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音楽評論家が地元長野で話題の町おこし
もともとは、富澤氏がこの地の出身ということを知っていた須坂市文化会館メセナホールの関係者が9年前に、何かフォークのイベントができないだろうかという相談を富澤氏にもちかけた。お世話になったふるさとに恩返しができるチャンスと富澤氏は快諾。そこから「歌とトーク満載のフォーク・コンサート フォーエバーヤング」というコンセプトが固まり2006年5月21日に第1回が開催された。
須坂市は長野駅から長野電鉄で30分。川をいくつも渡ったところにある人口5万人クラスの地方都市だ。メセナホール側の提示した予算は少ない。そこで、富澤氏がとった作戦はアーティスト本人への直談判。まずは30数年の付き合いの杉田二郎に趣旨を説明しお願いをしたという。
杉田は「一誠さんのふるさとのためなら喜んで協力させていただく」と快諾。そして杉田に続き富澤氏と親交の深い因幡晃、永井龍雲も出演を快諾し、第1回が開催された。告知期間が少ないこともあり、客席は6割の入りだったが、内容は大好評で第2回目以降も続けていくことが、その日のうちに決定したという。
続けるうちに、内容の楽しさが口コミで市民に伝わり、第4回には満員になった。そして、今年で9年目。須坂、初夏の風物詩として市民にすっかり定着したこのイベントは、今年も6月15日にマイク真木、太田裕美、紙ふうせんの出演で開催され、会場は満員となった。
このイベントが須坂の人々の意識を変えたのは間違いない。ポピュラー音楽への市民の理解度がグッと高まったのだ。「普段、外に出ない高齢者の参加が多いのがこのイベントの特徴です。お役所だけでやってもこううまくはいかないでしょう。官民一体で取り組んだ成果がでているイベントになったと思います」と須坂市長の三木正夫さん。
この成功に意を強くした須坂市では、須坂市制施行60周年記念事業として市内のさまざまな場所で音楽イベントを開催するイベント「まちじゅうがメセナホール」を7月11日まで全10公演実施中。中には第1回目のフォーエバーヤングコンサート出演者の永井龍雲の姿もある。まさに、一人の音楽評論家が継続してきたイベントが町を動かしたのだ。
このイベントも来年は第10回。メモリアルなものにしようと富澤氏と須坂市の関係者は意気込む。また、「このイベントの精神はどこの地方都市でも通用するもの」と富澤氏はさらに別の地方都市への応用も示唆する。こういった官民一体となった取り組みが全国に波及すれば、さらなる高齢者の活性化につながるのではないか。
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