スターダストプロモーション所属の若手男性俳優・タレントで構成されたアーティスト集団・EBiDAN(恵比寿学園男子部)による、年に1度の大集結ライブ『EBiDAN THE LIVE 2026 15th Anniversary』(通称:エビライ)が、国立代々木競技場・第一体育館で8月13日から16日の4日間にわたって開催された。
普段、K-POPのショーケースやライブを取材する機会が多い記者が今回、初めてEBiDANの一大イベント“エビライ”へ足を運んだ。3日目公演「3学期」で目の当たりにしたのは、「カッコいい」だけでは到底くくれない約3時間のエンターテインメント。K-POPとはまた異なる、日本のボーイズグループシーンで15年かけて育まれてきた独自の文化と、EBiDANだからこその強さがそこにはあった。
最初に驚いたのは、ステージ上ではなく客席だった。記者の隣には、原因は自分にある。・武藤潤のうちわを手にしたファンがいた。当然、彼の登場を心待ちにしているのだろうと思っていたが、ライブが始まると、どのグループの楽曲でもコールは全力。ペンライトを振る手も止まらない。周囲を見渡しても、その熱量は決して隣席だけのものではなかった。もちろん、K-POPの合同公演でも、所属するグループを越えて声援を送り、ステージそのものを楽しむ光景は珍しくない。今回、新鮮に映ったのは、それがエビライというイベントを成立させる文化そのものとして、深く根付いているように感じられたことだった。
推しはいる。それでも、推しだけを見ているわけではない。シャッフルユニットでは、誰がどのパートを担うのかが分かった瞬間に大きな歓声が上がり、グループをまたいだコールも驚くほどそろう。それぞれのファンがほかのグループの楽曲やメンバー、その関係性まで共有しているからこそ成立する楽しみ方がある。ステージから届けられるものを受け取るだけではなく、観客も一緒になってライブを作っている。そんな感覚が、序盤から会場を包んでいた。
その背景には、エビライそのものの作りもあるのだろう。各グループが順番に自分たちのステージを披露するだけではない。ほかグループの楽曲を披露するシャッフルユニットがあり、グループの枠を取り払った演劇があり、番組や映画から生まれたユニットも登場する。“推し”を入り口に足を運んでも、気づけば別のグループやメンバーの魅力に触れるように作られている。
そして、こうした自由な空気は客席だけのものではなかった。
ステージ上では、グループやキャリアの違いを感じさせないほど、メンバー同士が入り乱れる。もちろん先輩・後輩という関係性はある。それでも、後輩が先輩に遠慮して一歩引くというより、むしろ先輩が格好の“いじられ役”になる場面もしばしば。そのやり取りを先輩側も楽しみながら受け止め、さらに笑いへと変えていく。15年という歴史の中で築かれてきた関係性があるからこそ成立する、心地よい距離感があった。
■“推し”を超えて楽しむ、エビライ独自の文化
その中でも、記者が思わず目で追ってしまったのがSUPER★DRAGONの田中洸希だ。序盤のあいさつでは、M!LKを相手に、流れていたBGMをわざわざ下げてもらってまで真剣な表情で“いじり”を展開。会場の笑いを誘ったかと思えば、ヘアスタイルを変えて登場したSUPER★DRAGONとしてのパフォーマンスが始まった途端、印象は一変した。
ステージを歩くだけでも、まるでその周囲の空気まで連れて動いているかのようなカリスマ性。退廃的な美しさをまとった姿は、カラーで見ているにもかかわらず、「モノクロにしても美しいのだろう」と思わせるほどだった。楽曲の世界へ入り込むと、先ほどまでM!LKをいじっていた姿が嘘のよう。自然と視線を奪われた。そうかと思えば、MCではヒューマンビートボックスでほかのグループを盛り上げる。笑いを生み、自身のグループでは一瞬で空気を塗り替え、必要とあれば仲間の見せ場を支える。ひとりのアーティストが持つ顔の多さにも驚かされた。
