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【インタビュー】進化するSARD UNDERGROUND オリジナル曲が『名探偵コナン』新EDテーマに

 2019年9月にZARDのトリビュートバンドとして、アルバム『ZARD tribute』でデビューを飾ったSARD UNDERGROUND。これまで3枚のトリビュート作をリリースし、ZARDが残した数多くの名曲を現代によみがえらせるとともに、昨年9月には初のオリジナルアルバム『オレンジ色に乾杯』をリリース。ZARDの意思を引き継ぎつつ、バンドとしても成長を続けている。このほどリリースされた最新作「空っぽの心」は、ボーカルの神野が作詞に挑戦した意欲作。自分たちのオリジナル楽曲が、アニメ『名探偵コナン』のエンディングテーマに起用されたことで、3人は感慨もひとしおのようだ。

SARD UNDERGROUND 左から 杉岡泉美(Ba)、神野友亜(Vo)、坂本ひろ美(Key)

SARD UNDERGROUND 左から 杉岡泉美(Ba)、神野友亜(Vo)、坂本ひろ美(Key)

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坂井泉水が大切にしてきた歌への思いと世界観を演奏の根底に

 SARD UNDERGROUNDがアニメ『名探偵コナン』のEDテーマを担当するのは、2年前、坂井泉水の未公開詞に曲をつけた「少しづつ 少しづつ」(20年2月発売)以来、2回目となる。小さい頃から『名探偵コナン』の大ファンだったというキーボードの坂本ひろ美は、自分たちのオリジナル作が起用されたことについて、「想像もしていなかった」と破顔した。「3人で毎回、放送を一緒に見て、確認し合っているんですけど、まだ受け止め切れていない感じです」と神野が未だに信じられない様子の隣で、ベースの杉岡泉美は「幸せ」と目を輝かせる。

「今回の曲もサウンドは新しい感じなんですけど、メロディーは懐かしかったりして、私たちにしかない感じの曲になったかなと思っています」(神野)

 カップリングには、かつて同じく『名探偵コナン』EDテーマに起用されたZARDの「悲しいほど貴方が好き」「明日を夢見て」、そしてバラードの名曲「I still remember」の3パターンのカバー曲を用意。いずれもSARD UNDERGROUND流のアレンジになってはいるが、根底では「坂井泉水さんの歌への思いと世界観を大切にしている」と3人は口を揃える。

「カバーさせていただくときは、いつも、歌詞を届けることを大切にされていた坂井泉水さんの想いを持って、坂井泉水さんのアクセントの位置やタメの具合などをしっかり吸収して歌うようにしています」(神野)

「私も坂井さんと同じように大切に届けるという気持ちを持って、新しいアレンジになっていても、ZARDさんのアレンジも意識しながら演奏しています」(杉岡)

 それはオリジナルでも同じ。神野は歌う際にはいつも、坂井泉水ならどう歌うか、アクセントの位置などを考えて歌っているという。

SARD UNDERGROUND 神野友亜(Vo)

SARD UNDERGROUND 神野友亜(Vo)

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■性格は三者三様 尊敬し合い、高め合える関係が私たちのカラー

 ZARDの意思を引き継ぐ存在として活躍するために、デビューから2年半、コロナ禍も「自主トレに励んできた」と精進してきた3人だが、「その経験によって成長できた」とアーティストとしての確かな手応えを感じているようだ。

「この2年半、ZARDさんの曲に成長させてもらいました。以前までは、声量もないし、技術が全然足りていなかったんですけど、坂井さんの歌声を意識しながら練習を積んで歌っているうちに、喉の鍛えられる部分が変わって、自分の歌い方も変わってきたなって思うんです。今回自分が作詞をしてみて気づいたことですが、坂井さんの詞は、そっと背中を押すような、元気をもらえるような言葉が多いんですが、その表現力や独特の言葉選びがすごいなって、本当に勉強になっています」(神野)

「私は坂井さんの見た目もすごく好きなんです。誰にも勝てないなって思うほど透明感があって。その部分もとても勉強になっています」(杉岡)

