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藤澤ノリマサの新たな魅力満載 AL『Changing Point』底知れないポテンシャル

 ポップスとオペラの歌唱を融合させるという独自のスタイルで、2008年にメジャーデビューした藤澤ノリマサ。21年5月には、作詞家・松井五郎氏とタッグを組み、初めて全曲ソングライティングしたオリジナルアルバム『La Luce −ラ・ルーチェ−』をリリースした。それまで背負ってきた“ポップオペラ”の看板を封印して臨んだ同作で、ソングライターとして新境地に辿り着いた彼は、1年半を経て再び松井氏とタッグを組み『Changing Point』を制作、11月23日に世に放つ。本作に込めた想いを聞いた。

デビュー15周年を迎えた藤澤ノリマサ

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■パワフルに押すだけでなくソフトに引く歌い方も 新たな魅力が詰まった新作アルバム

「ソングライターとしても活動することで、違った角度から音楽を見ることができるのではないか、という松井五郎先生の言葉をきっかけに、昨年リリースしたオリジナルアルバム『La Luce −ラ・ルーチェ−』が完成しました。松井先生は、僕の可能性を信じてくださる大師匠で、今作もタッグを組むことが決まると、『ウィスパーボイスやファルセットも使って、いろんな歌い方をしてみたらどうだろう?』と、新たな課題を出してくださったんです。そんな時に、以前所属させていただいた事務所の大先輩、竹内まりやさんも『藤澤くんはずっとハイトーンで歌っていくのかな?』っておっしゃっていたと、人づてに聞きまして。来年はデビューからちょうど15周年記念の節目だし、お二方に背中を押してもらったことだし、新たな扉を開けてみよう! そう意気込んでアルバム制作に取りかかりました」

 今作は、様々なジャンルの音楽を取り入れた、曲調もテンポも違う14のオリジナル曲が収録されている。

「前作同様に、松井先生が全曲作詞・プロデュースをしてくださいました。前作はどちらかというと僕が好き勝手に作曲したこともあって、バラードが多く、アレンジもストリングスを使ったクラシック音楽の香りが感じられるような内容になりました。今回は、タイトルチューンの「Changing point」はミディアムテンポのパワーソング、「Yes I do - キスはまだ終わってない」はAOR感が漂うアップテンポのラブソング、スウィング・ジャズやシャンソンを意識した「Ambivalence」、語りかけるように歌った「琥珀のとき」や、レゲエっぽいリズムを刻んだ「パンドラの耳打ち」といった具合に、バラエティに富んだジャンルの音楽からインスピレーションを受けた楽曲が並んでいます。ノリマサテイストは生かしつつ、松井先生のディレクションによって、豊かな色味のアルバムに仕上がったと自負しています」

 1曲目に収録された、アルバムタイトルでもある「Changing point」は、聴きごたえのある美しいハーモニーから始まる。

「僕の声を8声重ねました。以前、多重録音の神である山下達郎さんにそのコツを教えていただいたことがあって、そのアドバイスを思い出しながら臨みました。同じ波動で歌うこととビブラートを合わせることを意識して録ったのですが…、とにかく頑張りました!」

 同曲をはじめ、アルバムに収録されたすべての楽曲は、松井氏の詞に藤澤がメロディーをつけるという“詞先”スタイルが採用されている。

「J-POPの多くは、先に作られたメロディーに合わせて詞をつける、いわゆる“曲先”だと思うのですが、松井先生とは“その潮流を変えてみよう”と話し合って、前作に続き今作も“詞先”で制作しました。詞を読んでいると“メロディーはこっちの方向だよ”と自然と誘われるというか、そう書かれているような気がするんですよね」

“ポップオペラ”の看板を封印し新たな表現方法を模索

“ポップオペラ”の看板を封印し新たな表現方法を模索

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■言葉の先にあるものも意識 曲の世界観に合った声を追求した日々

 前作では、自身の思いの丈を詰め込んだ“5メートルメール”を松井氏に送って、「手紙」が生まれたという逸話を披露してくれた藤澤だが、今回はどうだったのだろうか。

「長文メールはあれで終わり。先生には耐えられなかったようです(笑)。今回は、僕が作ったメロディーに一発OKが出たナンバーもあれば、綿密にSNSなどでやり取りを重ねて作った曲、直接僕のスタジオに足を運んでくださって、コード進行の微調整などを行って作り上げた曲もあります。1週間に3日くらい顔を合わせることもあって、まるで恋人同士みたいに濃密な時を一緒に過ごしていたのに、アルバムが完成したらパッタリ音沙汰なし(笑)。それも先生らしいんですけどね」

 今回、リリックビデオが制作された「海がくれたバイオリン」も、松井氏からふいに送られてきた歌詞と、急なムチャぶりから始まった曲だった。

「今年前半に行った“全国ランチショー”の埼玉公演(3月10日)の前日に、急に詞が送られてきて、『今からメロディーをつけて明日歌うのは無理だと思うから、朗読して』と(笑)。東日本大震災で奥様を亡くされたおじいさんの話にインスピレーションを受けた松井先生が、哀愁たっぷりの物語を紡いでくださいました。ドギマギしながらの朗読を経て、僕は敢えてこの切ない詞にポップなメロディーを合わせたんです。この曲はリリックビデオも制作されています。詞の世界を松井先生が映像化しているので、さらに胸に迫るものがあります」