そして、こうした“振り幅”は田中だけのものではない。エビライを通して何度も驚かされたのが、これだけのグループが一堂に会していながら、それぞれの個性が決して埋もれないことだった。同じEBiDANという看板を掲げながら、音楽性も、表現の方法も、観客を引き込むアプローチも驚くほど違う。それぞれが確固たるグループカラーを持ちながら、そこから軽やかにはみ出していく表現力もある。
SUPER★DRAGONが、それぞれの技術の高さと豊かな表現力で、まるで一本の映画を見ているような世界を作り上げたかと思えば、原因は自分にある。は前衛的でシニカルな世界観へと観客を誘う。虚無さえも表現の一部にしてしまうような独特の空気をまといながら、一歩グループの外へ出ればその表情は一変。コラボでは勢いよくラップを畳みかけ、“レベチイケメン”をすがすがしいほどに誇り、演劇では校長役まで板についている。メンバーそれぞれを映像作品で目にしたことはあったが、生のステージで改めて感じたのは、ひとつの世界観にとどまらない表現力だった。
BUDDiiSは、ぜひ生で見てほしいと思わされたグループだ。モニターに映るアップショットの美しさはもちろん、視線をステージ全体へ引いてみても絵になる。楽曲の世界観を自分たちのものにするコンセプト消化能力が高く、パフォーマンスを見ているうちに、「more rain」では、実際にはないはずの螺旋階段やシャンデリア、バラまでが浮かんでくるようだった。次の楽曲「キミは都市伝説」では一転、ライブならではの熱量で会場を一気に盛り上げる。振り幅の大きさにも、いい意味で予想を裏切られた。
ONE N' ONLYに感じたのは、上品さとワイルドさという、一見相反する魅力の共存。SNSで“ワビサビニキ”としても注目を集めるHAYATOのがなりを利かせたラップがステージの熱量を引き上げる一方で、メンバーの声やたたずまいにはどこか品がある。すべてを荒々しく見せるのではなく、余白を残すことでワイルドさを際立たせる。“引き算のワイルド”とも言いたくなる、これまであまり出会ったことのない魅力があった。
そして、Sakurashimejiは生の歌声に心をつかまれた。楽しい、切ない、愛おしい、その時々の感情をそのまま声に乗せて届けられるような2人。MCで見せる柔らかな空気感も含め、音源や映像だけではなく、同じ空間でその歌を受け取ることで魅力がより伝わるアーティストだと感じた。
■“混ざる”ことで生まれる、その日だけの熱狂
これだけ方向性が違えば、それぞれのグループのファンが目当てのステージだけを楽しんでも不思議ではない。それでも、エビライではそうならない。
その理由のひとつが、グループの枠を越えて“混ざる”こと自体を楽しむ仕掛けの多さだろう。恒例のシャッフルユニットでは、普段とは異なるメンバーがそれぞれのグループの楽曲を披露。誰がどのパートを担うのかが分かった瞬間、客席のあちこちから大きな歓声が上がる。オリジナルへのリスペクトがありながら、歌う人が変われば楽曲の表情も変わる。「この人がこの曲を歌ったら」というファンの想像を、目の前で次々と現実にしていくような時間だった。
そして、“混ざる”ことで生まれる面白さは、歌やダンスだけにとどまらない。演劇コーナー「恵比寿学園男子部 強襲!目黒学園!真夏の大決戦!の巻」では、普段はそれぞれのグループで活動するメンバーたちが役を背負い、ひとつの物語を作り上げる。映像作品で活躍するメンバーも多いEBiDANだけに、せりふで観客を引きつける力も強い。一方で、ライブならではの予定調和ではない瞬間も訪れた。物語の鍵を握るヤンキー集団のボスを演じていたONE N' ONLY・TETTAが、まさかのせりふを飛ばしてしまったのだ。
異変を察した同グループのNAOYAとEIKUがまずフォローに入り、やがて周囲のメンバーも状況を察知。客席にも「何かが起きている」と伝わり始める。それでも空気が止まることはなく、出演者たちは互いに助け舟を出しながら物語を前へと進めていった。そして、すべてが終わった後には、そのハプニングさえ笑いに変わった。締めのあいさつでTETTAが土下座して謝罪すると、超特急・カイは「いいからいいから!」とフォロー。さらに、超特急・タカシが「面をあげーい!」とユーモアたっぷりに声をかけ、会場は再び笑いに包まれた。
