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BOYS AND MEN、ついにナゴヤドーム公演 名古屋発で全国区になった2つの秘密

 東海エリアを拠点に活動する10人編成のエンターテインメント集団、“ボイメン”こと、BOYS AND MENが「ナゴヤドーム」でのライブ『ボイメン名古屋 夢まつり』を1月14日に開催する。

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 ボイメンは昨年12月19日、結成から現在までのおよそ9年間の人気曲を網羅したベストアルバム『ボイメン・ザ・ベスト』を発売。オリコン週間アルバムランキング初登場週に7.3万枚を売り上げた同アルバムは、「ボイメンの集大成といっても過言ではありません。さらに強力な新曲が2曲も加わり、これ1枚聴いていただけたら僕らのすべてがわかります。これでナゴヤドームはバッチリ楽しめます」(本田剛文)というだけあって、ボイメンらしくバラエティー豊富な内容。12/31付同ランキングでは、TWICEを抑え、星野源のベストアルバムに続いて、2位で初登場の快挙である。

 CD不況と言われて久しい音楽業界からは、「男性グループとしては驚異的です。収録されているシングルは、平均すると10万枚以上を売り上げているし、うち3年前の本格メジャーデビューシングルにおいては、累計売上が20万枚を超えるほどのヒット曲となっています。初登場で上位を獲得しても翌週にはランクオフというパターンではなく、週間ランキングTOP200の登場週数を見ても2ヶ月近くになった。勘違いされがちですが、握手会やチェキ会といったミーグリ(ミート&グリート)で枚数を確保するだけのグループではないんです」(音楽ライター)という声が上がっている。

 リーダーの水野勝は、「僕らは町おこしお兄さんですから」と言うが、地方で結成された男性グループが、ここまでの人気を博すことは稀有なこと。もちろん最初から10万枚アーティストだったわけではない。結成時、“ボイメン”として活動をスタートさせ、路上や小箱でのライブや握手会に訪れるファンは数人が平均だった。

 「最初は3人という日もありましたよ。その3人に向かってそれ以上のメンバーが歌うという光景もありました」と水野は笑う。ここまで大きく成長した背景にはたくさんの要素があるものの、大きく分けると2つのファクターが見受けられる。ひとつは、ボイメンを立ち上げたフォーチュンエンターテイメントの代表である谷口誠治氏の信念と情熱。そして、もうひとつは10 人メンバーそれぞれが放つ異なる個性である。ナゴヤドームライブ直前の今、ボイメン人気の秘密を探っていきたい。

■スタートは、「男版宝塚を作ろう!」 『NAGOYA DREAM PROJECT』を立ち上げる

 ボイメンの事務所代表であり、プロデュースを行っている谷口氏は、もともとは自らが演者だった。かつての日本に“ローラースケート旋風”を巻き起こした名ミュージカル『スターライト・エクスプレス』に出演、演出するなど、実は日本の芸能史にとっては欠かせない実績を持つ。

 引退後、東京で芸能プロダクションを立ち上げ、今なお第一線で活躍中の俳優を発掘・育成。ひょんなことから訪れた名古屋が芸能プロダクション不毛の地だと知り、「“よし、男版宝塚を作ろう! それも、第3の都市と言われながら、独自の芸能文化が少なく、誰も手を付けていない名古屋ならなおさらチャンス。そうすれば、日本の真ん中だし全国からファンが集まってくるかもしれない。エンタメが不毛な地だからこそ、東京や大阪にはない新しいものができる”と考えたんです」と谷口氏は語る。

 そこで立ち上がったのが、ローカルなオーディション番組を基盤とした『NAGOYA DREAM PROJECT』。そこに集結した約100名の男の子から選抜し、一か八かのミュージカルを遂行。周囲からは名古屋で芸能を成功させるのは厳しいと反対されながらも、観客が数人しか入らなかった最初の舞台で、谷口氏は考えた。まず、観客に拍手のタイミングなどミュージカルの楽しみ方から教えよう、又もう一度観たいと思えるよう、舞台終了後のメンバーとファンとの交流も大切にしよう、と。

 社長自らが采配を振るって、2つ目の舞台『ホワイト☆タイツ』が決定。ヤンキーがクラシックバレエに挑戦するというストーリー。そこで誕生したのが、現在のボイメンのトレードマークでもある学ランだ。懐かしくも新しい長ランや短ランスタイルが世代や性別問わず受け、他の男性グループにはないボイメンのオリジナルスタイルとなっている。

