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「歌でみんなの感情を開放したい」 声優アーティストとして再スタートを切った愛美の決意

 2010年の声優デビュー以来、数多くのキャラクターソングを担当するなど歌手としても定評を得てきた愛美。15年にはメディアミックスプロジェクト「BanG Dream!(バンドリ!)」発のリアルバンドとして結成されたPoppin’Partyのフロントメンバー・戸山香澄役として大ブレイク。得意とするギターを携え、日本武道館をはじめ数多くのライブステージに立ってきた。そんな彼女が、水樹奈々宮野真守蒼井翔太らが所属するKING AMUSEMENT CREATIVEに所属し、アーティスト活動をスタート。4月7日、全曲作詞を手がけた第1弾シングル「ReSTARTING!!」をリリースした。デビュー以来、温め続けてきた音楽への思いやアーティスト活動へのこだわり、今後の夢を聞いた。

声優アーティストとして再スタートの決意を語った愛美

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■自分の壁が超えられずいつの間にか歌うことに憶病になっていた日々

 KISSのコピーバンドを結成しているロックンロール好きなお父さん、R&Bバンドのバックコーラスを務めているお母さんというゴリゴリの音楽好き一家で育ち、小学生の頃から「相川七瀬さんみたいなロックな歌が歌えるシンガーになりたい」と思っていたという愛美。アニメ業界に入ったのは、テレビアニメ『マクロスF』を観てそのパワーに圧倒され、「アニソンが歌いたい!」と思ったことがきっかけだった。

 その願いどおり、声優デビューの翌年に歌手デビュー。アニメタイアップやキャラクターソングを次々に担当していった。表向きはいたって順風満帆、トントン拍子に歩んできたように見えるのだが、今回、声優アーティストとしての再スタートを切るまでには、歌に対して、心のうちに挫折や迷いを抱えていたようだ。

「経験を重ねていくうちに、現実や自分自身を客観的に見ることができるようになって。自分の実力がどれくらい無いものなのかとか、できないことの多さに苦しくなった時もありました。歌は好きだけど、悩みはどんどん増えていきました。歌を歌うことに対してかなり臆病になっていたと思います」

 そんな彼女の気持ちを変えたのはファンの力だった。

「これまでは、周りからよく見られたいという気持ちから、本来の自分以上のものを見せようとしていたのだと思います。でも、ここ数年、愛美の弱い部分や短所をさらけ出しても、“素敵だね”とか“親近感が湧きます”と言っていただけることも多くて、さらには愛美の歌を聴きたいと言ってくれる声があることを実感する機会も増えたんです。ありのままの自分を、歌を、受け入れてくれる場所があるなら、もう一度で歌ってみたらどうだろうと思うようになったんです」

■愛美だからこそ書ける歌詞を!「ReSTARTING!!」に込めた思い

 本作で作詞を手がけたのも、そんな自分の気持ちをストレートに表現したいという思いからだった。

「声優は言葉と向き合う機会がすごく多い。気持ちを表す言葉ひとつとっても日本語にはたくさん表現方法があって、その言葉を音に乗せる作詞って面白いなってずっと思っていたので、作詞をしてみたいと提案しました。『ReSTARTING!!』には、愛美自身の音楽活動に対するありのままの気持ちを表現するとともに、これから何かを始めたい人や、諦めた夢にもう一度挑戦したいと思う人、何か理由があって始められない人に向けた応援ソングになれば、という思いを込めました。私もすぐ諦めたり、ハナから無理だよって思ったりすることはあるけれど、こうやってたくさんの人に支えられて前を向くことができています。そんな私が誰かの支えになれたら、そして、弱い人間同士、手を取り合って、支え合って生きていけたらと思っています」

 新たな一歩を踏み出した今、愛美の笑顔には、ネガティブだった自分のことをむしろ武器にして輝く心の強さと大きさが感じられる。

「あの時こうすれば良かったと後悔したり、過去に戻ってやり直したいなって思ったりすることはたくさんあります。でも、そういう経験がなければ今回の詞は生まれなかったと思えるようにもなりました。悩んでいた時は辛くて苦しくて、逃げ出したい気持ちが強いからわからなかったけれど、乗り越えた先では『辛いことも無駄じゃない、意味がある』、そう思えるのだと知りました」

