若い世代の昭和歌謡ブームが止まらない。昭和アイドル風にドレスアップして撮影できる写真館が人気だったり、昭和歌謡酒場にZ世代が押し寄せたり……。何かとカテゴリー分けをしたがる昭和世代とは違い、ジャンルも時代も軽々と飛び越えて、自分たちが心地よいと思ったものなら、何でも素直に取り入れる。そんな新世代から、演歌・歌謡曲の若き歌い手たちが次々とデビューしている。歌が上手いのは当たり前。その上でファンの心を打ち抜く“それぞれの心地よいもの”を重ねた多士済々な個性派たちを紹介する。
■デジタルネイティブ世代ならではのサービス力と癒す力
老若男女を問わず人気を集め、令和の若手演歌界を牽引する存在となっているのが、「力いっぱい、演歌です!」をキャッチコピーに18年1月17日、20歳でデビューした辰巳ゆうと。「オリコン上半期ランキング2024」の「演歌・歌謡シングルランキング」でも、TOP10内に「迷宮のマリア」「星くずセレナーデ」の2曲がランクインするほどの活躍ぶりだ。大学で英語を学ぶかたわら、歌手デビューを目指して演歌のストリートライブを行い、修行を積んだという異色の経歴の持ち主で、コロナ禍には、デジタルネイティブ世代ならではの発想で、いち早くSNSを駆使してネットサイン会や配信ライブなどを実施。ファンとの交流を継続してきた。現在も、コンサート活動に力を注ぐ一方で、CS放送局チャンネル銀河のレギュラー番組『ゆうと王子の大冒険』で和太鼓やステンシルアート、ダブルダッチなど、さまざまなことに挑戦したり、自身のYouTubeチャンネルでプライベート感満載の素の姿を披露するなど、アイドルも顔負けのサービス力でファンを楽しませている。
作曲家・水森英夫氏のもとで5年間修業を積んだ歌唱力・表現力と “アイドル並みのルックス”で、演歌・歌謡界の未来を背負う期待の星と言われているのが、20年2月5日に「歌にまっすぐな19歳」のキャッチフレーズでデビューした青山新だ。演歌第7世代、演歌男子。に名を連ね、「同世代に演歌の魅力を知ってもらいたい」と精力的に活動。さらに、昨年のワンマンコンサートでは、演歌・歌謡の枠を超え、ジャズやタップも披露してファンを魅了した。また、辰巳と同じくSNSを早くから活用。公式YouTubeチャンネルを開設し、生配信企画【シン・アオヤマシン】を開催し、ギター生演奏をはじめ、さまざまな企画に挑戦している。22 年に発足したファンクラブ「青山新・選組」では、バスツアーやファンミーティングなどファン垂涎のイベントも開催し、絆を深めている。
J-POP界やK-POP界では、アイドルグループが花盛りだが、演歌・歌謡界にも、熱い注目を集めている若手イケメンユニットがいる。浅草で観光人力車を牽く現役俥夫から結成されたユニット・東京力車だ。今年でメジャーデビュー5周年。和を基調としたサウンドとアクロバティックなステージパフォーマンスが特徴で、前山田健一(ヒャダイン)の手で生まれ変わった三波春夫の名曲「ニビイロトーキョー〜チャンチキおけさ〜」(21年)、「Sole!〜おまんた囃子〜」(22年)、「握手をしよう〜世界の国からこんにちは〜」(23年)は、3作連続でオリコン週間演歌・歌謡ランキング1位を獲得。写真集やカレンダーが発売されるほどの人気を得ているほか、パリやイギリス、タイでもライブパフォーマンスを行うなど、世界へ向けてもその魅力を発信している。
■民謡で培った声・歌唱力・表現力
これまで演歌・歌謡界では、三橋美智也、細川たかし、福田こうへいなど、民謡出身の名歌手が素晴らしい活躍をしてきたが、令和にもそのDNAを受け継いだホープたちが揃う。2019年3月6日にデビューした二見颯一は、5歳から民謡を習い始め、中学1年で「民謡民舞少年少女全国大会 中学生の部」で優勝。高校2年時には、地元・宮崎県の高千穂が発祥の民謡「正調刈干切唄」の全国大会男性の部でも優勝した実力の持ち主。新時代にこだまする「やまびこボイス」というキャッチフレーズが付けられた民謡由来の伸びのある爽やかな歌声が特徴で、尊敬する三橋美智也のように、「民謡、演歌、歌謡曲を歌い、それらを聞く“若い世代”も増やしたい」と意欲をみせている。
