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Wエンジン×吉田山田の異色対談! チャンカワイが片思い……2組の意外な出会いとは

お笑いとアーティストのライブでの違いとは

――吉田山田のおふたりは、47都道府県ツアーも控えていますが。
吉田 おふたりは、47都道府県を全て回りましたか?
チャン 沖縄をのぞいて全国行きましたよ。僕らはお笑いの営業ですけどね(笑)。僕らは、「このあと青果コーナーで特売やります!」っていう呼び込みも、込みでの営業ですから。
山田 僕らは、逆に行ったことのない土地のほうが多いので、どのくらいお客さんが集まるかわからなくて不安も感じています。誰もお客さんが来ないという夢も見ちゃったくらいで。
吉田 2人きりでワンマンをやること自体が久しぶりなので、そういう不安もありますね。デビュー当時はよく2人でやっていて。やっぱり独特の緊張感があって、ごまかしがきかないというのが大きいです。そういう意味では、気持ちで負けないようにしたいです。きっとリラックスしたアットホームで、吉田山田らしいステージになると思うので、幅広い世代に楽しんでもらえると思います。
山田 おふたりもステージという部分で、感じることって何かありますか?
えとう 結成当初は、お互い考えていることが違ったり、意見が食い違ったりすることがあって。16年目にして、やっと気持ちが揃うようになって、そうやって徐々に作られてきたものがあります。
チャン おじいちゃんおばあちゃんの前で、「惚れてまうやろーっ!」をやってもね。
えとう 昔は、俺たちは「惚れてまうやろーっ!」でウケたんだから、絶対やるべきだって頑なになったこともありました。状況に合ったことをやるのが最善策であると、今は思うようになりましたが、音楽のライブもまさに状況で変わるわけですよね。
吉田 そうですね。でも音楽とお笑いが違うのは、お客さんの反応です。お笑いは、みなさん声に出して笑って笑顔になって、一目瞭然ですよね。でも歌を聴いて感動したときの反応は、人それぞれ。手拍子してくれる人もいれば、ジッと聴きたいと思う人もいる。最初はそういうまばらな反応に、どうしよう? って思っていました。でも、今はそれがわかったので、動揺することはなくなりました。あと、これは僕らの中でのあるあるなんですけど、良かったライブほど時間が経つのが遅く感じます。

――ツアーに向けての準備のほか、最近ハマッていることはありますか?
山田 音楽以外の挑戦を楽しみにしていて。自分が見た絵や映画、景色、出会った人によって、メロディや言葉が変わることに気づいたので、音楽以外の様々なことに挑戦することが、音楽につながってくると思って。まず3月13日にフルマラソンを走ります。あとは、時間が少しでもあると絵を描くようにしています。
吉田 前にお会いしたときの山田とは、少し変化があるのですが、チャンさんはわかりますか?
チャン ?
山田 昨年三つ編みを切りました。
チャン ああ〜〜ほんまや!!
山田 これもご縁があって、貴乃花親方に断髪していただいたんです。10年以上伸ばしていたから、これもひとつの節目で新たな扉を開きたいと思って。それと、自分の変化を記していきたいと思って、日記は三日坊主になってしまうので、その日の気持ちを色にして、寝る前に塗っていこうと、色日記を去年の6月から始めて、6月でちょうど1年分の気持ちの色が集まります。それも、どこかでみなさんにお披露目できたらいいなと思っています。
えとう それは、ぜひお願いします!
チャン 1年の軌跡を僕らに見せてください!

