ロックバンド・King Gnuやmillennium paradeで活躍するベーシスト・新井和輝が22日、東京・原宿のFENDER FLAGSHIP TOKYOで開催された『Fender Flagship Tokyo Special Event with 新井和輝』に参加した。
自身のFender製最新シグネチュアモデル「Fender Deluxe Jazz Bass V Kazuki Arai Edition」の発売を記念したこのスペシャルイベントでは、ファン50人を招待し、同モデルの開発経緯や自身のベース遍歴などについてトーク。
終演後にはORICON NEWSの取材に応じた新井。イベントを振り返りながら、『呪術廻戦』第2期(MBS/TBS系 毎週木曜夜11時56分〜)「渋谷事変」編のオープニングテーマに抜てきされた新曲「SPECIALZ」(9月6日発売)の制作エピソードなども明かした。
■「“現時点での完成型”と呼べる」最新シグネチュアモデルに込めたこだわり
――まずイベントの感想から聞かせてください。
【新井】思ったより人が近かったので緊張しました(笑)。あと、途中から「本当に大丈夫かな。みんな楽しめているのかな」と不安になったんです。話せば話すほど専門的な内容になってしまって、「結構狭いところの話をしているけど伝わっているのかな」と。みなさん真剣に聞いてくれていたのでうれしかったですし、なんとか無事に終わって良かったです。
――参加者の中にはベーシストも多く、最後の質疑応答でも専門的な質問が投げかけられていましたね。
【新井】普通のリスナーの方が楽しめたかどうかはわからないですけど(笑)、きょうのイベントはベーシストに聞いてほしい内容を話す場だったし、真摯に聞いてくれていることが伝わってきました。
――トークのメインテーマは、イベント当日に発売日を迎えた最新のシグネチュアモデル。新井さん自身、どんな仕上がりになったと感じていますか?
【新井】かなりスタンダードなモデルで、かつ自分なりに「こういう仕様があったらいいな」という組み合わせを提示したつもりです。イベントでも言ったように、理想のボディーに理想のエンジンを載せたような組み合わせになっていて、個人的にすごく満足しています。
――どんなプレイヤーに勧めたいベースですか?
【新井】まず、5弦ベースに対して敷居の高さを感じている人や、手の大きさで悩んでいる人ですね。サイズ感も日本人の体型に合うコンパクトさなので、5弦ベースへの導入として最適だと思います。その上で、中身はしっかりとプロ仕様になっていて長く付き合えるモデルでもある。いろいろな人に一度手に取ってみてほしいです。
――一般的なFender Jazz Bassよりもひと回り小ぶりなディンキーシェイプのボディー、そしてネックにはオリジナルの「Kazuki Arai “C” Shape」が採用されています。
【新井】American Deluxe Jazz Bass V(※1990年代半ばに発売された5弦モデル)をもとにしているんですけど、2020年にMade in Japanシリーズとして復刻しているんですね。ただ、復刻モデルのネックはCシェイプで、個人的に少し太く感じたんです。それで自分のモデルを出させてもらうことになったとき、少しだけDシェイプに寄せたオリジナルネックを作ってもらいました。
――オリジナルシェイプができ上がるまでには、何度も試行錯誤を?
【新井】細かな調整は何度かお願いしましたけど、僕が持っているベースの中に理想的なネックのモデルがあって、それを参考にしたので比較的スムーズでした。
――ネックにはもともとこだわりがあったのですか?
【新井】演奏中に一番触る部分じゃないですか。弦は好みのゲージや質感のものに張り替えられるけど、ネックだと簡単には替えられないから妥協もできない。だから、かなりこだわって詰めていった部分ではあります。
――イベントで試奏されていた際、コシのある音に驚かされました。あれはご自身がライブで使っている実機ですか?