二見のデビューから3ヶ月後、19年6月26日にデビューしたのが彩青だ。5歳から民謡を習い始め、小学生の時に「青少年みんよう全国大会 民謡グランプリ部門」でグランプリと文部科学大臣賞、小学生日本一を受賞。その後も、数々の民謡の大会で優勝した実績を誇る。11歳で細川たかしの目に留まり、細川の秘蔵っ子として、演歌界の真髄を学び、現在は、三味線、尺八も操る「三刀流歌手」としても注目されている。一方で、『千鳥の鬼レンチャン』(フジテレビ系)の「サビだけカラオケ」では抜群の歌唱力のみならず、視聴者を惹きつけるタレントとしての質も見せるなど、活躍の場を広げている。
そして今年4月10日、キングレコード11年ぶりの期待の新人として21歳でデビューを飾ったのが小山雄大。4歳から民謡を習い始め、「道南口説節全国大会」や「全大阪みんようジュニアフェスティバル全国大会」など数々の大会で優勝を果たしてきた。一方で、2歳の頃からテレビの中の氷川きよしに憧れ、12歳の時に出場した『NHKのど自慢』では氷川の「獅子」を歌いグランドチャンピオンに輝いた。民謡に加え、憧れ尽くした氷川の表現力も学んで、 “マジックボイス”のキャッチフレーズで今後の活躍に注目が集まっている。
■異色な特技を持つスペシャリティ
子どもの頃から幅広い音楽を聞いて育ってきたことから、演歌・歌謡曲の枠にとらわれず、ジャンルを超えた楽曲を披露することを志す若手が増えているのも、近年の演歌・歌謡界の特徴だ。
なかでも、異色の経歴で異彩を放っているのが、15年10月21日デビューした松阪ゆうき。武蔵野音大でオペラを学んだあと、メジャーデビュー前に『レ・ミゼラブル』などのミュージカルに出演。小さい頃から祖父が歌う民謡を耳にしてきた影響で、音大卒業後には民謡界の大家である原田直之氏に師事。“音大声楽家卒業の民謡育ちのスーパーハイブリッドシンガー”として、ジャンルの枠を超えた活動に注目が集まっている。
“懐メロボーイ”の異名で活躍の場を広げているのが、16年1月20日にデビューした三丘翔太だ。カラオケ喫茶を営む祖父母の影響で演歌・歌謡曲に興味を持ち、そのレパートリーは、渥美二郎やおかゆなど流し出身の歌手にも負けない1000曲超。客からの注文に応えて楽曲を即興で披露する「お品書きライブ」を開催しているほか、何時間でも話せる紅白に関する膨大な知識で、演歌・歌謡曲ファンを喜ばせている。
異色といえば、“令和の歌謡歌姫(ディーヴァ)”として、18年7月4日にデビューした藤井香愛も見逃せない。高校時代に渋谷でスカウトされ、ファッション雑誌の読者モデルを経験。20歳のときには、東京ヤクルトスワローズ公認パフォーマンス・アーティスト「DDS」に参加し、公認サポーターソングを歌う「DAD’S」ではメインボーカルを担当。となれば、ダンサブルなJ-POPアーティストを志しそうなものだが、目指すのは、「昭和歌謡の伝統を歌い継いで、“歌謡曲女子”を流行らせること」。演歌・歌謡界の若手男性歌手が注目を集める中、令和には、女性歌手にも多士済々な個性派が揃うので、その活躍にも期待したい。
文・河上いつ子
■デジタルネイティブ世代ならではのサービス力と癒す力
老若男女を問わず人気を集め、令和の若手演歌界を牽引する存在となっているのが、「力いっぱい、演歌です!」をキャッチコピーに18年1月17日、20歳でデビューした辰巳ゆうと。「オリコン上半期ランキング2024」の「演歌・歌謡シングルランキング」でも、TOP10内に「迷宮のマリア」「星くずセレナーデ」の2曲がランクインするほどの活躍ぶりだ。大学で英語を学ぶかたわら、歌手デビューを目指して演歌のストリートライブを行い、修行を積んだという異色の経歴の持ち主で、コロナ禍には、デジタルネイティブ世代ならではの発想で、いち早くSNSを駆使してネットサイン会や配信ライブなどを実施。ファンとの交流を継続してきた。現在も、コンサート活動に力を注ぐ一方で、CS放送局チャンネル銀河のレギュラー番組『ゆうと王子の大冒険』で和太鼓やステンシルアート、ダブルダッチなど、さまざまなことに挑戦したり、自身のYouTubeチャンネルでプライベート感満載の素の姿を披露するなど、アイドルも顔負けのサービス力でファンを楽しませている。
