音楽を作れなくなってしまうと思うので。周りの意見にきちんと耳を傾けて、自分だけでは予想のつかない人生を歩んでいけたらいいなと思っています。

――歌を聴く限りはすごく独創的で近寄りがたい印象もありましたが、今日お会いして、すごくピュアで謙虚な方だと感じました(笑)。これから挑戦してみたいことはありますか?

idom ありがとうございます(笑)。音楽は自分を表現するためのツールのひとつなので、いずれアートと音楽を融合させたような作品を作ってみたいです。例えばチームラボみたいな規模の、空間全体にマッチする音楽を作ってみるのもおもしろいんじゃないかなと思います。
→「GLOW」デジタル配信はこちら!(外部サイト)
(取材・文/奥村百恵)

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