 もう1つ、3人の成長を後押ししているものがある。それは「ZARDファンの存在」だ。

「坂井さんが亡くなってからなかなかZARDの音楽が聴けなかったけれど、私たちがカバーした楽曲をリリースしたことがきっかけで、前向きな気持ちで聴けるようになったと言っていただけたときは本当に嬉しかったですね。自分たちがやっている意味があったんだなって感じたし、もっと頑張ろうって思えました」(神野)

「『泣きました』って言ってくださる方もいて感動しました」(坂本)

「『これからも歌ってください』って、声をかけてくださった方もいました」(杉岡)

 では、3人はZARDとは違う“自分たちらしさ”についてはどのように考えているのだろう。

「それぞれ性格が違う3人が混ざることで私たちだけの色が出せるし、そうなれたらいいなって思っています」(坂本)

SARD UNDERGROUND 坂本ひろ美(Key)

SARD UNDERGROUND 坂本ひろ美(Key)

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 ちなみにそれぞれの性格を聞いてみると、神野は「しっかりもののムードメーカー」、坂本は「気遣いができて、話を聞いてくれる、優しいオーラをまとった頼りがいがあるおねえさん」、杉岡は「天然で、笑いのツボが人とは違っておかしいときがあるカワイイキャラ」だそう。

「このメンバーでなければ続けてこられなかったんじゃないかなって思うこともありました。例えば、歌詞を書くのに悩んでいるとき、坂本さんが横にいてくれると、心が寄り添ってくれているというか、それだけで心強くなれたし、杉岡さんがいてくれると、ポジティブ思考だから場が和んで、自分の悩みがちっぽけに思えてくる。女3人というと、喧嘩になるとか、あるいはベタベタに仲がいいとか、そういうグループも多いと思うんですけど、私たちは、程よい距離感で思いやって、尊敬し合っている。そういう根の部分が似ているのが良いなって思います」(神野)

 “さん”づけで呼び合うのもその表れなのかと問うと、「はい」と即答した神野以外はけげんそうな顔。

「あれ? でも私だけ、友亜ちゃんって呼ばれてる!(全員、爆笑)。でも、尊敬するという意味でも“さん”づけを大切にしているし、敬語で喋っています」(神野)

 そう言って慌てる神野をフォローするように、2人も言葉を続ける。

「みんなで高め合える存在でいたいなって思っています」(坂本)

「全員がZARDさんの音楽を勉強して育ってきて、ZARDさんが好きっていうのは同じ。原点が同じなので、性格は三者三様だけど、演奏のときは一体になるのも私たちの強みだと思います」(杉岡)

■夢は武道館。自分たちが頑張ることで、若い世代にもZARDの歌を届けたい

 2年前の「少しづつ 少しづつ」のリリースの際には、47都道府県制覇を目指して各地でのリリースイベントに臨んだが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で中断を余儀なくされた。その時の心残りだった思いを埋めるかのように、現在3人は、「空っぽの心」のリリース記念イベントを各地で精力的に行っている。

「活動を始めた頃は、『なぜZARDの歌を歌ってるんだろう』とか『どういう子たちなんだろう』って表情をされているなって感じることがあったんですけど、最近は、私たちの意思をちゃんと受け止めてくれて、温かく見守ってくれていることを肌で感じています。すごく応援してもらってるんだなって実感できて嬉しいです」(神野)

「久しぶりのお客さんとの対面イベントなのですが、ファンの方との一体感がより強くなった気がしています」(杉岡)

SARD UNDERGROUND 杉岡泉美(Ba)

SARD UNDERGROUND 杉岡泉美(Ba)

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 そういったファンの反応を久々に目にすることで、ZARDの曲をリアルタイムで知らない層に向けても届けていきたいという思いを強くしているという。

「今は、ZARDさんの曲をもともと知っている方々が応援してくださっていることが多いので、私たち世代とか、もっと小さい子たちにもZARDさんの曲を届けられるように、そのためには、もっと技術を磨いて、応援してくださる方が増えるように頑張らなければって思います」(神野)

「まずはいろいろなところでライブを行いたいですね。そしていずれは、全国各地からみんなが集まってくれるようなバンドになりたいですよね」(杉岡)