【新井】はい。でも「僕が使っている状態と同じセットアップにして出荷してください」とお願いしているので、お店で買える新品でもほとんど同じ音が出せるはずです。もしかしたらここが一番狭いこだわりかもしれないですね(笑)。
――もしシグネチュアモデル第3弾が実現するとしたら、次はどのようなモデルを開発したいですか?
【新井】「ボディーはこれが良い、ネックはこれが良い、プリアンプはこれが良い」というものを全部詰め込んだのが第1弾で、それをさらにスタンダードなものに落とし込んだのが今回なんです。だから、現状このシェイプでできることは全部やり切れた感覚もあって。「フェンダーがもっとすごいプリアンプを開発した」とか、そういう未来の可能性ってことになると話は変わってきますけど、“現時点での完成型”と呼べるところまで行けたと思います。
■拡大を続けるKing Gnuの音楽性 すべてをカバーする最新ベースの対応力
――イベントでは約10ヶ月ぶりとなるシングル「SPECIALZ」についても語っていました。
【新井】この曲でエレベ(エレキベース)はほぼ使っていなくて、シンベ(シンセベース)のニュアンスでグルーヴしていくことを個人的なテーマにしました。例えば…曲中で2オクターブ分の跳躍を結構使っているんですけど、エレベだと難しいじゃないですか。
――大幅に移弦するか、ワーミーなどのエフェクターを駆使するか…。
【新井】そうなんです。弦上で移調するとなると音を切って移弦しなきゃいけないけど、シンセベースだとシームレスに行き来できる。そういうエレベとシンベのすみ分けができたし、そこがこの曲のミソになっているのかなと思いますね。
――シンセベースだと、そういったアーティキュレーションが重視されづらいですよね。
【新井】どうしても音色そのものに目が行きがち。一般的なシンセには「グライド」っていう音程変化の速度を調整する機能があるんですけど、個人的にはそこでレイドバック感を出したり、ニュアンスをつけられるのがシンセの“うま味”だと思っていて。今回の新曲ではそこが上手く出せたと思うので、伝わったら良いなって思っています。
――部分的にエレキベースも使用されたそうですが?
【新井】Bメロの後半…サビに入るフィルインの部分だけエレベですね。ここは “歪みの8ビートエレベ”という感じで、シンベには絶対に出せないニュアンスになっていると思います。この曲ではエレベとシンベのおいしさを加味して楽器のチョイスをしたつもりなので、そこも楽しんでもらえれば。
――トーク中には「4〜5曲の制作作業を同時に進めている」というお話もあり、2020年の『CEREMONY』以来となるアルバムも期待してしまいます。
【新井】今後の制作の進み方次第なので何とも言えません(笑)。リリース形態や時期すらも全然決まっていないんですけど、“次の作品”に向けた制作期間に入っているのは事実です。かなり新しいことをやっていて、今作っている4〜5曲だけでも全部曲調が違う。すでにバラエティーに富んでいますよ。
――レコーディングではシグネチュアモデル第2弾も活躍していますか?