J-POP界やK-POP界では、アイドルグループが花盛りだが、演歌・歌謡界にも、熱い注目を集めている若手イケメンユニットがいる。浅草で観光人力車を牽く現役俥夫から結成されたユニット・東京力車だ。今年でメジャーデビュー5周年。和を基調としたサウンドとアクロバティックなステージパフォーマンスが特徴で、前山田健一(ヒャダイン)の手で生まれ変わった三波春夫の名曲「ニビイロトーキョー〜チャンチキおけさ〜」(21年)、「Sole!〜おまんた囃子〜」(22年)、「握手をしよう〜世界の国からこんにちは〜」(23年)は、3作連続でオリコン週間演歌・歌謡ランキング1位を獲得。写真集やカレンダーが発売されるほどの人気を得ているほか、パリやイギリス、タイでもライブパフォーマンスを行うなど、世界へ向けてもその魅力を発信している。
■民謡で培った声・歌唱力・表現力
これまで演歌・歌謡界では、三橋美智也、細川たかし、福田こうへいなど、民謡出身の名歌手が素晴らしい活躍をしてきたが、令和にもそのDNAを受け継いだホープたちが揃う。2019年3月6日にデビューした二見颯一は、5歳から民謡を習い始め、中学1年で「民謡民舞少年少女全国大会 中学生の部」で優勝。高校2年時には、地元・宮崎県の高千穂が発祥の民謡「正調刈干切唄」の全国大会男性の部でも優勝した実力の持ち主。新時代にこだまする「やまびこボイス」というキャッチフレーズが付けられた民謡由来の伸びのある爽やかな歌声が特徴で、尊敬する三橋美智也のように、「民謡、演歌、歌謡曲を歌い、それらを聞く“若い世代”も増やしたい」と意欲をみせている。
二見のデビューから3ヶ月後、19年6月26日にデビューしたのが彩青だ。5歳から民謡を習い始め、小学生の時に「青少年みんよう全国大会 民謡グランプリ部門」でグランプリと文部科学大臣賞、小学生日本一を受賞。その後も、数々の民謡の大会で優勝した実績を誇る。11歳で細川たかしの目に留まり、細川の秘蔵っ子として、演歌界の真髄を学び、現在は、三味線、尺八も操る「三刀流歌手」としても注目されている。一方で、『千鳥の鬼レンチャン』(フジテレビ系)の「サビだけカラオケ」では抜群の歌唱力のみならず、視聴者を惹きつけるタレントとしての質も見せるなど、活躍の場を広げている。
そして今年4月10日、キングレコード11年ぶりの期待の新人として21歳でデビューを飾ったのが小山雄大。4歳から民謡を習い始め、「道南口説節全国大会」や「全大阪みんようジュニアフェスティバル全国大会」など数々の大会で優勝を果たしてきた。一方で、2歳の頃からテレビの中の氷川きよしに憧れ、12歳の時に出場した『NHKのど自慢』では氷川の「獅子」を歌いグランドチャンピオンに輝いた。民謡に加え、憧れ尽くした氷川の表現力も学んで、 “マジックボイス”のキャッチフレーズで今後の活躍に注目が集まっている。
■異色な特技を持つスペシャリティ
子どもの頃から幅広い音楽を聞いて育ってきたことから、演歌・歌謡曲の枠にとらわれず、ジャンルを超えた楽曲を披露することを志す若手が増えているのも、近年の演歌・歌謡界の特徴だ。
なかでも、異色の経歴で異彩を放っているのが、15年10月21日デビューした松阪ゆうき。武蔵野音大でオペラを学んだあと、メジャーデビュー前に『レ・ミゼラブル』などのミュージカルに出演。小さい頃から祖父が歌う民謡を耳にしてきた影響で、音大卒業後には民謡界の大家である原田直之氏に師事。“音大声楽家卒業の民謡育ちのスーパーハイブリッドシンガー”として、ジャンルの枠を超えた活動に注目が集まっている。
“懐メロボーイ”の異名で活躍の場を広げているのが、16年1月20日にデビューした三丘翔太だ。カラオケ喫茶を営む祖父母の影響で演歌・歌謡曲に興味を持ち、そのレパートリーは、渥美二郎やおかゆなど流し出身の歌手にも負けない1000曲超。客からの注文に応えて楽曲を即興で披露する「お品書きライブ」を開催しているほか、何時間でも話せる紅白に関する膨大な知識で、演歌・歌謡曲ファンを喜ばせている。
異色といえば、“令和の歌謡歌姫(ディーヴァ)”として、18年7月4日にデビューした藤井香愛も見逃せない。高校時代に渋谷でスカウトされ、ファッション雑誌の読者モデルを経験。20歳のときには、東京ヤクルトスワローズ公認パフォーマンス・アーティスト「DDS」に参加し、公認サポーターソングを歌う「DAD’S」ではメインボーカルを担当。となれば、ダンサブルなJ-POPアーティストを志しそうなものだが、目指すのは、「昭和歌謡の伝統を歌い継いで、“歌謡曲女子”を流行らせること」。演歌・歌謡界の若手男性歌手が注目を集める中、令和には、女性歌手にも多士済々な個性派が揃うので、その活躍にも期待したい。
文・河上いつ子
2024/07/24





