【編集長の目っ!】supercellの「良質なポップスアルバム」は必聴

■注目のクリエイター集団・supercellの快進撃は続く

 ここのところ『ニコニコ動画』発信の音楽、アーティストの活躍がめざましい。オリコンランキングの上位に顔を出してくることも珍しくなく、新たな新人発掘の場、ヒットの発信基地として、大きな注目を集めている。

 『ニコ動』では、大きく分けると“ボカロP”(P=プロデューサー。ボーカロイドを使い楽曲を制作しているクリエイター)と、“歌い手”(オリジナル楽曲他、自分が歌っている作品を“歌ってみた”カテゴリに投稿、活躍するボーカリスト)の2つのタイプが存在する。

 会社の後輩から「ニコ動で、数百万回再生されている曲があって、すごくいいのでとにかく観てください!」と言われ、初めて『ニコ動』に足を踏み入れるきっかけとなったのが、supercellの「メルト」だった。詞、曲のその完成度の高さに「これが素人?」と、その後輩に、まるで素人ような質問をしたのを覚えている(笑)。supercellはコンポーザーのryoを中心に、イラストレーターやデザイナーで構成されたインターネット発のエンターテイメント集団で、音楽とイラストが融合したそのオンリーワンの世界観で、この時すでに絶大な支持を得ていた。

 そしてその後supercellは、ボーカロイド・初音ミクをフィーチャリングした1stアルバム『supercell』が10万枚を超えるヒット。さらに、メジャーデビューシングル「君の知らない世界」も10万枚を超え、以後シングルはコンスタントにランキングのトップ10に送り込んでいった。さらに他のアーティストへの楽曲提供も行うなど、supercellは注目のクリエイターとして一躍注目を集める存在になった。3月23日にリリースした2ndアルバム『Today Is A Beautiful Day』が3位に初登場し、現在までに約5万枚のヒットになっている(4月4日付現在)。

 今回の作品は前作と打って変わって、ボーカロイド作品ではなく、全編nagiという素晴らしいボーカリストの歌と、バンドサウンドで、改めてsupercellという集団、ryoというクリエイターの力を見せ付けられた感じがする。

 最初の印象は「良質なポップスアルバム」――キャッチーで、非常に肌触りのいいメロディが、美しく繊細で、でも力強さを持ち合わせた詞をより印象的にして、心に送り届けてくれる。

 以前ryoにインタビューしたときに、彼が「筒美京平さんのような、あまり表に出てこ(顔が見え)ない、でも作る曲はみんなが知っている、そんな作家になりたい」と言っていたのを思い出した。誰もが気になるメロディーを作ることができる、メロディーメーカーとしての才能を確信させてくれた。さらに彼の場合は詞も手がけていて、それをnagiという彼が選んだボーカリストが表現するという部分で、詞とメロディーから醸し出される“温度感”が抜群にいいのだと思う。シンガー・ソングライターとはまた違う楽曲への“アプローチ”、独特の“距離感”みたいなものも、そう感じさせてくれる一因なのかもしれない。

 そして隅々にまで“こだわり”を感じさせてくれるところもいい。それぞれの楽器の音が素晴らしく、1つひとつのフレーズがすごく印象的で、極上のバンドサウンドだ。色々な音楽のフレーバーも散りばめ、とにかく心地イイ。

 初回盤に付いているブックレットも、こだわりにこだわっている。1曲ずつ違うタッチのイラストで、その曲の世界観を表現。歌詞とイラストを見ながら、曲を聴いていると、世界観がよりリアルに映る。楽曲とイラストとが有機的なつながりを見せているところも、他のアーティストと違うところだ。

 supercellのryoには“作家”という言葉が似合う気がする。

 今回は生にこだわった作品だけど、今後はまたボーカロイドを使った作品も作ってくれるはずだ。でもryoが作り出す音楽は、「良質なポップス」であることに変わりはない。

 「良質なポップスアルバム」とは、普遍性を湛え、時代を超えて聴き継がれていくものだ。

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