誰かがつまずけば周囲がすぐに手を差し伸べ、最後には本人も含めて笑える出来事へと変えてしまう。そして客席も、その一部始終を共有して一緒に笑う。完璧に用意されたものだけでは生まれない、その日、その場所にいた人が共有できる瞬間だった。
普段取材することの多いK-POPのライブでは、細部まで磨き上げられたパフォーマンスや緻密なステージングに圧倒されることが多い。もちろん、そこにもアーティストとファンが声を掛け合い、ともにライブを作り上げる時間がある。一方、エビライで新鮮に感じたのは、予定されたパフォーマンスだけでなく、こうした偶発的な出来事さえも出演者と観客が共有し、その場でエンターテインメントへと変えていく力だった。
どちらが優れているという話ではない。そもそも、観客を熱狂へと連れていくアプローチが違うのだ。そのアプローチを最も象徴していたのが、EBiDANの先頭を走り続けてきた超特急だった。
■15年の先へ 受け継がれる個性と熱量
超特急のステージを見ていると、不思議な達成感がある。カッコよさも、面白さも、遊び心も、すべてを「ここまでやるのか」と思うほど振り切って届けてくれる。その姿を見ているうちに、こちらまで妙な爽快感に包まれ、いつの間にか見る側にあったはずのストッパーまで外されていく。
その真骨頂とも言えるのが、「超えてアバンチュール」。リョウガが欠席したため、センターパートを任されたのは、原因は自分にある。・杢代和人だった。EBiDANメンバーを従え、堂々とセンターに立った杢代は、自ら“レベチイケメン”を掲げるだけあって、これでもかというほどの輝きを放つ。一方、周囲ではグループの枠を越えたメンバーたちが、超特急随一のトンチキソングに全力で身を委ねる。誰ひとり照れているようには見えない。やるからには全力。その振り切り方こそが、楽曲の楽しさを何倍にも膨らませていた。
ふざけるなら、とことんふざける。カッコよく決めるなら、とことんカッコよく。どちらか一方を選ぶのではなく、その振れ幅すべてをエンターテインメントとして成立させる。長年ステージに立ち続けてきた技術と経験があるからこそ、“遊び”まで本気でやり切れるのだろう。
そして、グループの枠を越えて声援を送る文化が根付いたエビライにあっても、超特急がステージの中心に立った瞬間の熱量はやはり圧巻だった。それは単純な歓声の大きさだけではない。会場全体が「次は何をしてくれるのか」と身を乗り出しているような期待感がある。長くEBiDANをけん引してきた存在だからというだけではなく、期待を上回るものを届け続けてきたからこそ生まれる信頼のようにも感じられた。
そんな超特急とはまた違う方法で、会場を明るく照らしていたのがM!LKだった。ステージに立った瞬間、まず目を奪われるのは5人のまばゆいほどの輝き。それぞれが違った個性を持ちながら、5人がそろった時に生まれる多幸感は圧倒的だ。楽曲が始まれば自然と会場の表情まで明るくなり、気づけばこちらも笑顔になっている。誰かを笑顔にするという、言葉にすればシンプルなことを、真正面から成立させる力がM!LKにはあった。
一方、これからのEBiDANを想像させられたのがICExだった。まず目を奪われたのは、フレッシュなビジュアル。しかし、パフォーマンスを追ううちに、それだけではないことに気づかされる。歌もダンスも着実にこなし、キュートな楽曲では“かわいい”を照れることなく全力で表現する。そして何より印象的だったのが、カメラが自分を捉えた瞬間を絶対に逃さないという気概だ。モニターにアップで抜かれれば、わずかな時間でも確実に自分の見せ場へと変える。その貪欲さに、アイドルとしての天性と、この先さらに化けていくであろう可能性を感じた。
さらに、Lienelにも、先輩たちに埋もれまいとする勢いがある。コミカルな楽曲も振り切って自分たちのものにする中毒性があり、グループの枠を越えれば、先輩を相手にしても臆することがない。中でも高岡ミロは、芸歴の長さを感じさせる堂々とした立ち振る舞いで、先輩とのトークにも遠慮なく参加する。そのたびに笑いが生まれる光景を見ていると、先に触れたEBiDANの自由な空気が、後輩世代にもしっかりと受け継がれているように感じられた。
