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BiSH解散 8年間の活動に幕 夢の舞台で涙の“バイバイ”「この6人で生き抜いた日々になに一つ後悔はありません」

 6人組アイドルグループ・BiSHが29日、東京ドームでワンマンライブ『Bye-Bye Show for Never』を行い、2015年の結成から約8年間の活動に終止符を打った。

『Bye-Bye Show for Never』を開催したBiSH

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 2016年1月19日、恵比寿LIQUIDROOMで高らかに宣言した夢の舞台=東京ドーム。パッケージシングル21作、アルバム計11作を世に放ち、レコード大賞の金賞受賞や紅白歌合戦への出場なども経てグループとして着実に拡大し、個々のスキルやパフォーマンスを磨き、清掃員(※ファンの総称)との絆も深め続け、この場所に立った。

 開演のブザーが鳴り、会場にかけつけた清掃員たち約5万人がクラップで待ち構える中、セントチヒロ・チッチアイナ・ジ・エンドモモコグミカンパニーハシヤスメ・アツコリンリンアユニ・Dの6人はライブのキラーチューン「BiSH -星が瞬く夜に-」で一夜限りのドーム公演をスタート。清掃員たちのメンバーコールや「はいせーの!」のかけ声、ヘッドバンギングにも万感の思いが込められた。

 「清掃員、準備はできてるか!」とチッチが叫び、ライブはさらに加熱。リンリンが“全霊”のシャウトで会場を貫く「ZENSHiN ZENREi」、アイナが「東京ドーム、アガっていこうぜ!」と焚きつける「SMACK baby SMACK」と、ハードなナンバーを立て続けた。

 3曲を一息のうちに駆け抜け、「東京ドームにお集まりのみなさん、はじめまして。私たち、BiSHです」とおなじみのあいさつ。“最後の自己紹介”という事実が生むさみしさを、アユニは「アユニ・DのDは…東京ドームの“D”です」というこの日限りのアレンジで吹き飛ばした。

 そこから爽やかに疾走する「HiDE the BLUE」を続け、4ビート特有の軽やかさで躍動する「FOR HiM」、メンバーが手を取り合って円を描くダンスも印象的なミドルナンバー「JAM」を披露。清掃員はメンバーカラーに光るサイリウムで“応戦”し、一体感を高めていった。

 MCでは、モモコが「楽しんでますか?ついに来ちゃったね」と呼びかけ、ハシヤスメは「見えてるよ!ありがとう!すごいいっぱいだね」と興奮気味に伝えた。アユニはリンリンと同所の落下傘に乗ったことがあると明かし、「そのとき東京ドームが見えて、『ここに立てたらいいね』って話しながら乗ってた」と振り返った。そしてハシヤスメは、遊園地のアトラクションに絡めたモモコへの身長イジりもはさみ、「夢がかなった日、この時間を最後まで楽しんで、噛み締めて、愛を届けていきます」と呼びかけた。

『Bye-Bye Show for Never』を開催したBiSH

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■振り幅を広げ続けるパフォーマンス 懐の深さを見せつけてクライマックスへ

 ゆるやかなMCの直後、「遂に死」で雰囲気を一変させた6人は、「stereo future」でセンターステージへ。ファンとの距離感を縮め、振り付けの一挙手一投足にも熱が宿る。こうしたエモーショナルなパフォーマンスに加え、ボーカルとピアノ、ストリングスのみでスタートするというアレンジでじっくりと聴かせた「My landscape」、重心を低く落としたビートで拳をあげさせる「サヨナラサラバ」など、緩急をつけたセットリストでも会場を揺さぶった。

 幕間映像を経て、初期の楽曲「スパーク」から中盤戦へ突入。同曲ではこれまで以上にバンドアンサンブルが前面に押し出され、解散宣言から数々のツアーをバンド形態で廻ってきたことで高まった練度も提示した。そんなサウンドのみならず、ステージ後方の巨大ディスプレイに映し出される情景もまた、ストーリー性を持ったダンスの彩度を上げた。そうした盤石の布陣でのパフォーマンスだけに、アバンギャルドな「FREEZE DRY THE PASTS」では多くのファンが思わず手を止め、6人の姿に見入っていた。

 その後のMCセクションでは、まったく異なるアプローチで視線を集めた“女優”ハシヤスメ。ライブ冒頭に登場した謎のウサギに対し、「私の晴れ舞台が変なうさぎに汚された」と怒るハシヤスメだが、ステージ上のモニターには着ぐるみ姿のプロデューサー・渡辺淳之介の姿が。5万人を前にしても普段通り見事なコント芸を披露した。

