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2年10ヶ月ぶりのアルバムに込めた“WANDS第5期”の意志と矜持

 WANDSが2年10ヶ月ぶりのアルバム『Version 5.0』を8月30日にリリースした。2019年に再始動した" WANDS第5期"にとって2枚目のアルバムとなる本作は、前作にも増して作詞・ボーカル上原大史、作・編曲・ギター柴崎浩という制作体制が明確になった。すでに発表済みのシングルや名曲のセルフカバー第5期ver.に加えて書き下ろしの新曲6曲を収録。"90年代の伝説の継承"ではない、リアルタイムのバンドとしての意思と矜恃が反映された楽曲群となった。9月に全国ツアーを控えた柴崎、上原に本作について話を聞いた。

9月からは全国ツアー『WANDS Live Tour 2023 〜SHOUT OUT!〜』がスタートする“WANDS第5期”

9月からは全国ツアー『WANDS Live Tour 2023 〜SHOUT OUT!〜』がスタートする“WANDS第5期”

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■制作体制の明確化がもたらした化学反応 “今”のWANDSが表現したい音楽を実現

──『Version 5.0』というタイトルはどのような思いから付けられたのでしょうか。

柴崎 現体制でのアルバムはこれが2作目ですが、楽曲を並べてみてようやく" WANDS第5期"らしくなったな、と感じたんですよね。いわば過去に囚われることなくやれるようになったというか…。

上原 前作については(キーボードの)木村(真也)さんが「過去と現代を繋ぐ接着剤」という表現をされていたと思うんです。確かに当時は再始動から間もなかったし、それも致し方なかったかもしれない。でも、その後、ライブや楽曲制作を重ねる中で「もう接着剤は必要ない」と確信できました。上原大史=WANDSのボーカルとしての歌い方も確立できたと感じていますし、個人的には『Version 5.0』が1stアルバムくらいの感覚でいますね。

──アルバムの幕開けは1曲目の「We Will Never Give Up」、2曲目の「GET CHANCE GET GROW」とハードなギターロックが続きます。

柴崎 これは明確にライブを意識した流れですね。9月からのツアーは“WANDS第5期”としては初の声出しOKのライブになるので。

上原 みんなで盛り上がれるのはうれしいですし、新曲がどんな景色を生むのか楽しみですね。

──メロディアスなギターソロにロングトーンのボーカルがかぶさり、2人のパフォーマンスが楽しみな2曲でもあります。

上原 メロディは基本、柴崎さんが決めてくれるんですけど、確かにギターソロのあたりはライブで気持ちよさそうだなと思いましたね。

柴崎 でも、「We Will Never Give Up」は上原の歌詞とボーカルが上がってきて、「俺、こんなカッコいい曲、作ったっけ?」って思ったんですよ。英語が多めということもあるんだけど、より洋楽っぽいテイストになってちょっと鳥肌が立ったくらい。

上原 マジですか、うれしい!(笑)

──2人で制作するからこその化学反応が?

柴崎 確かに仮歌は(作曲した)僕が入れて渡すんですけど、上原の歌詞が乗ることで、よりハマりのいい譜割やリズムに変えることもありました。作詞・作曲の体制が確立したからこそ、"今"のWANDSが表現したい音楽ができているというのは大きいですね。

■WANDSとして何ができるか? ライブを重ねてきたからこそ見えてきた新境地

──アルバム中盤以降は、前アルバム発表後のシングル曲を中心に、叙情的なバラードの「カナリア鳴いた頃に」や、EDMの音像が組み込まれた「RAISE INSIGHT」など、WANDSの新境地を拓いたとの評価も高い楽曲です。

柴崎 「カナリア鳴いた頃に」は、「普遍的ないいメロディとは?」ということを模索している中でできた曲でした。これもまた上原の歌詞とボーカルが乗ったことで「こんないい曲だったんだ」と再発見したところがありましたね。発声方法も想像とはぜんぜん違っていて。

上原 純粋にいいメロディだったし、とにかく丁寧に歌うことしか考えてなかったですね。「RAISE〜」もそうですけど、「WANDSとはこう」とかは一切抜きにして。でも柴崎さんと僕で作った曲に関しては、そうあるべきだと思っているんです。ボーカリストが変わるバンドというのは少ないけれどあって、前任ボーカルのスタイルをコピーするのも1つの正解かもしれない。だけど僕としては、それは自分の人生において納得が行かなかったというか…。

柴崎 そうですね。第5期として再始動する時から「2020年代のバンドとしての曲を作っていこう」という明確な意志がWANDSにはありましたし、それはこのアルバムを聴いてもらえればわかるんじゃないかなと思っています。

──本作に収録されたセルフカバーについてはいかがでしょうか。

上原 すごく難しいです。特に今回収録される3曲はあまりにも名曲すぎるし、僕も1リスナーとして、「ここはこう歌ってほしい」みたいなパートはやっぱりありますから。とはいえ、モノマネだけで終わっても意味がない。強烈な印象のあるパートは"本家"っぽいニュアンスを入れつつ、随所随所で「俺はこう歌う」という発声やフェイクを織り交ぜて、わりと計算して歌ったところはありました。

柴崎 アレンジについては、たとえば「世界が終るまでは…」は、譜面的にはほぼ当時のまま変えてないんですよ。ただ現代の機材を使っているので、音は当然、今っぽくなっている。ギターも同じフレーズを弾いてはいるんですけど、人間が演奏していればビブラートのスピードだったり、タッチだったりはまったく同じにはならないんですよね。もちろん今の自分が納得できる演奏を納めたいと思ってレコーディングしたわけで、そこも含めて第5期ver.として聴いてもらえたら嬉しいです。