 さまざまな葛藤を経て、今は自分の成長も感じているという愛美だからこそ、届けたい音楽へのこだわりがある。
 
「今回のミュージックビデオを公開して、『元気が出てすごく明るい曲調なのに、なんか泣ける』というコメントをもらって、本当に嬉しかった。そんなふうに、光も闇も全部、音に変えて、ポジティブな感情も泣いちゃうような感情も同時に引き出すことができる歌を作って、みんなの感情の開放につなげることができたらと思います。ただ前を向いて頑張ろうっていうポジティブなパワーを送るのではなくて、誰もが持っている悩みや弱い感情を否定せずに、同じように悩んでいる人の気持ちを少しでも軽くしてあげられるような、愛美だからこそ書ける歌詞に力を入れていきたいですね」

 さらに、アーティストとして、大きな夢として掲げているのは、日産スタジアムでのライブだ。

BUMP OF CHICKENさんが大好きで、日産スタジアムでのライブを観に行った時の感動が忘れられないんです。あんな楽しいライブを作りたいし、私もあの景色をステージ上から見てみたいって思っているんです。あとは武道館にも立ちたいです。今までキャラクターのライブでは何度か立っていますが、武道館は1万人入るのにお客さんとの距離がめちゃくちゃ近いんです。そんなロックの聖地に、愛美としてギターを携えて立ちたいです!」

 高校時代のバンド活動から趣味としてきたギターを生かすべく「アコースティックでもエレキでも、ギターが入ったサウンドを大事にしていきたい」と目を輝かせる愛美。「今、未来のために生きているなって感じていて、すごくワクワクしています!」という言葉が何とも印象的だ。ReSTARTINGの先、感情を開放した彼女は、これから私たちにどんな景色を見せてくれるのだろうか。楽しみで仕方ない。

文/河上いつ子

「ReSTARTING!!」
KICM2083/1,430円
[CD]
1.ReSTARTING
作詞:愛美/作曲・編曲:山ア佳祐
2. MAYDAY
作詞:愛美/作曲:佐藤 樹、Kon K/編曲: Kon K
3. ラブレター
作詞:愛美/作曲・編曲:秋浦智裕
4.ReSTARTING !! (Instrumental)
5. MAYDAY(Instrumental)
6. ラブレター (Instrumental)
■4月11日(日) 20時〜「ReSTARTING!!」発売記念生配信 開催。配信内で各チェーン別 CD 購入者対象の大抽選会 実施決定

愛美Profile
兵庫県神戸市出身。所属事務所は響。所属レーベルはキングレコード。2010年に『探偵オペラ ミルキィホームズ』で声優デビュー。11年に『アスタロッテのおもちゃ!』オープニングテーマ「天使のCLOVER」で歌手デビュー。13年までにシングル 5 枚、アルバム 1 枚をリリース。その後、声優として『消滅都市』キキョウ役、『戦姫絶唱シンフォギアXV』ミラアルク役 、『アイドルマスター ミリオンライブ! シリーズ』ジュリア役など、数多くの作品に出演。15年、ゲーム、アニメ、コミックスをベースにした メディアミックスプロジェクト「BanG Dream!(バンドリ) 」発のリアルバンドとして結成された Poppin’Party のフロントメンバー ・戸山香澄役 (Gt./Vo.)として大ブレイク。得意とするギターを携えて数多くのライブステージに立ち Poppin'Party はガールズバンド史上最速の日本武道館公演を行った。その他、現在はアニメやゲームを中心に多数のキャラクターを演じている。

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  • 声優アーティストとして再スタートの決意を語った愛美
  • 愛美「ReSTARTING!!」(初回限定盤)
  • 愛美「ReSTARTING!!」(通常盤)

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