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【編集長の目っ!】総移動距離は地球約2周分。愚直なまでに“全国行脚”を続けるひいらぎ

■“人前”と“生”にこだわり、伝えたい

 8月26日にシングル「かけら」をリリースし、先月もこのコーナーで取り上げた女子デュオ・ひいらぎは、相変わらず旅を続けているという。

 ひいらぎの所属レコードメーカーのディレクター氏と話をしていたときに「彼女達はメジャーデビュー前から“全国行脚”を続けていて、各地で路上ライブやラジオ番組で生歌を披露してるんですよ。で、もう34都道府県制覇してますっ!」という話題になった。「へ〜、じゃあ移動距離とかすごそうですね…地球1周分とかになってたりして」と言うと、ディレクター氏「!」。

 次の日、これまでの移動距離を全てチェックして(08年末〜約10ヶ月間)、合計を出しましたというメールがディレクター氏から届いた。するとなんと地球1周=約4万kmをゆうに超え、総移動距離はなんと7万km。地球2週目に入っている!!

 彼女達の“行脚”の様子は、そのブログからも伝わってくる。本当に良く“動いている”ことがわかる。

 今こういう動きをしているアーティストは珍しいのではないだろうか?ひと昔前は時間とお金をかけて全国津々浦々を回り、プロモーションしていた…という話はよく聞くが、今ここまで愚直に“人前”と“生”にこだわり、レコード会社のプロモーターではなく、本人達が直接でかけていって、そこにいる人たちと触れ合うというスタイルを貫いているアーティストは、彼女達の他にいないのではないだろうか。いわゆる“演歌的プロモーション”といわれるスタイルだが、でも結局一番人に“伝わる”ってことなんだろう。

 アーティストの情報は様々な媒体を通してユーザーに届き、音はCDやダウンロードという形で届く。でもそこに“確かなコミュニケーション”は存在しない。ブログ、手紙、ライブ、ファンクラブイベントなど、コミュニケーション手段は確かにあるが、ひいらぎのように全国をここまで細かく回って、ストリートやパブリックスペースで、自分達の曲と声を直接届けようとしているアーティストはどれぐらいいるのだろうか?しかもメジャーデビューした後も決してスタンスを変えることなく、である。

 先ごろ行なわれた、民主党が歴史的圧勝をした衆議院議員選挙で、その民主党の選挙指揮を取ったといわれている小沢一郎氏が、特に新人候補者に徹底させたのが「どぶ板選挙」だという。この意味には諸説色々あるが、選挙区内を繰り返し回り、有権者との接触を重ね、支持を固めていく戦術で、あいさつ回りや集会、はたまたお祭りや運動会などの地元行事にまで出席し売り込むこと―――要は足を使ってできるだけたくさんの人に触れ合う、ということだろう。

 時代はどんなに進んでも、結局“人”の心を掴むには直接“人”に会って、手とココロで握手をすることが、1番効果的ということだろう。

 地元での細かい動きの「どぶ板」とはまた意味合いが違ってくるかもしれないが、ひいらぎの動きを見ていると、どこかかぶってしまい、同じ“匂い”がしてきた。

 彼女達が日本全国を歩いて届けた想いは、蒔いた種は、いつの日か必ず花開くはずだ―――そう信じている。



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