 清掃員の笑いもかっさらい、「まぁいいや、みんなで楽しんでいこうよ!」とハイテンションのまま、「ぴょ」「ぴらぴろ」でのBiSH初となるトロッコパフォーマンスも繰り出し、「DA DANCE!!」でハシヤスメが「私はBiSHが大好きだ―!」と叫ぶと、割れんばかりの歓声が上がった。

『Bye-Bye Show for Never』を開催したBiSH

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 お祭りのような雰囲気で会場が満ちる中、スクリーンが星空を映し出し、代表曲の1つ「プロミスザスター」へ。そして、2020年12月ぶりに披露された「LETTERS」を続けて会場をどよめかせると、チッチの目には涙が。思わずあふれ出た思いを、「私たちは清掃員といくつもいくつも約束を交わして、約束を果たして、一緒に夢を見て、一緒に夢をかなえてきました。そしてきょう、今まで見た夢の中で一番大きな夢がかないました、みんなが愛してくれたおかげです。ありがとうございます」と感謝の言葉に変えた。

 そこからの展開はまさに怒涛。6人+5万人の雄叫びを楽曲に採り込んだ「GiANT KiLLERS」、特効と清掃員の手拍子&ヘドバンで疾走する「MONSTERS」を立て続けた後、アイナの「ラストスパート、行けますか!?」というあおりで「サラバかな」へとなだれ込んだ。

 本編の最後に、チッチは「BiSHはみんなにもらったたくさんの愛で、こんなに大きくなりました。私たちも東京ドームが似合うグループになれましたか?」と問い、万雷の拍手を受けた。すると、優しげな笑みを浮かべながら「BiSHは解散するけど、みんなの気持ちを置いてけぼりにするつもりはありません。きょうの思い出がこれからの人生のお守りになるように、BiSHの楽曲があしたからのあなたの生きる糧であるように願っています」と続け、「消えない愛を込めて」と噛みしめるように「ALL YOU NEED IS LOVE」を披露。楽曲後半では恒例となっている肩組みも起こり、メンバーと5万人が言葉通り1つになった瞬間だった。

『Bye-Bye Show for Never』を開催したBiSH

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■メンバーそれぞれが告げる感謝の言葉 最後にはファンから“感謝”のサプライズも

 会場が暗転した状態のままステージへと戻った6人。そして、過去8年間で見せてきたどの衣装とも違う印象を与えるワンピースドレスに身を包み、「永遠に響きますように」と願いながら披露したのは「オーケストラ」。ファンが作り出す光が青から赤へ変わる中で、渾身の思いを歌に込めた。そして歌唱後、メンバーたちはそれぞれの心の内を口にした。

 アユニは「実は解散が決まってから、眠れない夜はあなた方清掃員からもらった手紙や、SNSでもらった言葉を読んで眠っていました。私が日々朝を迎えられているのは、あなた方のおかげです。これからも必死にガムシャラに変わらず生きますので、どうか一緒に健やかで長生きしましょう。この8年間の日々はおばあちゃんになってもたくさん思い出して、きっと強く強く抱きしめて生きていきます。出会ってくれて、見つけてくれて本当にありがとうございました」と、声をつまらせながらも懸命に伝えた。

 リンリンは「正直、始まる直前まで解散の実感が沸かなくて、だんだん(開演の)18時が近づくにつれて、どんどん足がふわふわして。今、やっとここが東京ドームだって足で感じています。私の人生にBiSHがあって本当によかったなと思います。きょうでBiSHとも、BiSHのリンリンとも、清掃員ともお別れなので、最後にみなさん右手を上げて握手をしましょ?サンキュー、お元気で。シーユー、ありがとうございました」と“らしい”別れの言葉を贈った。

 ハシヤスメは「こんなにもワクワクして、こんなにもさみしい気持ちの6月29日は初めてです。ずっとライブをしてきて、きょうもライブをしていて、この時間がまだまだ続くような気がするんだけど、もうアンコールまで来てしまいました。すごくさみしいです。BiSHは今までいろいろな壁を壊してきました。そしてきょうは、BiSH史上最大の夢であり、最大の壁を壊した伝説の日になったと思います。今まで、そしてきょうも一緒に壁を壊してくれてありがとうございます。埋まらないと思っていたけど、ここに来られなかった人がいたこともわかっています。それだけたくさんの人に愛された8年間だったんだなって思います。BiSHのことを愛してくれて、応援してくれてありがとうございました!」と最後まで笑顔を見せ続けた。

