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SEKAI NO OWARI、誰も信用していなかった…紆余曲折経た10周年「“売れなくていい”は逃げ」

大事なことはSNSやネットには書かない、実像をイメージしロジカルに向き合うことが大切

──コロナ禍のストレスで、SNSの殺伐さも増しているように感じます。皆さんのSNSとの付き合い方を教えていただけますか?

DJ LOVE 僕はわりと怖いもの見たさを面白がれる方なので、エゴサーチをしちゃうほうなんです。だけど、ショックなことが書かれていても笑い飛ばせる精神状態じゃない時はしないです。
Nakajin 気になると調べちゃうのが人間の性質なので、難しいところではあります。でも何を書かれていても、別に全人類の意見じゃないし、というのが僕の受け止め方ですね。
Saori 私もそれと似ていて、統計的に考えると精神衛生上いいなって思うんですよ。例えばアンチコメントをするのはSNS利用者の数パーセントの人で、それくらいわずかということ。そこに心を囚われるのも合理的ではないと、わりとロジカルに捉えていますね。あとネットでコメントを書くのは40代以上の男性で年収も高いとか…。
Nakajin 実像をイメージする感じ?
Saori そうそう。ということは「会社で嫌なことがあったからこんなこと書くのかな?」とか、アナライズしてみるのも面白かったりしますね。
Fukase 大事なことはSNSやネットには書かない、というのが発信する側の僕の言い分です。昔は夜中にわーっと書いて、自分が思っているのと違う反応がくるとショックで、「なんでわかりあえないんだ!」ってまた書いて…ということを繰り返していた頃もありました。でも、こんなのなんか不毛だなって気づいて。今の僕のツイートは、めちゃくちゃ適当ですからね(笑)。
Saori 本当にしょうもないことばっかり書いているよね。100万人以上いるフォロワーに向けてさ。
Fukase ってSaoriにいつも怒られています(笑)。でも、やっぱり本当に伝えたいことは直接、面と向かって言ったほうがいいなと思うんです。ライブのMCも含めてね。というくらい、引いた距離感が僕のSNSとの付き合い方です。

デビュー当時は誰も信用していなかった…それが防衛本能でもあった

──この10年の間、現時点の決定的だった出来事を教えてください。

Fukase やっぱり一番はいわゆる“セカオワハウス”を手に入れたことだったと思います。その少し前に(共同生活をしていたライブハウス兼住居の)club EARTHを出て、実家に帰っていて。活動は普通にしていたけど、なんとなくバラバラになりかけていたんです。
Saori 自分たちらしい音楽ができてない感じがしていました。
Fukase 結局、各々が自宅で曲を作っていたから、共作になってなかった。これじゃダメだ、もう一度自分たちの場所を作ろうというSaoriの提案で、スタジオと居住空間が一緒になった“セカオワハウス”ができました。
Saori 今はもうFukaseしか住んでないけど、曲作りは今もそこでしていますし、まずはそこに4人集合してから一緒にその日の仕事場所まで行くようにしています。

──この10年で培ってきた、11年目以降のSEKAI NO OWARIの財産のようなものを教えてください。

Fukase 優秀なスタッフに恵まれたことかなと思います。一歩進むごとに『ドラゴンクエスト』みたいに仲間が増えていって、いい仕事ができるたびに僕らもその人たちをすごく信頼できるようになって。
Saori 自分たちが信頼できるようになったことは大きかったと思う。デビュー当時は近寄ってくる人をある種、敵みたいに疑ってかかるところがあった。
Nakajin その当時はそれが防衛本能みたいなものでもあったんだよね。
Fukase 誰も信用していなかった。「ラブソングを書かなきゃ売れないよ」と言われて、「嫌だよ」って言ったこともありました(笑)。だから最初のアルバムには1曲もラブソングが入っていないんですよ。
Nakajin だけど4人だけで意思決定するのではなく、スタッフや周りの意見も取り入れることでいい方向に進むこともわかった。僕らがスタッフを信頼することで、連携もよりうまく回るようになったしね。
Saori 特にライブチームは1年のうち数ヵ月はサーカス団のようにずっと一緒に過ごしていることもあって、揺るぎない阿吽の呼吸みたいなものがありますね。
Fukase だけど、僕はその阿吽の呼吸が足かせになるときがくるかもしれないとも思っています。それはスタッフだけじゃなくて、僕らの音楽スタイルや届け方すべてに言えることなんだけど、心地よい船に乗って順調に進んでいるが故に思考停止してしまうのはすごく嫌なんです。本当にこの方向で合っているのか? ということを毎日きちんと確認して話し合い、間違っていたらいつでも船を降りる勇気を持っていたい。それが11年目以降のSEKAI NO OWARIの歩み方だと思っています。

(文/児玉澄子)

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