 このように多彩な14曲は、松井氏のプロデュースによって、様々なプロセスを経て生まれている。そして、楽曲ごとに異なる声音や、歌い方によって、これまでにないノリマサボイスを引き出したのも、松井氏の手腕であったという。

「松井先生はいつも『言葉は書くものじゃなくて見つけるもの。それを表現するのは歌手の仕事だ』とおっしゃるんです。そこで、今作で僕は“言葉に合う曲”とともに“言葉に合う声”を探す作業に徹しました。例えば「Ambivalemce」のボーカルレコーディングでは、ホーンセクションが華やかなので、僕もついノッてしまってゴスペル調にフェイクで叫んだところ、“これは恋の駆け引きを歌っている歌だからアレサ・フランクリンのようなシャウトはいらない”と先生に言われてしまって。危うく、憧れのアマゾンズのお三方のコーラスを台無しにしてしまうところでした。トライ&エラーを繰り返して、ソフトに抑え気味に、フランク・シナトラトニー・ベネットのような歌声を目指しました」

 安全地帯の楽曲の作詞を手がけたことでも知られる松井氏。玉置浩二は藤澤が敬愛するシンガーの1人でもある。今回のレコーディングでは、当時の歌入れの様子を振り返りつつ、アドバイスされたことも多々あったという。

「安全地帯の楽曲もそうなんですが、松井先生の歌詞には“なぜ”とか“ねえ”とか、短い言葉にいろんな意味が込められているんですよね。一言一言を丁寧に、言葉の先にあるものも意識しながら、曲の世界観に合った声を追求して歌いました」

デビュー15周年を迎えた藤澤ノリマサ

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■デビュー15周年のメモリアルイヤーに見せた変化 そしてネクストステージへ

 “ポップオペラ”とは、ポップスの歌唱法をサビではオペラの歌唱法に切り替えて歌い分けるというものだ。今作はソフトでポップな新しい藤澤ノリマサの声が堪能できるアルバムに仕上がっているものの、藤澤曰く「前半はポップスの歌い方で、サビからはクラシックの歌い方というわかりやすいスタイル」は、確かに封印されているかもしれない。しかし、持ち味であるクラシカルな要素もポイントポイントで入っている。

「もちろん声を張った歌もありますし、声より先に息が出るように吐息交じりで歌った曲もあります。フォルテフォルテで押すだけではなく、囁くようなウィスパーボイスのように、引くこともできる藤澤ノリマサの “Changing Point”(=変化点)をお楽しみいただけたら嬉しいですね。もちろん、僕の原点は“ポップオペラ”なので、そろそろ”ポップオペラ“の新作の制作も取り組もうと考えています」

 新作『Changing Point』の発売日の11月23日には、大手町三井ホールでコンサートを行い、翌日からはインストアイベントも予定されている。

「23日のコンサートは2回公演です。アルバム収録曲も含めたバラエティに富んだセットリストとなっています。その翌日からは4日間連続タワーレコードでインストアイベントを実施します。インストアライブは僕の原点とも言えます。デビュー直後には2週間かけて全国のレコード店を回って生歌を披露して、それをきっかけにずっと応援してくださっている方も大勢いらっしゃいます。ここ数年は、新型コロナウイルスの影響でインストアライブができる状況ではなかったので、久しぶりのインストアライブも気合を入れて歌いたいと思っています!」

 松井氏と二人三脚で作ったニューアルバム『Changing Point』は、藤澤ノリマサの底知れないポテンシャルが表れた作品となった。そんな彼は、この先歌手としてどのような光を求めて、羽ばたいていくのか。デビュー15周年というメモリアルイヤーに40代に突入し、さらに光り輝くネクストステージを目指す彼の冒険は続く。

文・森中要子

藤澤ノリマサ ニューアルバム
『Changing Point』2022年11月23日発売
【初回限定盤】(2CD)
FRCA-1316〜7/4620円(税込)

作詞家・松井五郎氏と再タッグを組んだ『Changing Point』(初回限定盤)

作詞家・松井五郎氏と再タッグを組んだ『Changing Point』(初回限定盤)

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【通常盤】(2CD)
FRCA-1318/3520円(税込)

作詞家・松井五郎氏と再タッグを組んだ『Changing Point』(通常盤)

作詞家・松井五郎氏と再タッグを組んだ『Changing Point』(通常盤)

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<CD収録内容>
[Disc.1]共通 全14曲収録
01. Changing point(album take)
02. Yes I do - キスはまだ終わってない
03. 海がくれたバイオリン
04. さよならを言うだけで
05. 愛するかたち
06. パンドラの耳打ち
07. 琥珀のとき
08. 花ノ音
09. 窓辺の羽根
10. Christmas Wishes
11. Ambivalemce
12. Behind the sky
13. Return to Life
14. 君を愛してる

[Disc.2]
「La Luce クラシカルコンサート」ライブ音源

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