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【ライブレポート】SARD UNDERGROUND、温かいムードに包まれた4周年記念日ライブ

 令和の時代にZARD永遠のスタンダード・ナンバーを歌い継ぎ、21年からはオリジナル楽曲にも意欲的に取り組んでいるSARD UNDERGRONDが、今夏リリースした「その結婚、正気ですか?」「役者犬のうた」を携えて、ライブツアー『SARD UNDERGROUND LIVE TOUR 2023 [hold me, my friend]』を開催。デビュー4周年記念日となる9月18日には、Zepp Haneda(TOKYO)にて、満員の観客を前に、これまで応援してきてくれたファンへの感謝を込めて全21曲を熱唱。歌で、演奏で、トークで、4年間の成長の姿を披露した。

『SARD UNDERGROUND LIVE TOUR 2023 [hold me, my friend]』 東京・Zepp Haneda(TOKYO)より

『SARD UNDERGROUND LIVE TOUR 2023 [hold me, my friend]』 東京・Zepp Haneda(TOKYO)より

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■念願だったオリジナル曲で一体感が生まれるようなライブシーンを実現

 デビュー4周年記念日となるこの日、総立ちした満席の観客の大きな手拍子に迎えられてステージに登場した3人。ZARDの大ヒット曲「揺れる想い」でライブをスタート。「揺れる想い」はデビューアルバム『ZARD tribute』にも収録されているが、今回はオリジナルリリース30周年を記念して今年5月に発表された、よりオリジナルに近い最新アレンジ[tribute 2023]バージョンだ。デビュー当時よりグンと深みを増したボーカルの神野友亜の歌声が場内に響き渡ると、会場の熱気は一気に上昇。さらに観客のテンションを上げるべく、「息もできない」では、SARD UNDERGROUNDならではのアレンジに乗せて、ベースの杉岡泉美、キーボードの坂本ひろ美との息の合ったハーモニーも披露。4年間の3人の成長ぶりを感じさせる幕開けとなった。

 2曲を歌い終えた神野は、満面の笑みとともに、「みなさん、お越しいただいてありがとうございます! 本日、私たち5周年目に突入しました!」と大きな声で観客に語りかけると、割れんばかりの拍手が巻き起こり、観客から多数の「おめでとう!」の声が3人に贈られた。喜びに満ちた表情を浮かべた神野は、「今日が特別な日になるように、ぜひみなさん最後まで一緒に楽しんでいってください」と話し、「心を開いて」「Top Secret」「瞳閉じて」と、続けざまにZARDの楽曲を披露。「坂井泉水さんの歌への思いと世界観を大切に歌い継ぐ」ことをモットーとしてきた3人の歩みと思いに浸れる演出に、観客は大いに酔いしれた。

神野友亜(Vo)

神野友亜(Vo)

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 神野自身も歌いながらその歩みをかみしめていたようで、続くMCでは、デビュー当時を振り返り、「イベントやライブのときは、(観客に)見えているんじゃないかっていうくらい震えていた」と苦笑い。「その頃はMCも苦手で、話すことといったらZARDさんの話」と回想し、4年を経た今、初心に戻って、再びZARDの話をしようとメンバーに提案。「好きな歌は?」のお題に、杉岡は「愛は暗闇の中で」、坂本は「悲しいほど貴方が好き」、神野は「マイ フレンド」を上げた。

 和気あいあい、打ち解けた会話で場内を和ませると、神野は次に歌う8月7日にリリースされたオリジナル曲「その結婚、正気ですか?」を紹介。「この曲、振りがあるんですけど、覚えてくれている方いらっしゃいますか?」の問いに、会場からはちらほら手が挙がる。それを見て、神野は「ちょっと難しいと思うんですけど、隣の方とか見ながら、3サビとも踊ってみてくれると嬉しいです」とお願いするも、自身はまだ緊張がほどけていなかったのか、2サビまでは振りも控えめ。だが、3サビ目で大きく、笑顔いっぱいで披露すると、観客も一緒になって振りに挑戦。本ライブツアー開催の約1ヶ月前、神野は「オリジナル曲で一体感が生まれるようなライブシーンを作りたい」と瞳を輝かせながら語っていたが、その光景が広がった瞬間だった。

