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星野源『新曲「知らない」に通ずる曲作りへのこだわり、“初挑戦”の2012年を語る』

 夏にリリースしたシングル「夢の外へ」がCMソングに起用されるなど、ソロアーティストとしても着実に活躍の場を広げている星野源。その一方で、ドラマや舞台で俳優として、また自身のインストバンド・SAKEROCKとしても活躍している彼に、新曲「知らない」の話題を中心に、これまでや今後の活動について語ってもらった。

聴く人それぞれのモノ(曲)になってほしい

  • 4thシングル「知らない」

    4thシングル「知らない」

――前回のシングル「夢の外へ」は軽快なナンバーでしたが、新曲「知らない」はしっとりと聴かせるバラードになりましたね。
星野源作ったのは「夢の外へ」が出る少し前の、7月の頭くらい。まず曲が出来て、そこから2ヶ月くらいかけて作詞をして、ようやく出せる形になりました。これは僕にとって非常にシリアスな、ある出来事をきっかけにして衝動的に出来た曲なんです。その出来事としっかり向き合いながら、同時にポップスとしていろんな人に聴いてもらえるものにもしたいと思って。そうやって考えて作っていたら、2ヶ月くらいかかってしまって。

――歌詞は、すごくドキッとさせられる部分もあったり、こういう気持ちになったことがあるなと思ったり、聴いていろんな感情が生まれる歌だと思いました。
星野人によって受け取り方が違ったり、いっぱい想像を膨らませてもらったり、そういう風に聴いてもらえることが理想ですね。言いたいことはこれです!と決めつけてしまうと、聴いてくれる人が入り込めなくなってしまう。何ていうか、聴いてくれる人のモノになってほしいんです。それはほかの曲でも同じです。

――その出来事があった後に、その気持ちをどう抱えて生きていくのかという部分が歌われているのが、いいなと思いました。
星野たとえば映画はエンドロールで終わりだけど、物語はずっと続いていく。その出来事そのものも大事だけど、その後のことも大切だと思います。人生で「あ〜俺終わったな」とか「もうダメだ〜」みたいに思うことって誰でもあると思うけど、それを単に「終わりは始まりだ」と古典的なメッセージでくくってしまうのはきれいごとすぎる。僕がその出来事に直面したときは、「終わりが始まりだ」って言われても、そんなこと少しも信じられないと思ったし。それを踏まえた上で、でもやっぱりその先があるんだよ、という歌になればいいなと思いました。ただ、その先に何があるかは、僕もアナタも誰も知らない……そういう歌です。

――シングルはほかに3曲を収録して、実に多彩な1枚になりましたね。
星野2曲目の「ダンサー」は、設楽統さんに言われてバナナマンのお2人のコントライブのオープニング曲として作ったインスト曲が好評だったので、歌詞を付けて歌にしました。実は踊るのが好きで、高校生のときは岩手県の伝統芸能で、“鬼剣舞(おにけんばい)”というのをやっていました。3曲目の「季節」は“川口のソウルミュージック”がテーマ(笑)。ソウルやブルースのエッセンスを、日本的なメロディーと歌詞で消化したいと思って作ったもの。ちなみに川口は僕が生まれ育った街です。ラストの「おもかげ(House ver.)」は、家のパソコンで録音した曲です。日常の音が普通に入っちゃっているのが家で録るポイントで、この日は台風だったのでビューって風の音がいい感じで入っちゃっています(笑)。

音楽と芝居、両方出来ている今が楽しい

――星野さんの歌は、どれも日常感に溢れていますが、それは意識されてのことですか?
星野借りてきたような言葉は使いたくなくて、自分のなかから出てくる言葉で歌おうとすると、どうしても身近なものになります。アルバム『ばかのうた』に「茶碗」なんて曲もあったり、自分のフィルターを通す過程で、どうしても生活臭が出てしまうのかもしれませんね。

――ところで、来年夏公開の映画『箱入り息子の恋』では映画初主演。アニメ映画化が決定した『聖☆おにいさん』では、ブッダ役で声優にも初挑戦と、役者としても大活躍ですね。
星野僕はもともと映画が大好きで、以前からもっとやりたいと思っていて。実際やってみて、ドラマとの違いなどわかったこともたくさんあって、非常に充実した撮影でした。僕、どういう訳か芝居で裸になることが多くて、今回も裸になるのでぜひ観てください(笑)。『聖☆おにいさん』は原作コミックを全巻持ってました。声の出演はずっとやりたかったので、すごく嬉しかったです。今、実際のブッダについて猛勉強中です。

――お芝居と音楽、始めたのはもともとどちらが先だったんですか?
星野どちらも中1からです。周りで音楽を始める奴が多くて、置いてかれないように自分もギターを始めて。同時期に、誘われて演劇も始めて。一時は二足のわらじはいけないんじゃないかと、悩んだこともありました。でも、やっぱりどっちもやりたくて、続けていたら今の状況になっています。だから両方出来ているのが、本当に楽しくて仕方がないんです。ただ、今年はとにかく忙しかった(笑)。振り返ると、もっと時間を上手くやりくり出来たんじゃないかって反省もあって。来年はそこを改めて、もっといろいろなことにチャレンジしたいです。あと関係ないけど、バンジージャンプとかスカイダイビングとか、普通はやらないようなことをやってみたいですね(笑)。

――年末年始くらいは休めそうですか?
星野たぶん休めませんね。でも「休みがないんだよね〜」って言ってる感じも、実は楽しかったりします(笑)。
(文:榑林史章)

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