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歌って医療現場を支援 メッセージソング「感謝の手紙」に込めたカラオケ業界の願い

 長期化するコロナ禍において、最前線で奮闘する医療従事者に対して尊敬の念と感謝を伝えたい――誰もが感じている思いではあるが、いざ行動に移すとなると二の足を踏んでしまう人も多いだろう。そんな心理的ハードルを下げ、誰もが気軽に参加できるチャリティプロジェクトを、一般社団法人全国カラオケ事業者協会(以下、全国カラオケ事業者協会)が展開中だ。医療従事者に向けて制作した応援ソングを歌ったり、YouTubeのミュージックビデオ(MV)を再生したりするだけで、医療現場を支援できるというもの。この草の根的運動が、静かな広がりを見せている。

歌って観て医療現場を支援する「カラオケ文化の日」基金

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■医療従事者への感謝の想いをつづった手紙から生まれた歌「感謝の手紙」

 10月17日に配信が開始されたシンガーソングライター・ハナフサマユが歌う「感謝の手紙」。幼い我が子が寂しい気持ちをぐっとこらえ、医療従事者である母親を気遣い応援する。その気持ちに応えたいと奮闘する医療従事者の心の内をつづったメッセージソングである。同日にはYouTubeにMVが公開され、通信カラオケDAMシリーズ等の全業務用カラオケでも配信が始まった。

 この「感謝の手紙」は、愛知県に住む水野綾子さんの手紙がモチーフになった楽曲だ。全国カラオケ事業者協会では、今年の4月より3ヶ月にわたって、医療従事者に宛てた感謝と応援の気持ちが込められた手紙を募集。応募作に対して同協会の選考委員が投票し、もっとも得点の多かった同作が最優秀作品に選ばれた。働いている当事者の目線で描かれた内容が共感を集めたことが決め手となったという。今回のプロジェクトに参加したハナフサマユも、「読んでいて自然と涙が出てしまった。手紙に込められた想いを大事にして、シンプルな言葉で感謝の気持ちを伝えたいと考えた」と語っている。

医療従事者への感謝の想いから生まれた「感謝の手紙」

医療従事者への感謝の想いから生まれた「感謝の手紙」

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 全国カラオケ事業者協会では、「カラオケは我が国が生んだ最大の娯楽文化」という認識から、例年「カラオケ文化の日」(10月17日)を起点として、カラオケを通じた文化活動の支援や文化交流を行う事業を実施している。今回のチャリティプロジェクトも、その一環として行われているもので、11月30日までの間、同曲がカラオケで歌われた回数やMVの再生回数に10円を乗じた金額が、「カラオケ文化の日」基金として、医療従事者に贈られる(寄贈先:特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン)。

 今年の事業テーマを“歌って医療現場を支援”とした経緯と理由について、一般社団法人全国カラオケ事業者協会 専務理事・片岡史朗氏は次のように語る。

「行動制限が行われた諸外国で、住民が次々に窓辺に立って歌を歌い、楽器を弾いて、音楽で医療従事者への感謝の思いを伝え、お互いの士気を上げる、といった光景をニュース等でずい分目にしました。我々もこれまで、「カラオケ文化の日」事業等を通して、人々が歌によって励まされる姿をたくさん見てきましたので、歌という形で、第一線に立って戦う人たちに向けて何かできないか、と思ったのがきっかけでした」(片岡史朗氏/以下同)

■“歌う場づくり”を提供し人々の心に寄り添ってきたカラオケ業界の活動の数々

 東日本大震災被災地支援として、巡回心療医療にカラオケカーを帯同させて被災者の心のケアを行うなど、コミュニケーションの場、ストレス発散の場としての“歌う場づくり”を提供し、人々の心に寄り添ってきたカラオケ業界の活動の数々。しかし、コロナ禍でカラオケの安全性が問われ、結果として人々が歌う場を奪われてしまったことは、痛恨の極みであった。

 そこで、同協会では、感染拡大を防ぐためのガイドラインを策定するとともに、「カラオケボックスの安全性」や「健康に役立つカラオケ」について科学的な根拠を示したチラシを作成し、マスクを着用して歌う行為自体は安全、という啓蒙活動を率先して行っている。今回の「カラオケ文化の日」事業テーマには、そういった正しい知識が普及し、人々が再び歌う場(カラオケボックス)に戻り、歌うことで自身の健康を保ちながら、チャリティに参加してほしいという願いも込められている。

一般社団法人全国カラオケ事業者協会 専務理事・片岡史朗氏

一般社団法人全国カラオケ事業者協会 専務理事・片岡史朗氏

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「当協会には、カラオケボックスで歌いたいが行っても大丈夫だろうか、といったお問い合わせなどもよくいただきます。カラオケには健康に役立つという効果もあります。マスクを着用するなどルールを守ってもらえれば、歌う行為自体は安全なんです」

 とはいえ、歌う行為の安全性を説いても躊躇してしまう人もいる。また、現時点では新型コロナウイルス感染症の感染拡大は落ち着いているが、再び拡大する可能性もあることから、「いろいろな形で支援できる方法を」ということで、MV再生でも参加できるようにしたという。

■医療従事者への感謝の念を風化させたくないという強い想い

 「感謝の手紙」は、ハナフサが様々なイベントやメディアに出演して、深みのあるシルキーな声で歌うことにより、リスナーの静かな感動を誘っている。YouTubeに公開されているMVには、医療現場で日々奮闘する医療従事者のリアルな写真が使用されていることもあり、コメント欄を見ると、「胸が熱くなった」「多くの人にこの歌を伝えたい」といった声が散見される。bayfmで同曲のパワープレイが決まったのも、そういった反響の表れと言えるだろう。

「これからも医療従事者への感謝と尊敬の念を持ち続けていきたいですし、その気持ちを風化させたくありません。この歌が多くの人に歌われて広まっていけば、その思いは残っていきます。今回、ハナフサさんに素晴らしい歌を作っていただいたので、我々もより多くの人に聴いてもらえるよう、いっそう努力していきたい」

 「感謝の手紙」を観て、聴いて、歌う。そんなシンプルな行為が、コロナ禍を支える医療の現場へ感謝の気持ちとともに“形”となって届けられるというこの取り組み。まずは、MVを観ることから始めてみてはいかがだろうか。


■ハナフサマユ Profile:
 2017 年2 月より本格的にライブ活動をスタート。年間300ステージ以上をこなし、19年11月、大阪・アメリカ村BIGCAT 単独公演を大成功に納め、翌20年9月月ミニアルバム『call for love』でメジャーデビュー。21年夏にイメージを一新。新たに「ハナフサマユ(花房真優)」としてスタートを切る。現在FM 滋賀(e-redio)「花房真優のキャッチ」(第2木曜16:30〜)、渋谷クロスFM「SSW SONG BOX」(第4木曜20:00〜)のパーソナリティーを務め、J-COM高槻・島本チャンネルへ月1回ゲスト出演するなど多方面で活躍中。

2021年度「カラオケ文化の日」事業
医療従事者応援ソングを歌って医療の現場を応援しよう!
期間:2021年10月17日〜11月30日

■イベント特設ページ:
https://www.karaoke.or.jp/ouensong2021/

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