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【インタビュー】路上ライブで人気の“あくあゆい” 伝えたいのは「人の孤独に寄り添う歌」

 SNS配信や路上ライブでの活動を通してファンを増やし続けているあくあゆいが、いよいよ3月22日にデビューシングル「魔法がなくても/向日葵」をリリースする。3月26日にはワンマンライブ「流れる星との音色」も開催し、本格的にシンガーソングライターとしてスタートを切る彼女に、デビューシングルに込めた想いと、今後の活動について聞いた。

3月26日にはワンマンライブ「流れる星との音色」を開催する“あくあゆい”

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■スポーツ少女から弾き語りのシンガーソングライターへ 路上ライブで人気を集めるのは“孤独に寄り添う歌”

あくあ 実は、子どもの頃は音楽よりスポーツが大好きでした。特に、小学5年の時に始めたソフトテニスに熱中して、来る日も来る日も練習漬け。いつしか、中学校の教師になってソフトテニス部の顧問につきたいという夢を抱くようになり、高校でもインターハイ出場を目指してひた走っていました。ところが、必死に練習しすぎて、気づかないうちに疲労骨折から腰椎分離症という大けがにつながってしまい、選手生命が絶たれてしまったんです。少し休んで、大学でも体育会のソフトテニス部に入りましたが、ラケットを持って球を打てない自分が、人に教える姿を想像できなくなって、教員になるという夢が現実的でなくなりました。ちょうどその頃、趣味だったアコースティックギターを手に取って、弾き語りのライブをSNSで発信してみたんです。日を追うごとに、私の歌を聴きにきてくれる方が増えていって、音楽に真摯に向き合ってみようと思うようになりました。ちょうど、新型コロナがまん延し始め時期でした。

 音楽に真剣に取り組んでみようと思った彼女が立ち止まって考えたのは、自分が何を伝えたいのか、何を歌にしたいのかということだった。

あくあ 「グループの序列に従わないと仲間外れにされるのではないか」というスクールカーストのような雰囲気に窮屈さを感じて、学校生活に苦手意識を持っていた中学生の頃を思い出しました。夢中になっていたソフトテニスも、個人競技でありながらチーム力が必要とされる面があったのですが、試合に負けて落ち込む私に声をかけてくれる人はいなくて、独りぼっちだなと感じた記憶も蘇りました。そんな私が作りたい音楽は、つらい時に「頑張れ!」と激励するのではなく、「私もその気持ち、わかるよ」と、孤独な人に寄り添うような音楽だと気づいたんです。

 こうして、“人の孤独に寄り添うこと”を目標にした、あくあゆいの音楽活動が始まった。

あくあ SNSで弾き語りライブを始めた当初は、1回2時間くらい、週に5回ほど配信していました。続けていくうちにフォロワーが増えてリクエストをいただくようになったのですが、歌ってほしいと求められたのは尾崎豊さんや徳永英明さん、中島みゆきさんなどの曲。不勉強で彼らの楽曲をあまりよく知らなかったので、CDを聴いたり、ライブ映像を取り寄せたりして習得しました。そのうちに私もすっかり彼らに魅せられて、気づいたらカバー曲のレパートリーは1年で200曲も増えていました。

 カバー曲の習得とともに、取り組み始めたのはオリジナル楽曲への挑戦だった。

あくあ 作詞も作曲も独学で始めました。とりあえずコードを適当に押さえて、思いついたメロディーを乗せていくという手法で曲を作って・・・。詞は言いたいことがいっぱいあったので苦労することなく綴っていましたね。

 そして、ネット上でのライブを飛び出して、路上ライブに挑んだ。

あくあ ネット上にはライバルが多すぎて、私の歌を聴いてもらうチャンスが少ないことに気づいたんです。それに、音楽は直接届けるのが一番だし、直に見て、聴いていただくほうが熱も伝わると思って、路上ライブへ挑戦しました。ライブハウスでのパフォーマンスも考えていたので、「チケットを売るためにも路上ライブのほうが好機あり」という計算もありましたけど(笑)。東京と大阪、名古屋という3大都市圏を中心に、昨年は北海道と九州、兵庫にも遠征しましたが、配信ライブを1年間続けてきたおかげで、どこへ行ってもファンが聴きにきてくださるようになりました。いまでは、路上ライブは、ファンの方に感謝の気持ちを伝える機会にもなっています。

“人の孤独に寄り添うこと”をモットーに活動を続ける“あくあゆい”

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■渾身のデビュー曲に続いて、コラボレーションで完成したスペシャルソングをライブで披露