■パフォーマンスだけでなく、MCでも成長した姿を披露

 その後、2ndアルバム『ZARD tribute II』のラストに収録され、ファンからも人気の高い「Oh my love」、坂本が「一番好き」と語った「悲しいほど貴方が好き」とZARDの名曲2曲をしっとり歌い上げ、コロナ禍に「明日を前向きに見つけられるような、心のそばにいられるような楽曲になれば」という思いで神野が作詞したオリジナルの「恋が待ち伏せしてた午後」を熱唱。観客は神野の歌声に酔いしれるようにサビで大きく手を振り、会場はライブならではのドラマチックなムードに包まれた。が、そこでハプニングが。杉岡のベースのストラップピンが外れるトラブルが発生。テンションが上がってきた神野の後ろで、スタッフとともに慌てる杉岡…。こちらも観客にとって、ライブだからこそ味わえる、ちょっぴりハラハラ貴重な瞬間となった。

杉岡泉美(Ba)

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 その後のMCで、「私が動き過ぎたかもしれないです」と杉岡は謝罪。会場からの「どんまい!」の温かい声援を受けながら、アクシデントで盛り上がりに水を差してしまったことを挽回するように、杉岡が「(ライブが)楽しみだねって(3人で)すっごい話してたんです! みなさんも今日という日を待っていてくれたんじゃないですか!?」と大きな声で観客に語り掛けると、会場には声援と指笛、拍手が響き渡り、3人は「嬉しい!」と満面の笑み。温かいムードに包まれる中、4周年を迎えての思い出を披露した。坂本が「リリースイベントやライブで全国いろいろなところへ行かせてもらったこと」をあげると、杉岡は「私はファンクラブイベントで浴衣を着て演奏したんですよ」と発言。「ファンクラブに入っていない方、今後もやると思うので、ぜひ」としっかりアピール。最後に神野が「でもやっぱりこうやってライブツアーをやらせてもらって、みなさんに会えるのが一番嬉しい」とまとめると、会場からは大きな拍手が贈られ、ライブは後半へと突入。「かけがえのないもの」「Blue tears」「翼を広げて」とZARD曲とオリジナル曲を交互に聴いているうちに、この4年間でSARD UNDERGRONDらしさがしっかり確立されたことを実感した。

 4度目のMCでは、坂本の問いかけで話題は「夏の思い出」に。この夏はずっと一緒にいたという3人。「どこかに出かけるとかしてないけど、かき氷を食べました」という坂本、「BBQするって決めてたのに、結局おうちでしかできなかった」という神野、「花火の音を聞いたくらいかな」という杉岡。「薄っ!私たちの夏!」と神野が発すると、会場は大きな笑いに包まれた。続いて、お題は「秋にやりたいこと」に。「京都に紅葉を観に行きたい」と坂本、次いで、杉岡が「ハロウィンですね、私毎年やっていることがあって」と発言すると、神野がすかさず「わー出た! 謎の話や、杉岡さんの」とツッコミ。へこたれることなく「顔に(リップで)血を描いて写真撮ってゾンビだよーって。みなさん楽しいですよ、やってみてください」と自信満々語る杉岡に、始めは引き気味だった神野も「一緒にやりましょう、今年は」と賛同。2人の絶妙な掛け合いに、4年間で培ってきたチームワークとMCの成長ぶりを実感したことはもちろん、そのやりとりに熱心に耳を傾け、大きな拍手を贈る観客との築き上げてきた温かい結びつきにも感銘を受けたひとコマだった。

坂本ひろ美(key)

坂本ひろ美(key)

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■いつもクールな神野の目に涙。さらなる飛躍を期待させる大団円

