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“号泣バンド”BLUE ENCOUNT、感情をさらけ出す理由とは?

 2016年は、発表したシングルが週間ランキングでトップ10入り、また10月に開催された自身初の日本武道館単独公演のチケットは即ソールドアウトするなど、大躍進を遂げたブルエンこと、BLUE ENCOUNT。夢を信じる力を与える、彼らの熱くピュアなメッセージのこもったサウンドに、リスナーはもちろん、バンド自身も感極まってライブで涙することも多いことでも知られている。でも、なぜ彼らはカッコつけずに感情をさらけ出すのか? その理由を本人たちに直撃してみた。

苦労が報われ目標にたどり着いたら、自然と感極まって泣いてしまう

──2016年は、シングルが週間ランキングのトップ10入りし、さらに自身初となる日本武道館ワンマン公演も大成功。大活躍の1年でした。
辻村勇太 本当に有り難い気持ちでいっぱいです。と言うのも、僕ら結成してすぐ、こう言う状況に恵まれたわけじゃなく、お客さん(ファン)がほとんどいない状況を重ねて辿り着いたものだったから、感慨深いですね。

──どうして、ここに来て人気が拡大していったと思いますか?
田邊駿一 昨年の夏にメジャー初アルバム『≒(ニアリーイコール)』をリリースしてから、バンドをめぐる環境が大きく変わっているなって感じがします。僕らは結成当初から、ずっと同じスタイルで音楽をやっているだけなんですけどね。それが今になって、受け入れられているというか。

──かなり熱いメッセージのある曲を作っている印象が。
田邊駿一 以前は「ロックに熱さなんて求められていない」なんて言われることもありましたが、今は熱いものをロックに求めるリスナーが増えているというか。聴き手に肉迫したものを作らないと、受け入れてもらえない状況になっていて、そこで認められているような気がしています。

──熱さ余って、ライブでは観客のみならず、みなさんも号泣することもあると、話題になっています。
田邊駿一 “バンドマンがファンの前で泣くな!”という声があるのは知っています。でも、単純に夢を追いかけるために必死になって苦労してきた人間が、目標にたどり着いたら、感極まって泣くのって自然の流れではないかって。

──いつ頃から、泣くようになったんですか?
辻村勇太 結構、昔から泣いているような(笑)。
田邊駿一 今でもライブのSE(登場時のBGM)で楽曲を使用させていただいているバンド、MISSPRAYと2011年におこなったツアーでしたね。それがMISSPRAYと最後にまわった公演で、さらに東日本大震災の直後ということもあって、感情が昂ってつい……。そこがきっかけですけど、常にライブで泣いている訳じゃないですからね(笑)!

──どういう瞬間に泣くことが多いですか?
田邊駿一 自分たちにとってターニングポイントになるような大きな場所でのライブが多いかもしれないですね。ここまで来る道のりが、みなさんの想像を絶する大変さだったので、その日々をつい振り返ってしまって。他のバンドの方々でしたら、打ち上げとか親しいスタッフさんなどの前とかで泣くのかもしれないですが、僕らはここまでたどり着けたのは、応援してくれたファンやリスナーの方々のおかげでもあるから、感動を多くの人と共有したいという気持ちも、ステージ上で涙を流す要因になっているのかもしれないですね。
高村佳秀 お客さんが、両手で数えられるくらいしかいない状況でライブをしたこともしょっちゅうでしたからね。そこから、この間は日本武道館で1万以上の人の前で演奏できたことを思うと、今でもジーンとくるほど。
江口雄也 また、泣いているお客さんを見て、つられて涙が出てしまうこともあります。特に、男の子が号泣しているとグッとくる。スポ根漫画を見ているような、熱さを感じて(笑)。また、結成当初は女の子のファンが圧倒的に多かったので、今は同性にも認められるバンドになれたんだなという感慨深さもありますね。
辻村 観客の皆さんが、暖かく僕らを迎え入れてくれる雰囲気を感じると、自然と涙が溢れることはよくありますよね。

心の壁を突き破る腕に自信あり!

──ブルエンのファンは10代の男女が多い印象。みんな心に熱いものを抱えて、それをライブで解放している気がしました。
田邊駿一 今の若い子って、熱がないとか言われることが多いかもしれないけど、僕らが見る限り、みんな熱がない自分をまとっているだけじゃないかって。僕らも、学生の頃は「本当はこんなことしたいけど、ダセーと言われたくないし」と思って、何かを諦めたりしたこともあった。でもバンドを始めて、あえてダサくて臭いと思われるような言葉を率先して表現するようにしたんです。その姿勢が徐々に受け入れられるようになり、多くの人の心にある熱いものを解放させたのではないのかなって。今の子って、何かきっかけがあればクールな殻を破ることができる。その役割を僕らが担えたらいいなって。

──また、メジャーデビューを果たすまで10年の苦労を重ねるなど、いろいろな壁を乗り越えて、今に辿りついたバンドだからこそ表現できる力みたいなものも、熱さを与える要因なのでは?
田邊駿一 お客さんのほとんどいない会場でのライブとか、相当高い壁を乗り越えていますからね。だから、ライブで後ろの方でじっとしている人とか、大好物なんですよ(笑)。その人のそばまで行って歌ったりとかする。すると、ライブ終盤になると、信じられないくらい高く手を挙げて盛り上がってくれたりして。そういう反応を見るのが嬉しいし、またライブに来てくれたら、絶対にみんなを盛り上げる自信はあるので、ぜひ壁を突き破って遊びに来て欲しいですね。

──そして、このたび完成したシングル「LAST HERO」は、TVドラマの主題歌に起用されて、話題沸騰。さらに壁を突き破って、ファン層を拡大させそうな予感が。
田邊駿一 僕らにとって初のドラマ主題歌。実は僕は、根っからのドラマ好きっ子で、90年代からいろんな作品を観てきたから、このお話をいただいた時は喜びの感情でいっぱいでしたね。だから、いつもより調子よく曲のアイデアが閃いて、最後に完成したのがこの曲。頭を空っぽにして聴けるくらいの明快さがありつつも、心に残るフレーズもあったりして、ブルエンがこれまで作った音を凝縮したような仕上がりです。しかも、ドラマのプロデューサーさんからは一発OKをいただいて。バンドそのものを、評価していただけた気分になりました。
江口雄也 ドラマの主題歌という、不特定多数の方々にブルエンらしい音楽を聴いていただける機会を与えていただいて、光栄ですね。また、ライブ映えする仕上がりになっているし。
高村佳秀 ドラマではストーリーを演出する音楽として聴こえるかもしれないですが、どこかに必ず耳に残るものがあり、それを体感しにライブへ行きたくなるような気分にさせる仕上がりなのかなって。また実際にライブへ足を運ぶと、TVで聴いたものを超える興奮やかっこよさを味わってもらえると思います。

──年明けからは、全国ツアーもスタートします。2017年はどんな1年にしたいですか?
辻村勇太 もっと成長しなきゃ、という気持ちで常に全力をかけて、いい楽曲を発表していきたいですね。
田邊駿一 日本武道館ワンマンを終えて、今までなかった自信がようやくついた気がします。歌詞もちゃんと書けていると思うし、バンドの音もそれにあうものをしっかり表現できている気がするし。だから来年は「俺らやっていること、かっこいいんだけど?」という気持ちで、いろんなタイプの楽曲を発表したいというか。僕ら泣くばかりじゃない要素が、腐るほどあるバンドなので、そこを伝えていけたら。

(文:松永尚久)
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