 モモコは「たくさんライブをしてきました。最後まで走り回って、汗まみれで、ドロドロで。でも、これが生きるってことなんだとBiSHに教わりました。かっこ悪くても弱くても、それでも強がってモモコグミカンパニーとしてステージに立てたのはあなたのおかげでした、人生であなたに会えたこと、BiSHをやりきったことは生涯の誇りです。なにもない私ですが、東京ドームにみんなで立てました。ありがとうございました」と涙を浮かべながら感謝した。

 アイナは「8年間、いっぱい愛してくれてありがとう。私、こんなに幸せな8年間を送れるなんてBiSHになったときは思っていませんでした。幸せの前借りをしたんかなって思うほどです。BiSHのライブ、振り付けをすることは生きがい中の生きがいでした。いつも振り付けを考えるのは、ベッドの上、シャワーを浴びているとき、みんなで移動したハイエースの中。そんなちっぽけな世界で『みんな踊ってくれるかな』と考えて、みんなが踊ってくれて本当に楽しかった。清掃員もBiSHのメンバーです。80人キャパからはじまったBiSH、きょうは東京ドーム。誰がなんと言おうとBiSHは最高です。清掃員さん、愛してます」と精一杯に思いを告白。

 チッチは「夢の日がやっと来ました。来てしまいました。人生をかけて愛したBiSHがきょうバラバラになってしまうのが、なによりもさみしいです。未だに『解散したくない』なんて思ってしまう自分と戦っています。だけど、この6人で生き抜いてきた日々になに1つ後悔はありません」と涙を拭いながら、「きょうは胸を張って、この6人でバイバイしに来ました。みんなで駆け抜けた青春は、一生の宝です。アイナ、モモコ、アユニ、リンリン、ハシヤスメ、出会えてよかったです。セントチヒロ・チッチとして生かしてくれてありがとうございました。そして、BiSHを愛してくれてありがとうございました。最高に幸せな8年でした」と、最後には笑顔を見せた。

 そして「きょうは全員で優勝しにきたんです。最高の“トゲトゲ”見せてくれますか?」と、「beautifulさ」を披露し、この日2度目の「BiSH -星が瞬く夜に-」で締めくくった。そして「BiSHは生まれてきてよかったです。以上、私たち、BiSHでした!ありがとうございました!」と告げた後、マイクを通さずに「バイバイ!」と言い、ステージを降りた。

 しかしその後、別れを惜しむアンコールの声は一切止まず、むしろ大きくなるばかり。そんな中、6人は無言のまま再度ステージに戻り、最後の楽曲「Bye-Bye Show」を届ける。モモコは<心の中の清掃員はForever>と歌詞を変えて歌い、全員が力強く思いを歌に乗せる。

 そんな6人に、清掃員からは“桜色”のサイリウムを振るという最高のプレゼントが。初の日比谷野外大音楽堂で刻み込んだ“思い出”もほう彿とさせながら、メンバーは涙と笑顔で受け取り、8年の歩みに幕を下ろした。

『Bye-Bye Show for Never』を開催したBiSH(左から)ハシヤスメ・アツコ、アユニ・D、モモコグミカンパニー、セントチヒロ・チッチ、リンリン、アイナ・ジ・エンド

『Bye-Bye Show for Never』を開催したBiSH(左から)ハシヤスメ・アツコ、アユニ・D、モモコグミカンパニー、セントチヒロ・チッチ、リンリン、アイナ・ジ・エンド

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■BiSH『Bye-Bye Show for Never』セットリスト
01. BiSH -星が瞬く夜に-
02. ZENSHiN ZENREi
03. SMACK baby SMACK
04. HiDE the BLUE
05. FOR HiM
06. JAM
07. デパーチャーズ
08. 遂に死
09. stereo future
10. My landscape
11. サヨナラサラバ
12. NON TiE-UP
13. スパーク
14. Life is beautiful
15. FREEZE DRY THE PASTS
16. ぴょ
17. ぴらぴろ
18. DA DANCE!!
19. プロミスザスター
20. LETTERS
21. GiANT KiLLERS
22. MONSTERS
23. サラバかな
24. ALL YOU NEED IS LOVE
En1. オーケストラ
En2. beautifulさ
En3. BiSH -星が瞬く夜に-
En4. Bye-Bye Show

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