 その後、神野は2日後にリリースとなる新曲「役者犬のうた」を紹介。「コーラスの部分を一緒に歌っていただけると嬉しい」という神野の希望に応えて会場一体となって新曲の世界観に浸ると、次の「イチゴジャム」でも、神野のリードでサビの部分を熱唱。本ライブで目指した一体感のある空間がここでも創り出された。

 その熱気の冷めやらぬまま、続くロックテイストのビートの効いたオリジナル曲「黒い薔薇」で場内のテンションはさらにヒートアップ。ラストを杉岡がベースでカッコよく締め、会場を沸かせると、大きな手拍子に盛り上げられたZARD曲の「君がいない」に続いて、4thシングル「空っぽの心」で会場の盛り上がりは最高潮へ。その勢いのまま、「愛は暗闇の中で」、ラストの「負けないで」とアグレッシブな演奏と、熱のこもった歌声で一気に駆け抜けた。

『SARD UNDERGROUND LIVE TOUR 2023 [hold me, my friend]』 東京・Zepp Haneda(TOKYO)より

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 アンコールの声と拍手を受けて、お揃いのオリジナルTシャツに着替えて登場した3人は、まず、5年目に突入しての目標を発表。神野が「私たちはまだ東京と大阪でしかライブができていないので、5年目は福岡とか名古屋とか、行けるようにがんばりますので、よろしくお願いします」と話すと、会場からは割れんばかりの拍手が巻き起こった。アンコールの1曲目は、3人が「ずっとライブでお届けしたかった」という「Today is another day」を披露。次いで、坂本の美しいピアノソロが響き渡り、ツアータイトルにもなった神野が一番好きなZARD曲「マイ フレンド」を歌い始めると、神野は突然、声を詰まらせ、その瞳には涙が。その背中を押すように観客から拍手が贈られると、神野は再び伸びやかな声を響かせ、最後は観客とともに大きく手を振りながら、一体感をパワーに変えたかのような堂々としたパフォーマンスで締めくくった。

 歌い終えた神野に杉岡と坂本が歩み寄り、3人はステージ中央で、指笛や拍手、歓声を贈り続ける満員の客席を眺めながら、肩を寄せ合い、微笑み合い、感無量の表情。神野が「大好きなZARDさんの曲でこうしてメンバーにもみなさんにも出会えて、幸せだなと思ったら、涙が出てきてしまって…。またぜひ聴きに来てください」と感謝の気持ちを伝えると、観客は盛大な拍手でそれに応えた。3人の4年間の確かな歩みを感じさせてくれた本ツアーライブ、いつもクールな神野の涙に、SARD UNDERGROUNDのさらなる飛躍を確信した夜だった。

『SARD UNDERGROUND LIVE TOUR 2023 [hold me, my friend]』 東京・Zepp Haneda(TOKYO)より

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文・河上いつ子

『SARD UNDERGROUND LIVE TOUR 2023[hold me,my friend]』
2023年9月18日(月/祝)@Zeep Haneda
■SET LIST
01. 揺れる想い [toribute2023]
02. 息もできない
03. 心を開いて
04. Top Secret
05. 瞳閉じて
06. その結婚、正気ですか?
07. Oh my love
08. 悲しいほど貴方が好き
09. 恋が待ち伏せしてた午後
10. かけがえのないもの
11. Blue tears
12. 翼を広げて
13. 役者犬のうた
14. イチゴジャム
15. 黒い薔薇
16. 君がいない
17. 空っぽの心
18. 愛は暗闇の中で
19. 負けないで
<encore>
20. Today is another day
21. マイ フレンド
■SARD UNDERGROUND公式サイト:http://sard-underground.jp/

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  • 『SARD UNDERGROUND LIVE TOUR 2023 [hold me, my friend]』 東京・Zepp Haneda(TOKYO)より
  • 神野友亜(Vo)
  • 杉岡泉美(Ba)
  • 坂本ひろ美(key)
  • 『SARD UNDERGROUND LIVE TOUR 2023 [hold me, my friend]』 東京・Zepp Haneda(TOKYO)より
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