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SARD UNDERGROUND「役者犬のうた」動物が主人公のメッセージソングで切り開く新境地

 ZARDの新世代トリビュートバンドとして注目を集めているSARD UNDERGROND。令和の時代にZARD永遠のスタンダード・ナンバーを歌い継ぐ一方で、2021年からはオリジナル楽曲にも意欲的に取り組み、変化と成長を続けている。デビュー5年目のスタートに発表したのが、実話をもとに綴られた「役者犬のうた」。「人間の都合で翻弄される不幸な動物たちをなくすために、1人でも多くの人にこの歌を届けたい」と、メッセージソングという新たなジャンルに挑戦した3人に、“伝えるため”のこだわりから、プライベートでの動物との関わりについて語ってもらった。

デビュー5年めに入ったSARD UNDERGROUND 写真左から 坂本ひろ美(Key)、神野友亜(Vo)、杉岡泉美(Ba)

デビュー5年めに入ったSARD UNDERGROUND 写真左から 坂本ひろ美(Key)、神野友亜(Vo)、杉岡泉美(Ba)

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■「動物を大切にしてくれる人が増えたらいいな」という思いを演奏に込めました

 6枚目のシングル「役者犬のうた」は、映画撮影所に迷い込んだ野良犬が主人公。“役者犬”としてスターになるも、会社の事情でロケ先に捨てられ、飢えと寒さに耐えながらやっとの思いで撮影所にたどり着いたところで息を引き取るという哀しき実話が題材だ。

 楽曲が誕生したきっかけは、作詞家の鮫島琉星氏が「この物語を歌にしてより多くの人に届けたい」と、作曲家で音楽プロデューサーの長戸大幸氏に相談したこと。長戸氏は、より幅広い世代にこの歌を届けるために、ZARDのトリビュートバンドとして昭和世代と平成世代を令和につなぐSARD UNDERGROUNDに意向を打診。3人は喜んで同意したという。ボーカルの神野友亜はその時の心情をこう振り返る。

「私も犬を飼っていたので、歌詞を読んだ時はとても切ない気持ちになりました。それと同時に動物を大切にするきっかけになりそうな曲だと感じたので、ぜひ、歌わせていただきたいと思いました」(神野)

ボーカルの神野友亜

ボーカルの神野友亜

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 これまでZARDのスタンダード・ナンバーのほか、オリジナルでは神野の作詞曲で等身大の思いを歌にしてきたSARD UNDERGROUND。動物を主人公に、広く世に問題提起するメッセージソングを歌うのは、3人にとって新たな挑戦だった。

「歌詞がしっかり伝わるようにメロディはシンプルになっているので、私は物語を読むようなイメージで、とにかく声だけを意識して歌いました。今後、ライブで歌う時も、今までにない表情で演奏することになるのかなと思っています」(神野)

「小さい頃から犬やハムスターを飼っていたので、動物を大切にしてくれる人が増えたらいいなという思いを演奏に込めました。優しいメロディで、ピアノも流れるような旋律が多いので、すごく気持ちが入りました」(キーボード・坂本ひろ美)

「今までは人を思っての演奏でしたが、今回は動物のことを思っての演奏。新しい経験でしたし、いろいろ考えさせられることも多く、新たな心情で演奏できました」(ベース・杉岡泉美)

ベースの杉岡泉美

ベースの杉岡泉美

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 本作ではもう1つ、神野は朗読という新たな表現手法にも挑んでいる。

「朗読は経験したことがなかったし、わからないことだらけでしたけど、とにかく声だけは優しくということを意識して、あとはあまり考え過ぎずに読むことに集中しました。歌に関してもそうですが、感じ方やとらえ方は人それぞれだと考えているので、自分のイメージを押しつけたくないんです。だから、今回も感情はそこまで入れずに、(受け取り方は)皆さんにおまかせするという気持ちでレコーディングに臨みました」(神野)

 そんな神野の朗読を、こんなふうに聞いてほしいと坂本は語る。

「BGMもなく、声だけが収められていて、息遣いまで聞こえるので、静かな所で、目をつむって、風景を思い浮かべながら、聞いてほしいと思います」(坂本)

■メッセージを広く伝えるために、いろいろな場所に出かけ、子どもたちに向けても歌いたい

 本作に込められているのは、「人間の都合で翻弄される不幸な動物たちをなくしたい」という願い。1人でも多くにそのメッセージを伝えるために、メンバーは今、新たな挑戦を思い描いている。

「メッセージを広く伝えるためには、私たちのファンに届けるだけでは足りないと思っているので、いろいろな場所に歌いに行きたいと考えています。できれば、学校で、子どもたちに向けて歌いたいです。それによって保護犬を迎えてみようかなという子どもたちが出てきたらいいなって思います」(神野)

「物語性がすごくあって、情景もわかりやすく、絵本を読んでいるように伝わりやすい歌なので、子どもたちにもぜひ聞いてもらいたいです」(杉岡)

「そして、そこから親の世代や、いろいろな人に広がっていったらいいなと思います」(坂本)

キーボードの坂本ひろ美

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 そんな3人に、子どもの頃の動物との関わりについて聞いてみた。

「実家で飼っているのはトイプードル2匹。ハムスターも飼っていましたし、短い期間でしたが猫を飼っていたこともあります。猫は自分が拾ってきたんですが、猫アレルギーなのでずっと一緒にはいられなくて…。新しい飼い主さんからは幸せそうな写真をいっぱい見せてもらいました。今回の役者犬も、生きていてほしかった。生きていれば幸せな気分で歌えたのにと思いました」(神野)

