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日テレ『超無敵クラス』が音楽オーディション 「10代の眠れる才能発掘したい」その理由

 MCのかまいたち指原莉乃が“担任”を務め、総フォロワー数1000万人超えのインフルエンサーが“生徒”となり、10代の今を伝える日本テレビの学園バラエティ番組『超無敵クラス』(日曜昼12時45分〜14時00分放送)で、ユニークなオーディション企画が始動している。まだ世間に出ていない音楽の才能を持つ10代を発掘するという「超無敵10代アーティスト発掘オーディション」だ。

「超無敵10代アーティスト発掘オーディション」を開催中の日本テレビ『超無敵クラス』  (C)日本テレビ  

「超無敵10代アーティスト発掘オーディション」を開催中の日本テレビ『超無敵クラス』  (C)日本テレビ  

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■テレビ番組と音楽デジタルディストリビューションがタッグを組んだ音楽オーディション

 過去、そして現在も、さまざまな番組で音楽オーディションは行われている。それらの多くは大手レーベルと組み、楽曲リリースや新人アーティストとしてデビューが最終ゴールとなっている。対して今回のオーディションで番組がタッグを組んだのは、インディーズ・アーティストに向けて音楽配信の支援サービスを行うTuneCore Japan(以下、チューンコアジャパン)であり、オーディション特典として用意されているゴールは、合格者の楽曲を同番組内の各種コーナーで挿入歌として使用するというもの(その後に配信リリース予定もあり)。

 このような、デビューやリリースを主目的としないオーディション企画は、どのように立ち上がったのだろうか。

日本テレビプロデューサー・宮崎慶洋氏

日本テレビプロデューサー・宮崎慶洋氏

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「CD全盛の時代のオーディションと言うと、CDリリースがゴールで、そのためにはレコード会社としっかりと組まなければ、なかなか若い才能を世に送り出せませんでした。でも今の10代は手軽に音楽を作り、YouTubeやTikTokに投稿し、中にはその楽曲が大ヒットになることもあり得るようになりました。そういった状況を考えると、チューンコアジャパンさんには既に10代がアクセスしている配信プラットフォームがあり、そこにはきっと眠れる才能が存在するはず。そこで、何か一緒に面白いことができるのではないかと考えたのが、今回のオーディション企画のスタートでした」(日本テレビプロデューサー・宮崎慶洋氏)

「今は何をもって“デビュー”というのか、以前よりも意味合いが曖昧です。例えばチューンコアジャパンから配信した「W / X / Y」が大ヒット中のTani Yuukiさんは、インディペンデントのアーティストとして活動しながら数々の音楽番組に出演するいったスタンスをとっています。我々もビジネスとはまったく別の観点で10代の表現の場を作って応援し、草の根的に『あのコーナーの新しい曲、いいよね』と広がってくれればいいなと考えているんです」(日本テレビICT戦略本部主任・栗田慎太郎氏)

 オーディションの座組みに加わったチューンコアジャパンは、10年前の2012年10月から音楽デジタルディストリビューション(音楽配信代行)サービス「TuneCore Japan」を展開。21年12月には、配信リリース曲がトータルで100万曲に達し、利用アーティストへの還元総額は268億円を突破するなど、右肩上がりの成長を遂げている。

「会員は24〜28歳くらいがピークゾーン。10代、しかも若い中高生となると、まだまだ僕らがリーチできていない層でもありました。そこに今回のオーディションのお話をいただき、とても面白いと感じましたし、10代を応援するという企画自体も素晴らしいと感じました」(チューンコアジャパン代表取締役・野田威一郎氏)

 オーディション特典には「プロ環境にて再レコーディングののち配信リリース(日本テレビ/日本テレビ音楽からの配信)」という項目もあるが、栗田氏によると「いい曲であれば後からプロ・クオリティで録音し直すので、まずは粗削りでいいから応募してもらいたい」という気持ちから設けたものだと言う。野田氏も同様に、もっと手軽に自分の作品を配信できることを、この機会に10代に伝えたいという思いもある。

「そもそも10代で音楽を始めたばかりの子たちは、曲は作っていても自信が持てなかったり、最初の一歩が踏み出せなかったりします。TikTokにはポンポンと投稿するけれど、自分の“作品”となると、意外と出しづらいものなのだと思います。そういう若い世代に、手軽に自分の音楽を配信していいんだよと、僕らがもっと背中を押してあげたいと考えています」(野田氏)

 その結果、純粋に作品がよければ、どんなパーソナリティの人でも「どんと来いという気持ち」だと宮崎氏は続けた。

「顔出しNGなら、その人がやりたいような形で応援しますし、挿入歌で使うとは言っていますが、ものすごくカッコいい音楽が届けば、僕らもオープニングに使いたくなるかもしれない。いいなと思った曲を、番組の中で一番活きる形で使いたいと思っています」(宮崎氏)

(左から)日本テレビICT戦略本部主任・栗田慎太郎氏、チューンコアジャパン代表取締役・野田威一郎氏

(左から)日本テレビICT戦略本部主任・栗田慎太郎氏、チューンコアジャパン代表取締役・野田威一郎氏

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■テレビのアドバンテージは視聴者層の幅広さとヒットのスケール感

 ヒットの起点はYouTubeやTikTokなどが主流となりつつあり、その傾向はコロナ禍以降、より顕著なものとなっている。そのような状況で、あえてテレビ番組でオーディションを行う意味や狙いはどこにあるのだろうか。この質問に対して、宮崎氏、栗田氏、野田氏は「視聴者層の幅広さとヒットのスケール感」と一様に声を揃えて言う。

「TikTokは自分の周りで遊んでいる感覚ですが、チューンコアジャパンを使えば配信できて、かつ今回のオーディションであればテレビで使用されるという要素もプラスされます。そうなると、応募する層も広がりますし、ヒットのスケール感も加わると考えています。最初に火が付く媒体はどのメディアでもよくて、それが世代と媒体をどう渡っていくのかによってヒットに結びついていく。そこが今の時代ならではだと思います」(野田氏)

「TikTokで火が付いても、ストリーミングでチャートインするまでにはものすごく深い断層があって、それを超えられる人と越えられない人がいます。じゃあ、どう乗り越えればいいか。その中の1つとして、『テレビにどう扱われたか/どういう出方をしたか』があると思うんです。テレビ番組のオーディションなら、そこを設計できますから、ある意味でとても面白い実験のようにも感じています」(栗田氏)

「ネットとの視聴者層の違いや、テレビのリーチする層の幅広さは大きなポイントだと考えています。僕らは10代を扱う番組ですが、10代だけに向けているわけではありません。親世代にも見てもらって、今の10代が頑張ってることを見せたいし、同時に、時代が変わっても変わらない10代の良さを感じて欲しい。そうした幅広い層の何十万人という視聴者に、『あの曲、いいね』と言ってもらえるものを用意して、その才能が爆発する瞬間を一緒に見てみたいと思っているんです」(宮崎氏)

 今の時代、どの瞬間に何がブレイクするのか、その予測はますます難しくなってきている。そのような中で、ビジネス的に大ヒットを狙うのではなく、純粋に隠れた若い才能を世の中に送り出し応援していこうという同番組のオーディションは、ある意味でアーティスト支援の本質的発想であると同時に、とても今風な試みでもある。多種多様化が進むメディアの中で、長い歴史を持つテレビならではの特性や可能性を活かしつつ、この10年で急成長を遂げたチューンコアジャパンとのタッグによって、どのような若い才能にスポットが当たり、世の中に広がっていくのか。11月の放送で初披露が予定されているオーディション結果が、とても楽しみだ。

文・布施雄一郎
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