【新井】スラップを採り入れる曲などではシグネチュア、オールドスクールな曲ではビンテージのプレベ(Fender Precision Bass 1961)…と、曲によってさまざまですね。ライブだとシグネチュアが今のメインです。僕はライブ中にあまりベースを持ち替えたくなくて、20数曲を1本で弾き切るタイプなんですけど、シグネチュアにはそういう対応力があるんです。
■Fender Deluxe Jazz Bass V Kazuki Arai Edition仕様
・ボディー:Ash(Gloss Polyester Finish)
・ネック:Maple(Kazuki Arai “C” Shape)
・指板:Rosewood
・スケール長:863.6ミリ
・ピックアップ:Ultra Noiseless Vintage Jazz Bass×2
・コントロール:Master Volume、Pan Pot(Pickup Selector)、Treble Boost/Cut、Midrange Boost/Cut、Bass Boost/Cut、Passive Tone、Active/Passive Mini Toggle
・カラー: Black、Vintage Blonde(FENDER FLAGSHIP TOKYOおよび公式オンラインショップ限定)
★YouTube公式チャンネル「ORICON NEWS」
自身のFender製最新シグネチュアモデル「Fender Deluxe Jazz Bass V Kazuki Arai Edition」の発売を記念したこのスペシャルイベントでは、ファン50人を招待し、同モデルの開発経緯や自身のベース遍歴などについてトーク。
終演後にはORICON NEWSの取材に応じた新井。イベントを振り返りながら、『呪術廻戦』第2期(MBS/TBS系 毎週木曜夜11時56分〜)「渋谷事変」編のオープニングテーマに抜てきされた新曲「SPECIALZ」(9月6日発売)の制作エピソードなども明かした。
■「“現時点での完成型”と呼べる」最新シグネチュアモデルに込めたこだわり
――まずイベントの感想から聞かせてください。
【新井】思ったより人が近かったので緊張しました(笑)。あと、途中から「本当に大丈夫かな。みんな楽しめているのかな」と不安になったんです。話せば話すほど専門的な内容になってしまって、「結構狭いところの話をしているけど伝わっているのかな」と。みなさん真剣に聞いてくれていたのでうれしかったですし、なんとか無事に終わって良かったです。
――参加者の中にはベーシストも多く、最後の質疑応答でも専門的な質問が投げかけられていましたね。
【新井】普通のリスナーの方が楽しめたかどうかはわからないですけど(笑)、きょうのイベントはベーシストに聞いてほしい内容を話す場だったし、真摯に聞いてくれていることが伝わってきました。
――トークのメインテーマは、イベント当日に発売日を迎えた最新のシグネチュアモデル。新井さん自身、どんな仕上がりになったと感じていますか?
【新井】かなりスタンダードなモデルで、かつ自分なりに「こういう仕様があったらいいな」という組み合わせを提示したつもりです。イベントでも言ったように、理想のボディーに理想のエンジンを載せたような組み合わせになっていて、個人的にすごく満足しています。
――どんなプレイヤーに勧めたいベースですか?
【新井】まず、5弦ベースに対して敷居の高さを感じている人や、手の大きさで悩んでいる人ですね。サイズ感も日本人の体型に合うコンパクトさなので、5弦ベースへの導入として最適だと思います。その上で、中身はしっかりとプロ仕様になっていて長く付き合えるモデルでもある。いろいろな人に一度手に取ってみてほしいです。
――一般的なFender Jazz Bassよりもひと回り小ぶりなディンキーシェイプのボディー、そしてネックにはオリジナルの「Kazuki Arai “C” Shape」が採用されています。
【新井】American Deluxe Jazz Bass V(※1990年代半ばに発売された5弦モデル)をもとにしているんですけど、2020年にMade in Japanシリーズとして復刻しているんですね。ただ、復刻モデルのネックはCシェイプで、個人的に少し太く感じたんです。それで自分のモデルを出させてもらうことになったとき、少しだけDシェイプに寄せたオリジナルネックを作ってもらいました。
――オリジナルシェイプができ上がるまでには、何度も試行錯誤を?
【新井】細かな調整は何度かお願いしましたけど、僕が持っているベースの中に理想的なネックのモデルがあって、それを参考にしたので比較的スムーズでした。
――ネックにはもともとこだわりがあったのですか?
【新井】演奏中に一番触る部分じゃないですか。弦は好みのゲージや質感のものに張り替えられるけど、ネックだと簡単には替えられないから妥協もできない。だから、かなりこだわって詰めていった部分ではあります。
――イベントで試奏されていた際、コシのある音に驚かされました。あれはご自身がライブで使っている実機ですか?
【新井】はい。でも「僕が使っている状態と同じセットアップにして出荷してください」とお願いしているので、お店で買える新品でもほとんど同じ音が出せるはずです。もしかしたらここが一番狭いこだわりかもしれないですね(笑)。
――もしシグネチュアモデル第3弾が実現するとしたら、次はどのようなモデルを開発したいですか?
