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ベリーグッドマン本領発揮 アルバム『すごいかもしれん』の高い熱量

 3人組ボーカルユニット・ベリーグッドマンが9月28日に、フルアルバム『すごいかもしれん』をリリース。今年1月に配信して大きな共感を得たラブソング「花束」や、今夏の応援ソングとして8月に発表した「雑草」、9月3日に大阪・SENNAN LONG PARKで開催された自身最大規模のフリーライブ『超好感祭2022〜史上最強のビーチパーティー編〜』当日に配信された新作「いい気分」など、新曲8曲を含む全11曲が収録されている。10月からは全国を巡るツアーも発表されており、来年の結成10周年イヤーに向けて活動を加速させている。

ベリーグッドマン(左から)HiDEX、Rover、MOCA

ベリーグッドマン(左から)HiDEX、Rover、MOCA

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■アスリートの琴線にふれる応援ソングの数々

 大阪府出身のRover、MOCA、HiDEXの3人によって2013年に結成されたベリーグッドマンは、多くのアスリートが「自分を奮い立たせたいときに聴く」と明言するパワーソング(応援ソング)で知られる。勝利を目指して頑張る人を鼓舞するのが応援ソングの役割だが、彼らの楽曲には敗者の視点で描かれた歌詞も多く、そういった部分がアスリートの琴線にふれるようだ。とりわけ野球界からの支持が厚いのは、メンバーのMOCAが元高校球児であったことも関係しているのかもしれない。メジャーリーガーとして活躍する前田健太選手や鈴木誠也選手が、プロ野球時代に登場曲として使用していたのをはじめ、これまでに20名を超える選手が「ライオン」や「ライトスタンド」「ハイライト」といった楽曲を選曲。19年から3年連続で選手登場曲の人気アーティスト3位になる人気ぶりを見せており、春夏の甲子園球場では吹奏楽部による熱い演奏を耳にする機会も増えている。

 また、ストレートでありながら人間味のある言葉を1つひとつ丁寧に紡いだ歌詞は、学校や部活に励む学生、仕事や家事に日々奮闘するファミリー層へも共感の輪を広げているようだ。本アルバムに収録されている「雑草」は、何度も踏まれながらも空に向かって芽を伸ばす道端の草をモチーフに、“強く生きよう”と力強く歌われており、ミュージックビデオのコメント欄は、「頑張ってる人に寄り添ってくれる」「元気になる」「支えられている」といった喜びの言葉で埋め尽くされている。

 そうやって多くの人々にエールを送り続けてきた彼らだが、今回のアルバムには、自分たちを鼓舞するかのような楽曲も収録されている。それが、アルバムのタイトル曲の「すごいかもしれん」だ。大阪人らしいやんちゃなリリックの中に、さらなる高みに向かおうとする決意表明のような言葉がつづられており、胸をつかれる。

アルバム『すごいかもしれん』【初回限定盤】22年9月28日リリース

アルバム『すごいかもしれん』【初回限定盤】22年9月28日リリース

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■三者三様の個性際立つボーカルが織りなす心地よいハーモニー

 ベリーグッドマンの強みは、Roverのツヤと清涼感あふれる歌声、MOCAのキレのいいラップと低音ボイス、HiDEXのクリスタルな高音といった、三者三様の個性が際立った声質を持ち合わせている点だ。それらが一体となったハーモニーの心地良い響きは、ラブソングでも見事なグルーブを生み出している。

 昨年リリースされた「それ以外の人生なんてありえないや」は、新たなウェディングソングとして若者を中心に浸透。それを記念して、アーティスト史上初となる、オリジナルの婚姻届と交際届をプロデュース。メンバーの手書き署名がデザインされた書面を公式サイトで無料配布するというユニークな試みで注目を集めた。

 今作にも同曲に続くラブソングとして、フィンガークラップやラップを効かせた「いい気分」やピアノバラードの「花束」のほか、「トリトマ」「君がいない帰り道は」といった楽曲が収録されている。誰もが当たり前の日常のかけがえのなさを実感する今、彼らが描く等身大で純情なカップルの姿は愛おしく尊い。

 “現場”を主戦場とする彼らには、アッパーなパーティーチューンも多い。本アルバム収録の、四つ打ちビートの疾走感溢れる「Together」や、遊び心満載のリリックが小気味良い「すごいかもしれん」、EDMとダンスホールレゲエが融合したエレクトロポップ「Amazing」など、今後のライブを盛り上げてくれることが期待できそうだ。

■「Amazing」「Mic」に刻んだベリーグッドマンのひたむきな想い

 アルバムのラストを締めくくるのは、ノスタルジックなトラックに載せてストリートから始まった彼らの足跡と音楽にかけてきたひたむきな想いをトーキングスタイルで歌った「Mic」だ。夢を追うプロセスでのほろ苦い挫折や葛藤が、4分足らずの楽曲にぎっしりと詰め込まれている。ここに描かれている内容がフィクションではないことは、絞り出すようなヒリヒリとした歌唱からもうかがい知ることができる。

アルバム『すごいかもしれん』【通常盤】22年9月28日リリース

アルバム『すごいかもしれん』【通常盤】22年9月28日リリース

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 自分たちについて歌ったいわゆる“自己紹介ソング”ということでは、「Amazing」もその部類に入るが、こちらには、仲間と音楽を奏でる純粋な喜びが、ユーモアたっぷりに記されている。「Mic」とは音像も歌詞も真逆な印象を残すのが興味深いが、どちらも偽らざる彼らの姿であることは間違いない。こうしたパーソナルな楽曲を音源として残したのは、10周年を控えた1つの区切りの思いもあってのことだろうか。

 現在では、「Mic」で歌われている当時とは比べものにならないほどベリーグッドマンの歌を求める人は増えている。特に3年におよぶコロナ禍に「自分たちにできることはないか」を必死に模索し、アクションしてきた彼らの歌に救われた人が多かったことは自主イベント『超好感祭2022』の1万5000人という動員数からも明らかだ。10周年の目標として掲げている「阪神甲子園球場ライブ」も、この勢いのまま実現させてくれることに期待したい。

文・児玉澄子

■Profile
 2013年11月に結成したRover、MOCA、HiDEXからなる3人組ボーカルユニット。16年3月にシングル「ありがとう〜旅立ちの声〜」でメジャーデビュー。代名詞となる“パワーソング”と呼ばれる応援歌は、多くのプロ野球選手のテーマや高校野球のスタンド演奏曲としても知られる。19 年1 月には結成当時から目標に掲げていた大阪城ホールでのワンマン ・ ライブを開催。同年9月に自身初となる野外ワンマン・ライブをユニバーサル・スタジオ・ジャパンにて開催し、2日間で1 万人の動員を記録する。20年にアルバム『TEPPAN』、21年に『必ず何かの天才』、そして22年9月、通算10枚目のオリジナルアルバム『すごいかもしれん』リリース。

■アルバム『すごいかもしれん』2022年9月28日(水)リリース
【初回限定盤】(CD+M-CARD)CRCP-40648/¥4000(税込)
<内容>
ベリーグッドマン LIVE 『Select from 超好感祭2022〜史上最強のビーチパーティー編〜at SENNAN LONG PARK』

【通常盤】(CD)CRCP-40649/¥3000(税込)

<収録曲>(初回限定盤・通常盤 共通)
1.Intro 〜すごいかもしれん〜
2.Together
3.いい気分
4.雑草
5.すごいかもしれん
6.トリトマ
7.君がいない帰り道は
8.流レ星
9.Amazing
10.花束
11.Mic

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