(更新:)
ORICON NEWS
The Sketchbook『自分たちにプレッシャーを……そこから何かを感じてもらえたら!』
企画で始まったバンドだけれど、企画だけで終わりたくない
渡邊悠(Dr)3人それぞれで作ったデモのいいところをミックスしたんですけど、クールなロックというざっくりしたイメージがあって。イントロはシンセの雰囲気系で始まり、ギターリフはかっこよく、サビはキャッチー。ある意味でバンドの新境地と言える音作りができたと思っています。
小原莉子(G)全体的にはシンプルな構成ですが、ギターソロが2ヶ所あったりロック感がすごく出せたと思います。スタジオでは演奏しながらヘドバン(ヘッドバンキング)をする練習もしたので、ライブではみんなで盛り上がりたいです!
――作詞は多田さん。タイトルの「クラック」はどういう意味ですか?
多田宏(Vo&B)直訳すると割れ目とか裂け目という意味。例えば、勉強や夢とかでも、諦める理由を探して逃げている人も多いと思うけど、その人のなかにある夢や希望は、どんなに隠しても心の割れ目や裂け目から溢れ出てしまう。だから隠さずにちゃんと向き合おうと歌っています。いつもは頭から歌詞を書きますが、このときは“伝えたい”という言葉がまず浮かんで、その気持ちを大切に書いていきました。
小原私たちのファンは十代が中心で、ライブの物販に自分たちで立って話しをすると、将来について悩みを相談されることも多くて。そういう悩みを抱えるファンを想いながら、多くの人に共感してほしいと思って作りました。
渡邊僕らは企画で始まったバンドだけれど、企画だけで終わりたくないと、常に課題を設けたり何かにチャレンジしながら活動してきて。そこにはやっぱり苦しみもあるけど、その苦しみを乗り越えて手にする強さがあることも身を持って知っている。歌詞はそんな僕ら自身と重なる部分があったので、自分たちにもすごく響きますね。
――ミュージックビデオでは水浸しになっていて、大変だったのでは?
小原すごく濡れると聞いていたので、メイクが落ちちゃうじゃん!と思っていたんですが、実際には撮影の仕方でまったく濡れることもなくて(笑)。でも、お昼はピクニック気分で外で食べたので、景色もよかったしリフレッシュできました!
――ジャケット写真とか衣装のこだわりは?
多田今回は自然体かな。ここのところクールにキメた感じだったので、いつもの僕らのワイワイした雰囲気が感じられるものにしようと。でも2人衣装が決まっても、1人がうーんってなると、最初から選び直しするときもあって……(チラッと隣に座る小原を見る)。
小原あはは。やっぱり女の子なので、これがいいというのがあるんです!でも宏くんは、普段もこういう感じだよね。
多田うん。僕は普段に近い。
渡邊僕は……なぜかいつも短パン。演奏しやすいからいいんだけど(笑)。
今までのThe Sketchbookの良さと新しさを、上手くひとつにすることができた
渡邊これは僕のデモを元に作りました。アレンジ的には、シンプルにそぎ落としていくことで、バンド感をより浮き彫りにしようと。7月末の3rdアルバムに向けて、進化や成長を見せたかったし、UKのダンスロックを思わせる新しい要素もあって。模索しながらだったけど、今までのThe Sketchbookの良さと新しさを、上手くひとつにすることができたと思います。
――歌詞に「僅か21グラム」と出てきますが、タイトルはここから「21」に?
多田はい。原作は中国の春秋戦国時代を舞台にしたお話で、大切なものを守るために命をかける熱さをすごく感じたんです。それを現実に置き換え、自分のやりたいことに命をかけることの強さを描こうと。21グラムというのは、その命とか魂の重さのことで、人は死ぬと魂が抜けた分21グラム軽くなるらしいです。『21グラム』という映画もありますよね。
――NHKアニメワールド『キングダム』はみんな読んだのですか?
多田順番に回し読みしていて、いまは悠さんのところかな。最初は参考くらいのつもりで読み始めたんだけど、気付いたら夢中になっていて、歌詞を書く時間がなくなって大変でした(笑)。
渡邊今の俺がそう。アルバムに向けて作業しなきゃいけないのに、つい読んじゃって。次は莉子ちゃんがそうなるから(笑)。
小原私もきっと、ギターそっちのけで読んじゃうんだろうな?(苦笑)!
渡邊でもホント熱い話で、たとえば将軍が兵士に檄を入れると、とたんに兵士が強くなって。ハートを燃やすことの大事さと言うか……確かにいまの時代でも、ハートが伴っている人は、それだけで強いし他人を巻き込むことができるし。『キングダム』からはたくさん学ぶことがあって、それは歌詞にも詰まっていますね。
――そして9月28日には、SHIBUYA-AXでのデビュー2周年ライブが決定しましたね。今までも様々な試練を乗り越えてきましたが、今はAXまでに100本ライブを課して頑張っているんですよね。
渡邊6月3日現在、77本達成しております!
多田でも100本という数字は目的じゃなくて、AXに向けて必要なことをやるというだけ。100本でも足りないと思えばもっとやるし。
渡邊その様子をサイトやブログなどで公開していくことで、AXに至るプロセスもみんなと共有したいと思っているんです。
小原あとメンバー自身がセールスマンとなって、資料とかCDを持って、ライブハウスや音楽スタジオ、CDショップとかに出向いてプロモーションすることもやっていて。基本アポなしで行くので、最初は驚かれますけど(笑)。
多田演歌歌手の人みたいだねって言われるよね(笑)。そういう自分たちの足りない部分を補うために努力する姿をリアルに見せることで、自分たちにプレッシャーを与えているし、そこからみなさんに何かを感じてもらえたらと思っています。
(文:榑林史章)
関連リンク
・プロフィール/CD売り上げ
・オフィシャルサイト