そして、15周年を迎えた今年、新たにその輪へ加わったのがiiONDOだ。長い歴史を振り返るだけでなく、そのステージで新たなグループがお披露目され、次の歴史が始まっていく。今回のエビライには、15周年という節目を祝うと同時に、その先へ進もうとするEBiDANの現在地が凝縮されていた。
約3時間のライブを終えて振り返ると、初めての“エビライ”で最も強く残ったのは、ステージの完成度や個々のパフォーマンスだけではなかった。グループごとに全く異なる色を持ちながら、集まれば互いの個性を面白がる。先輩も後輩も遠慮なく混ざり合い、予定外の出来事さえ全員で笑いに変える。そして客席もまた、その輪の中に自然と加わっていた。
普段、K-POPのライブを取材していると、細部まで磨き上げられたパフォーマンスに圧倒され、「自分も頑張ろう」と背中を押されることがある。また会える日まで頑張ろう、と日常へ戻るためのエネルギーをもらうこともあるだろう。一方、初めてエビライを見終えた記者に残っていたのは、約3時間にわたって半ば強制的に引き上げられ続けたテンションと、「今なら何でもできるのではないか」と錯覚するような不思議な“無敵感”だった。
観客を熱狂へと連れていくアプローチは違っても、人を元気にすることに変わりはない。
この日の本編終盤、超特急・ユーキは「EBiDAN、これからまだまだ突っ走っていきます。これからも応援と支えをよろしくお願いします!」と力強く宣言した。15年を経てもなお、新たなグループが加わり、それぞれが違う色を放ちながら、その違いさえも一つのエンターテインメントへと変えていくEBiDAN。初めてその熱狂に飛び込んだ記者も、気づけばすっかりその輪の中に巻き込まれていた。
今年の『EBiDAN THE LIVE』は、EBiDANの原点に立ち返る「学園」をコンセプトに全4公演を開催。15周年ならではの演出として、これまで歩んできた軌跡を振り返るとともに、新たなグループ・iiONDOもお披露目。恒例のシャッフルユニットをはじめ、“エビライ”だからこそ実現する組み合わせが次々と登場し、15周年の節目をにぎやかに彩った。
参加したのは超特急、M!LK、SUPER★DRAGON、Sakurashimeji、ONE N' ONLY、原因は自分にある。、BUDDiiS、ICEx、Lienel、iiONDOの全10組。4日間で計5万人を動員した。
【ライブ写真多数】M!LKも登場!会場を盛り上げたパフォーマンス
普段、K-POPのショーケースやライブを取材する機会が多い記者が今回、初めてEBiDANの一大イベント“エビライ”へ足を運んだ。3日目公演「3学期」で目の当たりにしたのは、「カッコいい」だけでは到底くくれない約3時間のエンターテインメント。K-POPとはまた異なる、日本のボーイズグループシーンで15年かけて育まれてきた独自の文化と、EBiDANだからこその強さがそこにはあった。
最初に驚いたのは、ステージ上ではなく客席だった。記者の隣には、原因は自分にある。・武藤潤のうちわを手にしたファンがいた。当然、彼の登場を心待ちにしているのだろうと思っていたが、ライブが始まると、どのグループの楽曲でもコールは全力。ペンライトを振る手も止まらない。周囲を見渡しても、その熱量は決して隣席だけのものではなかった。もちろん、K-POPの合同公演でも、所属するグループを越えて声援を送り、ステージそのものを楽しむ光景は珍しくない。今回、新鮮に映ったのは、それがエビライというイベントを成立させる文化そのものとして、深く根付いているように感じられたことだった。
推しはいる。それでも、推しだけを見ているわけではない。シャッフルユニットでは、誰がどのパートを担うのかが分かった瞬間に大きな歓声が上がり、グループをまたいだコールも驚くほどそろう。それぞれのファンがほかのグループの楽曲やメンバー、その関係性まで共有しているからこそ成立する楽しみ方がある。ステージから届けられるものを受け取るだけではなく、観客も一緒になってライブを作っている。そんな感覚が、序盤から会場を包んでいた。
そして、こうした自由な空気は客席だけのものではなかった。