「実家に中学生くらいの時から飼っている犬がいます。今はひとり暮らしをしているので毎日は会えませんが、実家に帰った時はすぐに私のところに来てくれて、ちゃんと覚えているんだってすごく嬉しくなります。だから、『役者犬のうた』を最初に聞いた時は、再会するシーンにものすごくグッときました」(坂本)

「犬は飼えなかったのですが、幼馴染が拾ってきた亀を飼っていました。めっちゃ可愛くて、犬を散歩させるのが夢だったので、紐をつけて亀を散歩させていました(笑)。今回、この歌と出会って、犬を飼ってみたいな、飼ったら大切にしたいなと思いました」(杉岡)

 ちなみに、ジャケット写真に神野と写っているのは、スタッフの飼い犬で、“gengen”という名前だそう。

「撮影の日、最初は距離があったんですけど、犬を飼っていた経験から得たすべてのテクニックを使って近づいて、距離を縮めました(笑)。ジャケット写真に使われているのは、慣れてきた撮影終盤のものが多いので、gengenがちょっと疲れた表情をしていますが、でも結果として歌詞の世界観を表現できたと思っています」(神野)

■カップリングには誰もが知っているZARDのミリオンヒット3曲を収録

 カップリングには、初回限定盤Aに「揺れる想い」、初回限定盤Bに「マイ フレンド」、通常盤に「負けないで」とZARDのカバー曲を収録。数ある楽曲の中からミリオンヒットの3曲を選んだのは、「役者犬のうた」を少しでも多くの方に届けるために、誰もが知っている曲を入れようと考えたからだ。

「3曲ともライブバージョンになっていますが、ライブはその時にしか出せない音。その瞬間の記録のようなものなので、聞いていただけるのは嬉しいですし、私たちもその時のことを思い出して、懐かしい気持ちになります。何より聞いているとライブをしたくなりますね」(神野)

 待望のライブツアーは9月18日にZepp Haneda、10月1日にZepp Osaka Baysideで開催。「役者犬のうた」に加え、TVドラマ『その結婚、正気ですか?』(TOKYO MX)のオープニング主題歌として神野が原作コミックを読み込んで書き下ろした2ndデジタルシングル「その結婚、正気ですか?」(8月7日リリース)も披露される。

「『その結婚、正気ですか?』は、これまで卒業やクリスマスなどイベントソングを書いてきて、結婚の曲も書いてみたいなと思っていたところにお話をいただいて。しかも初のドラマ主題歌ということで本当に嬉しかったです。ただ、今回はドラマの世界観から外れないように意識して書いたので、私が当初書きたいと思っていた結婚式で流してもらえるような曲とはちょっと違うんですけど…(笑)、ワクワクしながら楽しんで書かせてもらいました」(神野)

 2作品ともに、3人にとっては新境地を切り開いた楽曲。「新たな挑戦を受け入れてくれて、応援してくれるファンの温かさには本当に感謝しています」とファンの反応に喜びの笑顔を弾かせる。

「次のコンサートツアーは、みんなで楽しめるような、一体感が生まれるライブにしたいと思っています。オリジナル曲で盛り上がれるように、今、構成を考えている最中なので楽しみにしていただけたらと思います!」(神野)

 デビュー5年目となる今年、バンドとしてのさらなる進化とともに、幅広い世代へ動物愛護のメッセージを届けるべく歩む3人。これからの活躍がますます楽しみだ。

文:河上いつ子

<リリース情報>
SARD UNDERGROUND 6th シングル「役者犬のうた」
2023年9月20日発売

6th シングル「役者犬のうた」【初回限定盤A】

6th シングル「役者犬のうた」【初回限定盤A】

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【初回限定盤A】
GZCA-7190/800円(税込)
1 役者犬のうた
  作詞:鮫島琉星 作曲:長戸大幸 編曲:徳永暁人
2 揺れる想い [tribute 2023] (LIVE ver.)
3 朗読「役者犬のうた」 朗読:神野友亜
4 役者犬のうた(off vocal)

6th シングル「役者犬のうた」【初回限定盤B】

6th シングル「役者犬のうた」【初回限定盤B】

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【初回限定盤B】
GZCA-7191/800円(税込)
1 役者犬のうた
  作詞:鮫島琉星 作曲:長戸大幸 編曲:徳永暁人
2 マイ フレンド(LIVE ver.)
3 朗読「役者犬のうた」 朗読:神野友亜
4 役者犬のうた(off vocal)

6th シングル「役者犬のうた」【通常盤】

6th シングル「役者犬のうた」【通常盤】

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【通常盤】
GZCA-7192/800円(税込)
1 役者犬のうた
  作詞:鮫島琉星 作曲:長戸大幸 編曲:徳永暁人
2 負けないで(LIVE ver.)
3 朗読「役者犬のうた」 朗読:神野友亜
4 役者犬のうた(off vocal)

■SARD UNDERGROUND公式サイト:http://sard-underground.jp/index.html

関連写真

  • デビュー5年めに入ったSARD UNDERGROUND 写真左から 坂本ひろ美(Key)、神野友亜(Vo)、杉岡泉美(Ba)
  • ボーカルの神野友亜
  • ベースの杉岡泉美
  • キーボードの坂本ひろ美
  • 6th シングル「役者犬のうた」【初回限定盤A】
  • 6th シングル「役者犬のうた」【初回限定盤B】
  • 6th シングル「役者犬のうた」【通常盤】

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