 3月22日に発売されるデビューシングルのタイトル曲「魔法がなくても」は、サウンドプロデューサーの青葉紘季氏に教えを受けながら作った渾身の1曲。

あくあ 事務所に所属するまで、独学で楽曲制作に取り組んでいたのですが、全国で発売する曲を作るにあたって、青葉さんに作詞作曲のいろはを教えていただきました。曲ができるまでは試行錯誤の繰り返しで、何度壁にぶつかったことか! でも、1コーラスでき上がった時に、「いい曲ができそうだ」という感触があったんです。サビは、私の名前の“あくあ”の由来でもある大好きなAqua Timezさんがラストライブで歌った「because you are you」にインスパイアされた言葉を紡いでいます。完成するまでには3ヶ月ほどかかりましたが、自信作ができました。この曲は、ファンに捧げるラブソング。あくあゆいが心を込めて書下ろしたバラードです。

 新曲のリリース後に四谷ハニーバーストで行うワンマンライブでは、スペシャルソングの披露も決定した。

あくあ 横浜市にある荏田西小学校の5年1組の児童と先生と一緒に作った、学校創立30周年記念オリジナル曲を歌います。歌のタイトルは「君の笑顔で」。タイトルは児童の皆さんが考えたものです。

 彼らと出会うきっかけとなったのは、やはり路上ライブとSNSだった。

あくあ 昨年12月に行った横浜BAYSISでのワンマンライブの前に、横浜で重点的に行った路上ライブとSNSの配信がきっかけで、荏田西小学校の児童の皆さんと担任の先生があくあゆいにたどり着いてくださり、一緒に記念の曲を作ってほしいという依頼があったんです。それから、4回ほど学校にお邪魔して特別授業の時間をいただいて、作詞・作曲のアドバイスはもちろん、私の体験を含めいろいろと話し合いました。それを踏まえて、ベースとなる歌詞とメロディーをクラスの皆さんが作って、私が仕上げて曲が完成しました。毎朝歌うのにぴったりな、「今日も1日頑張るぞ!」と元気が出る歌になっています。

児童と一緒に作った歌はワンマンライブでも披露する

児童と一緒に作った歌はワンマンライブでも披露する

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 教師になりたいと思っていた夢が、思わぬ形で実現した。

あくあ 児童の皆さんがとてもかわいらしくて・・・。学校に着いて校長室で待っていると、私を迎えに来て、終わったあとも校長室まで送ってくれるんです。私の送迎をしたいというお子さんが多くて、送迎係は当番制になっていたと聞いて感激しました。学校に行くたびにサイン攻めにあったのも嬉しかったです。教師にはなりませんでしたが、シンガーソングライターとしてお子さんたちと一緒に曲を作って歌うことができるなんて思いもしませんでした。不思議なめぐりあわせに感謝しています。

 さまざまな挑戦を続けて進んでいくあくあゆいには、大きな夢がある。

あくあ 曲をたくさん作って、ワンマンライブをこなして、最終目標は日本武道館で満員のお客様の前で歌いたいと思っています。そこにたどり着くためにも、全国で活動を展開していく予定ですが、まずはシングル「魔法がなくても/向日葵」を多くの方に聴いていただきたいです。特にタイトル曲の「魔法がなくても」は、“この世界をうまく生きる魔法があればいいな”と思っていた私が、“魔法がなくてもありのままの姿で輝いていられる”ということに気づいて、その思いを歌にした曲。私の歌が皆さんの心に寄り添うことができたら嬉しいです。

 切なさを感じさせながらも力強い歌声で、聴く者の心に訴えかけていくあくあゆい。閉塞感が漂うこの世の中で彼女の歌を聴けば、心の中に向日葵が咲くような晴れやかな気持ちになるだろう。彼女が進んでいくこの先の道も楽しみだ。

文:森中要子

<リリース情報>
デビューシングル「魔法がなくても/向日葵」(2023年3月22日発売)

デビューシングル「魔法がなくても/向日葵」

デビューシングル「魔法がなくても/向日葵」

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YZAC-15113/1200円(税込)

収録曲
1. 魔法がなくても
2. 向日葵
3. 魔法がなくても (インストゥルメンタル)
4. 向日葵 (インストゥルメンタル)

<あくあゆい プロフィール>
“人の孤独に寄り添うこと”を基盤に、オリジナル曲を発信するシンガーソングライター。ツイキャス配信や路上ライブで人気を集め、全国各地で確実にファンを増やし続けている。2021年にはクラウドファンディングを167%の達成率で成功させ、1st ep「Alone」を製作。すべての楽曲の源にあるのは悲しみの感情であり、自身がリアルに感じた人間関係の苦悩や、世間一般で当たり前とされていることへの疑問を、中毒性のある歌声とともに響かせている。
あくあゆい オフィシャルサイト:https://aquayui.com/

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  • 3月26日にはワンマンライブ「流れる星との音色」を開催する“あくあゆい”
  • “人の孤独に寄り添うこと”をモットーに活動を続ける“あくあゆい”
  • 児童と一緒に作った歌はワンマンライブでも披露する
  • デビューシングル「魔法がなくても/向日葵」

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