──今年4月には公式TikTokを開設されましたが、現代のリスナーの中には"90年代のWANDS"を知らない世代も増えているのではないでしょうか。たとえば『名探偵コナン』の主題歌でWANDSに初めて触れた層など。

柴崎 確かに、WANDSに対して固定概念がないリスナーは増えているかもしれないですね。

上原 もちろん伝説のバンドを期待していた方も一定数はいたと思うんです。その層を納得させるのは、ある種、限界がある。でも、ボーカル・上原大史のWANDSを受け入れてくれた人がたくさんいてくれることも、実感してきました。今やるべきことはこの新しいアルバムをひっさげて「WANDSとして何ができるか?」ということでしかないと思っています。

──精力的なライブ活動も"2020年代のバンドのあり方"として見受けられます。本作収録の「官能SADISTICに濡れて」や「SHOUT OUT!!」も、9月からのツアーでものすごく盛り上がりそうですね。

上原 たぶんCD音源メインの時代には、「官能〜」みたいなカオスでブッとんだ曲や、「SHOUT〜」みたいなオーディエンスを煽るような曲を作ろうという発想にはならなかったと思うんです。特に"いいこと"を歌っているわけでもないですし(笑)。

柴崎 だけど、ただただ楽しい。こういう曲があるからこそ、ちゃんと"いいこと"を歌った曲も引き立つわけで。アルバムもそうだけど、ライブには絶対に必要な曲なんです。こうした曲ができたのも再始動してライブを重ねてきたからこその成果だし、そういう意味でもリアルタイムのWANDSを感じてもらえるアルバムになったと思っています。

文・児玉澄子

<リリース情報>
WANDS 7th AL『Version 5.0』(バージョン ゴ テン ゼロ)
2023年8月30日発売

【初回限定盤 A】CD+Blu-ray
GZCD-5014 /価格:4,400円(税込)
・特典 Blu-ray:MV5曲収録
「カナリア鳴いた頃に」「YURA YURA」「愛を叫びたい」「世界が終るまでは… [WANDS第5期ver.]」「RAISE INSIGHT」
・「愛を叫びたい」MVメイキング映像が視聴できるSPECIAL MOVIE視聴用シリアルナンバー入り

WANDS 7th AL『Version 5.0』(バージョン ゴ テン ゼロ)【初回限定盤 A】CD+Blu-ray

WANDS 7th AL『Version 5.0』(バージョン ゴ テン ゼロ)【初回限定盤 A】CD+Blu-ray

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【初回限定盤 B】CD +フォトブックレット
GZCD-5015/価格:3,850円(税込)
・特典フォトブックレット:※未公開写真満載40P
・「愛を叫びたい」MVメイキング映像が視聴できるSPECIAL MOVIE視聴用シリアルナンバー入り

WANDS 7th AL『Version 5.0』(バージョン ゴ テン ゼロ)【初回限定盤 B】CD +フォトブックレット

WANDS 7th AL『Version 5.0』(バージョン ゴ テン ゼロ)【初回限定盤 B】CD +フォトブックレット

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【通常盤】CD
GZCD-5016/価格:3,300円(税込)
・Bonus Track「ありふれた言葉で [Acoustic Version 5.0]」収録
・「RAISE INSIGHT」MVメイキング映像が視聴できるSPECIAL MOVIE視聴用シリアルナンバー入り

WANDS 7th AL『Version 5.0』(バージョン ゴ テン ゼロ)【通常盤】CD

WANDS 7th AL『Version 5.0』(バージョン ゴ テン ゼロ)【通常盤】CD

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<収録曲>
01 We Will Never Give Up 作詞:上原大史/作曲・編曲:柴崎浩
02 GET CHANCE GET GROW 作詞:上原大史/作曲・編曲:柴崎浩
03 WONDER STORY 作詞・作曲・編曲:上原大史
04 RAISE INSIGHT 作詞:上原大史/作曲・編曲:柴崎浩 
  ■読売テレビ・日本テレビ系アニメ「名探偵コナン」オープニングテーマ
05 空へ向かう木のように 作詞:上原大史/作曲・編曲:柴崎浩
06 官能SADISTICに濡れて 作詞:上原大史/作曲・編曲:柴崎浩
07 SHOUT OUT!!  作詞・作曲・編曲:上原大史
08 YURA YURA 作詞:上原大史/作曲・編曲:柴崎浩
  ■読売テレビ・日本テレビ系アニメ「名探偵コナン」オープニングテーマ
09 愛を叫びたい 作詞:上原大史/作曲・編曲:柴崎浩
  ■株式会社EMシステムズ 企業TVCM主題歌
10 カナリア鳴いた頃に 作詞:上原大史/作曲・編曲:柴崎浩
11 世界が終るまでは… [WANDS 第5期ver.] 作詞:上杉昇/作曲:織田哲郎/編曲:柴崎浩
12 MILLION MILES AWAY [WANDS 第5期ver.] 作詞:上杉昇/作曲:木村真也/編曲:柴崎浩
【Bonus Track】※通常盤のみ収録
13 ありふれた言葉で [Acoustic Version 5.0] 作詞:上杉昇/作曲・編曲:柴崎浩

WANDS Official Website:https://wands-official.jp/

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  • 9月からは全国ツアー『WANDS Live Tour 2023 〜SHOUT OUT!〜』がスタートする“WANDS第5期”
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