「夢は武道館なんです」(神野)

 さらに、その目はオリジナルの音楽作りにも向けられている。

「技術を磨くのはもちろんですけど、いつか曲も作れたらと思ってます」(坂本)

「私もカッコいい曲を歌っている友亜ちゃんの声をもっと聴きたいので、カッコいい曲や明るいアップテンポな曲が作れたらいいなと思っています」(杉岡)

「じゃあ、(坂本)ひろ美さんはバラード、杉岡さんはカッコイイ曲で! 私も2人の曲で詞を書きたいです!」(神野)

 最新作「空っぽの心」には、SARD UNDERGROUNDが無我夢中で走ってきた2年半の成長が刻まれている。これまでのさまざまな経験を着実に自分たちのものにし、ステップアップしてきた3人は、明るくフレッシュな魅力はそのままに、たくましさも身に着けたようだ。これからの活躍がますます楽しみになってきた。

文・河上いつ子


■SARD UNDERGROUND Profile
 神野友亜(Vo)、杉岡泉美(Ba)、坂本ひろ美(Key)からなる女性3人組バンド。Being Groupのレコード会社の1つ“GIZA studio”でデビューを目指してレッスンを受けていたメンバーが、ZARD の作品に共鳴。カバーを続けるうちに、“ZARD の作品を後世に伝えていく存在”と、ZARD のプロデューサーであり、Being Group の創設者である長戸大幸氏に認められて活動をスタート。グループ名は“ZARD”の“Z”を反転させ、“SARD UNDERGROUND” (サードアンダーグラウンド) と名付けられた。2019 年9 月18 日にZARD の数々の名曲が詰め込まれたトリビュートカバーアルバム『ZARD tribute』でデビュー。現在に至るまで、数々のZARD のカバー曲とともに、坂井泉水の未公開詞によるオリジナル曲を発表し、令和の時代に“ZARD 永遠のスタンダード・ナンバー”をつないでいる。21 年9 月1 日には初のオリジナルアルバム『オレンジ色に乾杯』をリリース。今回、5月18日リリースする最新作「空っぽの心」は、ボーカルの神野が作詞に挑戦したオリジナル作で、アニメ『名探偵コナン』のエンディングテーマに起用されている。

■4thシングル「空っぽの心」 2022年5月18日(水)リリース
アニメ『名探偵コナン』エンディングテーマ「空っぽの心」
読売テレビ・日本テレビ系全国ネット土曜よる6:00放送

【初回限定盤(CD+DVD)】GZCA-7184/1980円(税込)
1. 空っぽの心
2. I still remember
3. 空っぽの心(off vocal)
4. I still remember(off vocal)
特典DVD:「運命のルーレット廻して」Music Video +メイキング映像

【名探偵コナン盤(CD)】GZCA-7185/1100円(税込)※描き下ろしアニメ絵柄ジャケット
1. 空っぽの心
2. 悲しいほど貴方が好き
3. 空っぽの心(TV size)
封入特典:名探偵コナンましかくフォトカード(全3種・ランダム封入/サイズ 89mm×89mm)
※絵柄は名探偵コナン「空っぽの心」エンディング映像から厳選(予定)

【通常盤(CD)】GZCA-7186/1100円(税込)
1. 空っぽの心
2. 明日を夢見て
3. 空っぽの心(off vocal)
4. 明日を夢見て(off vocal)

関連写真

  • SARD UNDERGROUND 左から 杉岡泉美(Ba)、神野友亜(Vo)、坂本ひろ美(Key)
  • SARD UNDERGROUND 神野友亜(Vo)
  • SARD UNDERGROUND 坂本ひろ美(Key)
  • SARD UNDERGROUND 杉岡泉美(Ba)
  • アニメ『名探偵コナン』EDテーマ「空っぽの心」【初回限定盤(CD+DVD)】
  • アニメ『名探偵コナン』EDテーマ「空っぽの心」【名探偵コナン盤(CD)】
  • アニメ『名探偵コナン』EDテーマ「空っぽの心」【【通常盤(CD)】

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