ステージ上では、グループやキャリアの違いを感じさせないほど、メンバー同士が入り乱れる。もちろん先輩・後輩という関係性はある。それでも、後輩が先輩に遠慮して一歩引くというより、むしろ先輩が格好の“いじられ役”になる場面もしばしば。そのやり取りを先輩側も楽しみながら受け止め、さらに笑いへと変えていく。15年という歴史の中で築かれてきた関係性があるからこそ成立する、心地よい距離感があった。
■“推し”を超えて楽しむ、エビライ独自の文化
その中でも、記者が思わず目で追ってしまったのがSUPER★DRAGONの田中洸希だ。序盤のあいさつでは、M!LKを相手に、流れていたBGMをわざわざ下げてもらってまで真剣な表情で“いじり”を展開。会場の笑いを誘ったかと思えば、ヘアスタイルを変えて登場したSUPER★DRAGONとしてのパフォーマンスが始まった途端、印象は一変した。
ステージを歩くだけでも、まるでその周囲の空気まで連れて動いているかのようなカリスマ性。退廃的な美しさをまとった姿は、カラーで見ているにもかかわらず、「モノクロにしても美しいのだろう」と思わせるほどだった。楽曲の世界へ入り込むと、先ほどまでM!LKをいじっていた姿が嘘のよう。自然と視線を奪われた。そうかと思えば、MCではヒューマンビートボックスでほかのグループを盛り上げる。笑いを生み、自身のグループでは一瞬で空気を塗り替え、必要とあれば仲間の見せ場を支える。ひとりのアーティストが持つ顔の多さにも驚かされた。
そして、こうした“振り幅”は田中だけのものではない。エビライを通して何度も驚かされたのが、これだけのグループが一堂に会していながら、それぞれの個性が決して埋もれないことだった。同じEBiDANという看板を掲げながら、音楽性も、表現の方法も、観客を引き込むアプローチも驚くほど違う。それぞれが確固たるグループカラーを持ちながら、そこから軽やかにはみ出していく表現力もある。
SUPER★DRAGONが、それぞれの技術の高さと豊かな表現力で、まるで一本の映画を見ているような世界を作り上げたかと思えば、原因は自分にある。は前衛的でシニカルな世界観へと観客を誘う。虚無さえも表現の一部にしてしまうような独特の空気をまといながら、一歩グループの外へ出ればその表情は一変。コラボでは勢いよくラップを畳みかけ、“レベチイケメン”をすがすがしいほどに誇り、演劇では校長役まで板についている。メンバーそれぞれを映像作品で目にしたことはあったが、生のステージで改めて感じたのは、ひとつの世界観にとどまらない表現力だった。
BUDDiiSは、ぜひ生で見てほしいと思わされたグループだ。モニターに映るアップショットの美しさはもちろん、視線をステージ全体へ引いてみても絵になる。楽曲の世界観を自分たちのものにするコンセプト消化能力が高く、パフォーマンスを見ているうちに、「more rain」では、実際にはないはずの螺旋階段やシャンデリア、バラまでが浮かんでくるようだった。次の楽曲「キミは都市伝説」では一転、ライブならではの熱量で会場を一気に盛り上げる。振り幅の大きさにも、いい意味で予想を裏切られた。
ONE N' ONLYに感じたのは、上品さとワイルドさという、一見相反する魅力の共存。SNSで“ワビサビニキ”としても注目を集めるHAYATOのがなりを利かせたラップがステージの熱量を引き上げる一方で、メンバーの声やたたずまいにはどこか品がある。すべてを荒々しく見せるのではなく、余白を残すことでワイルドさを際立たせる。“引き算のワイルド”とも言いたくなる、これまであまり出会ったことのない魅力があった。
そして、Sakurashimejiは生の歌声に心をつかまれた。楽しい、切ない、愛おしい、その時々の感情をそのまま声に乗せて届けられるような2人。MCで見せる柔らかな空気感も含め、音源や映像だけではなく、同じ空間でその歌を受け取ることで魅力がより伝わるアーティストだと感じた。
■“混ざる”ことで生まれる、その日だけの熱狂
これだけ方向性が違えば、それぞれのグループのファンが目当てのステージだけを楽しんでも不思議ではない。それでも、エビライではそうならない。
