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【コラム】サザン『真夏の大感謝祭』で感じた活動30年の重み

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 30年。30年か……。ひとつのことを30年続けるには好きという気持ちだけではあまりにも難しい。そもそも、好きという感情を30年間ずっと変わらずに持ち続けるのは不可能に近い。男女の関係でもそうだが恋愛感情などは、もって3年がいいところだ。あとはそれを愛と生活に変えるしかない。2008年も様々なニュースが飛び交った音楽業界だが、やはりトップニュースといえば、日本を代表するバンド、サザンオールスターズが活動30年の節目で活動休止を宣言をしたことであろう。老若男女、彼らの歌を1曲も知らないという日本人はいないのではないだろうか?

 そんな彼らが今年の8月16日・17日・23日・24日と横浜の『日産スタジアム』にて『サザンオールスターズ〜真夏の大感謝祭〜30周年記念LIVE』を行った。解散ライブではないか? という噂は、ライブ中の桑田佳祐による「また素晴らしいアルバムを作って帰ってきますんでよろしくお願いしま〜す!」というMCによっていとも簡単に払拭された。

 4日間にわたって行われた『真夏の大感謝祭』は、雨が降る日もあれば、もちろんそうでない日もあった。意外なことにどの日もMCは少なめで、とにかくたくさんの歌を聴いてほしいというバンドの思いが伝わってきた。1曲ごとに「ありがとう!」を連呼する桑田佳祐の言葉に嘘偽りは感じられなかった。

 客席の男女比はほぼ半々で年齢層も幅広く、結局はテレビを観ている層なんだろうな、と。テレビを観る感覚で夏休みといこともあり会場に足を運んだ人が多かったような気がする。夏といえば○○みたいなバンドも日本には見受けられるが、そういったグループとサザンオールスターズの違いは、圧倒的にリーダーである桑田佳祐の頭と品格の良さであると確信した。

 音楽的ルーツでいえばイギリスとアメリカの違い。桑田佳祐は言うまでもなく前者だ。バカを演じながらも、スレスレのラインで表現が下品にならないのは彼の資質とも言うべき、類稀なる才能によるところ大である。それがサザンオールスターズが30年間にもわたり、トップアーティストのポジションをキープすることのできた源泉なのであろう。

 12月3日にはこの時のライブを収録した彼らのライブDVDが発売された。BOX、通常盤、ブルーレイディスクといった3種。30年という彼らの歴史がつまったDVD作品。サザンオールスターズ自身への愛、音楽への愛、スタッフへの愛、そして、何よりこれまで支えてくれたファンへの愛がパッケージされている作品である。(文・松本哲也)

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