Wエンジンが“惚れてまう”吉田山田の『47【ヨンナナ】』のこの1曲とは

えとう 優劣は付けられないですが、あえて選ぶなら「押し出せ」です。歌詞に<ネガティブを押し出せ>というフレーズがありますが、今や仕事の比率は相方の方が上で、僕は相方よりも7歳上で独身。相方は車に乗って、僕は自転車。全ての状況がネガティブにしか考えられなかったのですが、歌詞を読みながら聴いていたら、自分の中の消極的な部分をやっと押し出せた気がしました。最初は、ネガティブを外に押し出そうよと歌っているのかと思ったんですが、ネガティブを自分の前面押し出して行くことがポジティブの近道だと歌っているのではないかと。
山田 正解は特にないですが、このアルバムには、僕自身が悔しいと思って書いた曲が多いんです。だから、ただポジティブになろうというのではなく、自分にも駄目な部分があるよって……。そういうときはひとりぼっちを感じてしまうけど、そういうときこそ、ひとりぼっち同士でがんばろうぜっていう気持ちを込めています。
えとう ダメな部分もひっくるめて、自分と捉えることができるというか。
山田 この言葉を言うことによって変わっていける部分もあるんじゃないかって。実は「ネガティブ押し出せ」というフレーズは、デビュー当時によく使っていた言葉で、7年前の僕から今の僕が、バトンを受け取って1つの曲にしたいと思ったんです。
吉田 ラジオで、最後のコメントに困り果て、追い詰められて出たフレーズなんです。ライブで山田が号泣しながら「押し出せ押し出せネガティブ押し出せ」と言ったときがあって。簡単にネガティブを押し出せないけど、それをあえて言葉にしていた山田に、僕は感動して彼らしいなと思ったことがありました。
チャン 僕は「OK」です。「母のうた」からの流れで、すごく響きました。僕も上京してから、ずっと幸せを追いかけてきましたが、はっきりした幸せもありながら、まだ模索している幸せもあって。歌の中には、かくれんぼが出て来ますが、僕も子供の頃はその当時なりの幸せを探していたことを思い出して。幸せを探すということは、この世に生まれた瞬間から誰にでも与えられた権利なんですよね。そういう流れで弾き語りの「日々」を聴いたとき、「毎日本当に・・・」の「・・・」の部分が、「愛してる」に聴こえました。初めて自分は結婚したんだと実感させられた瞬間でした。
吉田 この作品は、完成した時点で聴いてくださったみなさんのものなので、自分のわがままで聴いてほしくて。おふたりとも曲を自分と重ねて、自分のここに刺さったんだというお話をしてくださったのが、とてもうれしいです。

吉田山田が“惚れてまう”あのアーティストのこの1曲

えとう 逆に、おふたりにとってのこの1曲ってはありますか?
吉田 たくさんあるから難しいなあ〜。
山田 最近よく聴くのは、ハナレグミさんの「天国さん」という曲で、歌の主人公であるおじいさんのお葬式のひとこまを描いたもので、傷ついたことさえも、生きている証だなという曲。「日々」のリリース後、家族のエピソードに触れることが多く、僕自身も家族を題材に曲を作ることが増え、聴く曲もそういうものが増えました。「天国さん」は、寒い日に歩いていると、ふと聴きたくなる1曲です。
山田 僕は、平井堅さんの「LIFE IS…」ですね。子供の頃、祖母とお風呂に入った時に、学校で習った歌を歌って欲しいと頼まれて歌っていたんです。祖母は、僕の歌を聴いて毎回泣いていました。それで、歌はすごいなと思っていて。その祖母が12〜13年前に亡くなったとき、祖母のいる千葉に向かう道中で、平井堅さんの「LIFE IS…」を聴いていました。祖母の家に着き、もう亡くなっている祖母の前で、「LIFE IS…」をアカペラで歌ってお別れをしたんです。そのときに、何となく自分の中で気持ちの整理がつきました。それまでは、実感がなかったんだけど、この曲を歌ったときに、ストンと腑に落ちたというか……その日以来、この曲は特別な曲になりました。
チャン 思いを曲に託す。歌でおばあちゃんと繋がっていた。
えとう 整理できるというのも音楽の力でしたね。

(文:榑林史章/写真:ウチダアキヤ)
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