その理由のひとつが、グループの枠を越えて“混ざる”こと自体を楽しむ仕掛けの多さだろう。恒例のシャッフルユニットでは、普段とは異なるメンバーがそれぞれのグループの楽曲を披露。誰がどのパートを担うのかが分かった瞬間、客席のあちこちから大きな歓声が上がる。オリジナルへのリスペクトがありながら、歌う人が変われば楽曲の表情も変わる。「この人がこの曲を歌ったら」というファンの想像を、目の前で次々と現実にしていくような時間だった。
そして、“混ざる”ことで生まれる面白さは、歌やダンスだけにとどまらない。演劇コーナー「恵比寿学園男子部 強襲!目黒学園!真夏の大決戦!の巻」では、普段はそれぞれのグループで活動するメンバーたちが役を背負い、ひとつの物語を作り上げる。映像作品で活躍するメンバーも多いEBiDANだけに、せりふで観客を引きつける力も強い。一方で、ライブならではの予定調和ではない瞬間も訪れた。物語の鍵を握るヤンキー集団のボスを演じていたONE N' ONLY・TETTAが、まさかのせりふを飛ばしてしまったのだ。
異変を察した同グループのNAOYAとEIKUがまずフォローに入り、やがて周囲のメンバーも状況を察知。客席にも「何かが起きている」と伝わり始める。それでも空気が止まることはなく、出演者たちは互いに助け舟を出しながら物語を前へと進めていった。そして、すべてが終わった後には、そのハプニングさえ笑いに変わった。締めのあいさつでTETTAが土下座して謝罪すると、超特急・カイは「いいからいいから!」とフォロー。さらに、超特急・タカシが「面をあげーい!」とユーモアたっぷりに声をかけ、会場は再び笑いに包まれた。
誰かがつまずけば周囲がすぐに手を差し伸べ、最後には本人も含めて笑える出来事へと変えてしまう。そして客席も、その一部始終を共有して一緒に笑う。完璧に用意されたものだけでは生まれない、その日、その場所にいた人が共有できる瞬間だった。
普段取材することの多いK-POPのライブでは、細部まで磨き上げられたパフォーマンスや緻密なステージングに圧倒されることが多い。もちろん、そこにもアーティストとファンが声を掛け合い、ともにライブを作り上げる時間がある。一方、エビライで新鮮に感じたのは、予定されたパフォーマンスだけでなく、こうした偶発的な出来事さえも出演者と観客が共有し、その場でエンターテインメントへと変えていく力だった。
どちらが優れているという話ではない。そもそも、観客を熱狂へと連れていくアプローチが違うのだ。そのアプローチを最も象徴していたのが、EBiDANの先頭を走り続けてきた超特急だった。
■15年の先へ 受け継がれる個性と熱量
超特急のステージを見ていると、不思議な達成感がある。カッコよさも、面白さも、遊び心も、すべてを「ここまでやるのか」と思うほど振り切って届けてくれる。その姿を見ているうちに、こちらまで妙な爽快感に包まれ、いつの間にか見る側にあったはずのストッパーまで外されていく。
その真骨頂とも言えるのが、「超えてアバンチュール」。リョウガが欠席したため、センターパートを任されたのは、原因は自分にある。・杢代和人だった。EBiDANメンバーを従え、堂々とセンターに立った杢代は、自ら“レベチイケメン”を掲げるだけあって、これでもかというほどの輝きを放つ。一方、周囲ではグループの枠を越えたメンバーたちが、超特急随一のトンチキソングに全力で身を委ねる。誰ひとり照れているようには見えない。やるからには全力。その振り切り方こそが、楽曲の楽しさを何倍にも膨らませていた。
ふざけるなら、とことんふざける。カッコよく決めるなら、とことんカッコよく。どちらか一方を選ぶのではなく、その振れ幅すべてをエンターテインメントとして成立させる。長年ステージに立ち続けてきた技術と経験があるからこそ、“遊び”まで本気でやり切れるのだろう。
そして、グループの枠を越えて声援を送る文化が根付いたエビライにあっても、超特急がステージの中心に立った瞬間の熱量はやはり圧巻だった。それは単純な歓声の大きさだけではない。会場全体が「次は何をしてくれるのか」と身を乗り出しているような期待感がある。長くEBiDANをけん引してきた存在だからというだけではなく、期待を上回るものを届け続けてきたからこそ生まれる信頼のようにも感じられた。