【新井】「ボディーはこれが良い、ネックはこれが良い、プリアンプはこれが良い」というものを全部詰め込んだのが第1弾で、それをさらにスタンダードなものに落とし込んだのが今回なんです。だから、現状このシェイプでできることは全部やり切れた感覚もあって。「フェンダーがもっとすごいプリアンプを開発した」とか、そういう未来の可能性ってことになると話は変わってきますけど、“現時点での完成型”と呼べるところまで行けたと思います。
■拡大を続けるKing Gnuの音楽性 すべてをカバーする最新ベースの対応力
――イベントでは約10ヶ月ぶりとなるシングル「SPECIALZ」についても語っていました。
【新井】この曲でエレベ(エレキベース)はほぼ使っていなくて、シンベ(シンセベース)のニュアンスでグルーヴしていくことを個人的なテーマにしました。例えば…曲中で2オクターブ分の跳躍を結構使っているんですけど、エレベだと難しいじゃないですか。
――大幅に移弦するか、ワーミーなどのエフェクターを駆使するか…。
【新井】そうなんです。弦上で移調するとなると音を切って移弦しなきゃいけないけど、シンセベースだとシームレスに行き来できる。そういうエレベとシンベのすみ分けができたし、そこがこの曲のミソになっているのかなと思いますね。
――シンセベースだと、そういったアーティキュレーションが重視されづらいですよね。
【新井】どうしても音色そのものに目が行きがち。一般的なシンセには「グライド」っていう音程変化の速度を調整する機能があるんですけど、個人的にはそこでレイドバック感を出したり、ニュアンスをつけられるのがシンセの“うま味”だと思っていて。今回の新曲ではそこが上手く出せたと思うので、伝わったら良いなって思っています。
――部分的にエレキベースも使用されたそうですが?
【新井】Bメロの後半…サビに入るフィルインの部分だけエレベですね。ここは “歪みの8ビートエレベ”という感じで、シンベには絶対に出せないニュアンスになっていると思います。この曲ではエレベとシンベのおいしさを加味して楽器のチョイスをしたつもりなので、そこも楽しんでもらえれば。
――トーク中には「4〜5曲の制作作業を同時に進めている」というお話もあり、2020年の『CEREMONY』以来となるアルバムも期待してしまいます。
【新井】今後の制作の進み方次第なので何とも言えません(笑)。リリース形態や時期すらも全然決まっていないんですけど、“次の作品”に向けた制作期間に入っているのは事実です。かなり新しいことをやっていて、今作っている4〜5曲だけでも全部曲調が違う。すでにバラエティーに富んでいますよ。
――レコーディングではシグネチュアモデル第2弾も活躍していますか?
【新井】スラップを採り入れる曲などではシグネチュア、オールドスクールな曲ではビンテージのプレベ(Fender Precision Bass 1961)…と、曲によってさまざまですね。ライブだとシグネチュアが今のメインです。僕はライブ中にあまりベースを持ち替えたくなくて、20数曲を1本で弾き切るタイプなんですけど、シグネチュアにはそういう対応力があるんです。
■Fender Deluxe Jazz Bass V Kazuki Arai Edition仕様
・ボディー:Ash(Gloss Polyester Finish)
・ネック:Maple(Kazuki Arai “C” Shape)
・指板:Rosewood
・スケール長:863.6ミリ
・ピックアップ:Ultra Noiseless Vintage Jazz Bass×2
・コントロール:Master Volume、Pan Pot(Pickup Selector)、Treble Boost/Cut、Midrange Boost/Cut、Bass Boost/Cut、Passive Tone、Active/Passive Mini Toggle
・カラー: Black、Vintage Blonde(FENDER FLAGSHIP TOKYOおよび公式オンラインショップ限定)
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2023/09/01