JASRAC、著作権管理におけるブロックチェーン技術の導入を示唆

 今年、創立80周年を迎える日本音楽著作権協会(JASRAC)は2月4日、「2019年新年記者懇談会」を開催。2018年の徴収・分配見込額を含む、2018年度の事業報告のほか、テクノロジーを活用した将来構想についても語られ、近年、耳目を集めているブロックチェーン技術の導入について検証が重ねられていることが明かされた。

◆グーグル社との間で、YouTubeに関する第4次契約の合意に至ったことも報告

 冒頭あいさつに登壇した浅石道夫理事長は昨年12月30日に発効されたTPP11協定について触れ、「2006年9月にJASRAC、日本文藝家協会を含む、16の創作者団体が集まり、『著作権問題を考える創作者団体協議会』を設立してから、12年の歳月を要しましたが、創作者の思いが実りました」と感謝の思いを述べたほか、CISAC総会の東京での開催や音楽教室との訴訟、3年間の予定で進めている「分配明細書の精緻化」などについても進捗を報告。“今年度の目玉”としては、グーグル社との間で、YouTubeに関する第4次契約の合意に至ったことも明かされた。個社間での契約となるため、詳細までは語られなかったものの、対グーグルとの著作権に関する契約という点では日本独自の契約交渉が進められていることが示された。

 さらに、徴収分配実績についても見込額を公表。これによると、18年の徴収見込みは1138億円。これは07年度以来、史上2番目の実績となる。また、分配見込みは1126億円で、こちらも1155億円となった08年度以来、史上2番目の実績となる。

 また、徴収・分配額の伸長要因としては、インタラクティブ配信を挙げ、「サブスクリプションサービスが好調に推移しており、前年度の徴収実績140億円に対し、今期の推定額は180億円を見込んでいます」(浅石氏)との説明がなされた。

◆浅石理事長「音楽著作権管理に活用できることが判明した」

「将来構想」については、まだ“さわり”としながらも、「ニューテクノロジーの導入」を発表。具体的にはRPA(Robotic Process Automation ※ロボットによる業務自動化)やAI、さらにはブロックチェーンテクノロジーを挙げ、導入が進むロボット技術に加え、今後はブロックチェーンも活用していくことが語られた。

 浅石氏は、「ブロックチェーンについては昨年11月に、第1期検証を終了した」と、プロジェクトの進捗を明かし、その成果として、「できること、できないこと、言い換えれば“ブロックチェーンの限界”を確認することができた」とコメント。「音楽著作権管理に活用することができるものと判明したので、来年度は導入に向けてより具体的な検証を行っていく」との展望が示された。

 さらに、「ブロックチェーンという技術が語られるとき、“JASRACのような著作権の集中管理団体は不要になる”といった発言や同様の内容が書かれた本が出版されています。その一方で、“テクノロジーで契約交渉ができるわけがない”といった否定的な意見もあります。そのどちらもが机上を出ておらす、具体的な検証がないまま結論を出している。私は双方の意見に対して危惧を抱いています」(浅石氏)とも語り、音楽著作権管理を踏まえた“具体的な検証”をもって活用可能と判断したうえで、今後、導入していくことを強調した。

 ブロックチェーンについては、本誌でも継続してエンタテインメント分野での活用の可能性を探ってきた。今回、JASRACが示した活用・導入の方向性については、できる限り検証過程も含めて、その実効性をレポートしていきたい。

関連写真

  • 日本音楽著作権協会 理事長の浅石道夫氏 (C)oricon ME inc.
  • JASRACの2018年度使用料徴収・分配見込み<年度別・使用料徴収額推移>
  • JASRACの2018年度使用料徴収・分配見込み<年度別・使用料分配額推移>

提供元:CONFIDENCE

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