そんな超特急とはまた違う方法で、会場を明るく照らしていたのがM!LKだった。ステージに立った瞬間、まず目を奪われるのは5人のまばゆいほどの輝き。それぞれが違った個性を持ちながら、5人がそろった時に生まれる多幸感は圧倒的だ。楽曲が始まれば自然と会場の表情まで明るくなり、気づけばこちらも笑顔になっている。誰かを笑顔にするという、言葉にすればシンプルなことを、真正面から成立させる力がM!LKにはあった。
一方、これからのEBiDANを想像させられたのがICExだった。まず目を奪われたのは、フレッシュなビジュアル。しかし、パフォーマンスを追ううちに、それだけではないことに気づかされる。歌もダンスも着実にこなし、キュートな楽曲では“かわいい”を照れることなく全力で表現する。そして何より印象的だったのが、カメラが自分を捉えた瞬間を絶対に逃さないという気概だ。モニターにアップで抜かれれば、わずかな時間でも確実に自分の見せ場へと変える。その貪欲さに、アイドルとしての天性と、この先さらに化けていくであろう可能性を感じた。
さらに、Lienelにも、先輩たちに埋もれまいとする勢いがある。コミカルな楽曲も振り切って自分たちのものにする中毒性があり、グループの枠を越えれば、先輩を相手にしても臆することがない。中でも高岡ミロは、芸歴の長さを感じさせる堂々とした立ち振る舞いで、先輩とのトークにも遠慮なく参加する。そのたびに笑いが生まれる光景を見ていると、先に触れたEBiDANの自由な空気が、後輩世代にもしっかりと受け継がれているように感じられた。
そして、15周年を迎えた今年、新たにその輪へ加わったのがiiONDOだ。長い歴史を振り返るだけでなく、そのステージで新たなグループがお披露目され、次の歴史が始まっていく。今回のエビライには、15周年という節目を祝うと同時に、その先へ進もうとするEBiDANの現在地が凝縮されていた。
約3時間のライブを終えて振り返ると、初めての“エビライ”で最も強く残ったのは、ステージの完成度や個々のパフォーマンスだけではなかった。グループごとに全く異なる色を持ちながら、集まれば互いの個性を面白がる。先輩も後輩も遠慮なく混ざり合い、予定外の出来事さえ全員で笑いに変える。そして客席もまた、その輪の中に自然と加わっていた。
普段、K-POPのライブを取材していると、細部まで磨き上げられたパフォーマンスに圧倒され、「自分も頑張ろう」と背中を押されることがある。また会える日まで頑張ろう、と日常へ戻るためのエネルギーをもらうこともあるだろう。一方、初めてエビライを見終えた記者に残っていたのは、約3時間にわたって半ば強制的に引き上げられ続けたテンションと、「今なら何でもできるのではないか」と錯覚するような不思議な“無敵感”だった。
観客を熱狂へと連れていくアプローチは違っても、人を元気にすることに変わりはない。
この日の本編終盤、超特急・ユーキは「EBiDAN、これからまだまだ突っ走っていきます。これからも応援と支えをよろしくお願いします!」と力強く宣言した。15年を経てもなお、新たなグループが加わり、それぞれが違う色を放ちながら、その違いさえも一つのエンターテインメントへと変えていくEBiDAN。初めてその熱狂に飛び込んだ記者も、気づけばすっかりその輪の中に巻き込まれていた。
今年の『EBiDAN THE LIVE』は、EBiDANの原点に立ち返る「学園」をコンセプトに全4公演を開催。15周年ならではの演出として、これまで歩んできた軌跡を振り返るとともに、新たなグループ・iiONDOもお披露目。恒例のシャッフルユニットをはじめ、“エビライ”だからこそ実現する組み合わせが次々と登場し、15周年の節目をにぎやかに彩った。
参加したのは超特急、M!LK、SUPER★DRAGON、Sakurashimeji、ONE N' ONLY、原因は自分にある。、BUDDiiS、ICEx、Lienel、iiONDOの全10組。4日間で計5万人を動員した。
2026/08/17



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