■『日本ガイシホール』で弾み オリコン上位をキープ

 試行錯誤するなかで、初めての冠レギュラー番組『ボイメン☆騎士』(中京テレビ)が決まったことも特筆すべき出来事だった。その番組の“ゴール”として設けられたのが『日本ガイシホール』での1万人ライブだった。

 「ボイメンとしてじわじわと名古屋でファンを増やし、ライブやミュージカルでの集客もできるようにはなっていました。とはいえ、1万人を集めるのは厳しいのではないかとも。そこで、チケット代を3900円にして、ファンじゃない人にもとにかく来てもらいやすくして、多くの人にボイメンのおもしろさを見てもらいたいと、谷口社長が言い出し、その信念は決して曲げませんでした」と、東海エリアのテレビ関係者は語る。大きく舵を切った瞬間だ。それが、メンバーにとっての大きなステップアップとなり、名古屋ではボイメンを認知する人が一気に増えていくことになる。“テレビをつけたらボイメンの誰かしらが出ている”というほど、東海ではレギュラー番組が増えた。

この流れの極めつけが2016年のシングル「BOYMEN NINJA」のリリースだ。「今度は社長が、10万枚売る! と宣言して、初めて全国のショッピングモールやオープンスペースなどでイベントを行い、そして実際にも10万枚越えを初登場週で達成して、オリコン週間シングルランキング1位に。ガイシホールが起点ではあったけれど、あそこから一気に加速していったんです」(前出テレビ関係者)。

■メジャーデビューから『日本武道館』へ 映画やドラマなどソロ活動も

 メジャーデビューの華々しさは、ここ数年の男性グループの中ではトップクラスであろう。2016年夏、シングル「YAMATO☆Dancing」は、オリコン週間シングルランキング初登場2位21.1万枚の売り上げを記録し、日本レコード協会からも「プラチナディスク」に認定されている。ここまで来れば勢いはもう止まらない。2017年には日本武道館公演も成功をおさめ、ますますグループとして話題となり、個人での活動の幅がここで一気に広がっている。水野や田中、小林はドラマや映画、辻本も全国区のバラエティーにひっぱりだこ。勇翔が出演した映画『棘の中にある奇跡〜笠間の栗の木下家〜』はハリウッドドリームズ国際映画祭でも5部門でノミネートされ、田中においては、日韓合作の映画『デッドエンドの思い出』(2月公開)でダブル主演を果たし、2018年の釜山映画祭でレッドカーペットを歩いている。

 現在、本田はNHKのドラマ10『トクサツガガガ』(総合)でスーツ姿の会社員を熱演中。TBSテレビと東南アジア3か国の共同制作番組『Find the WASABI in NAGOYA!』ではメンバーみんながホスト役となって、名古屋を中心とした日本の魅力をフィリピン、シンガポール、タイへと発信している。

 名古屋在住のファンのひとりは、「曲はすべて懐かしいのに新しい感じがして、すごく聴きやすいし、パフォーマンスも楽しい。全員お笑いができるかと思えば、すごくシリアスな役どころを演じて、胸キュンな表情もする。最近は、それぞれの活動が増えていて、10人そろうことが少なくなったけれど、集まった時はすごく仲よくて、その仲良し感もホクホクしていいんです。“ホームに帰ってきたぞー!”と言って地元をすごく大切にしてくれています。いまだにメンバーの田村さんなんて、街でボイメンのチラシを配っていて(笑)。ドームなんて大きな箱でライブができるようになって、すごく遠い存在になっちゃって寂しいけど、会うと相変わらず気さくに笑ってくれる。彼らは名古屋の宝物です」。

 今や全国、そして海外にも活動の幅を広げるまでに成長したボイメン。地元を大切にし、名古屋だからできることを突き詰め、夢を持ってチャレンジしたからこその成果である。ナゴヤドームライブは「僕らの集大成で、これまでの感謝を表すステージにしたい。名古屋らしい演出を入れ、笑いあり涙あり、見どころ満載なのでお楽しみにしてください」、そう平松は呼びかけている。

 一気にブレークしたわけではないが、じわりじわりと人気が広がり、今や破竹の勢い。事務所社長の信念と情熱、そしてメンバー同士が個性を尊重しながら、それぞれが地道に努力してきた“必然”といえよう。地盤を堅めながら、着実に進化していくボイメンのこれからが楽しみである。

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