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星野源やマツコもリスペクト、“ユーミン”のサビない存在感

 デビュー45周年を迎えた松任谷由実が、再び大きな注目を集めている。まずは記念ベストアルバム『ユーミンからの、恋のうた。』が4/23付オリコン週間アルバムランキングで初登場1位を獲得。アルバム首位獲得数は、女性アーティスト、ソロアーティスト歴代最多の24作に。さらに最近では『マツコの知らない世界SP』(TBS系)や『にしやがれ2時間SP』(日本テレビ系)、『あさイチ』(NHK総合)、『バズリズム02』(日本テレビ系)等に出演。「ギャラ無いときにオーラは出さない」「中学のとき、夜に家を抜け出して六本木に遊びに行っていた」「(マツコに対し)最近、定石ができちゃってる」と、破天荒かつぶっちゃけたトークを繰り出し、若年層からも大きな反響を呼んだ。星野源らアーティストからもリスペクトされ、親子二世代で応援しているファンも多いユーミン。これほどまでに長い間、幅広く支持される理由とは何だろうか?

◆親子二世代のリスナー増加、『魔女の宅急便』や『風立ちぬ』で知る若者も

 長きにわたり活躍を続けているユーミンは、言うまでもなく、現在も幅広い年齢層に支持されている。先日ユーミンがゲスト出演した『マツコの知らない世界SP』(4/17放送、TBS系)にも“家族で大ファン”という大学生が出演していたが、いまやユーミンは親子二世代で応援する存在となっているのだ。青春時代に多大な影響を受けた親世代の“ユーミン愛”が子ども世代に受け継がれるケースも多く、ラジオ番組『SCHOOL OF LOCK!』(2016年、TOKYO FM)に出演した際には、10代のリスナーから「母が大ファンで、小さい頃から聴いていた」「お父さんとお母さんに影響されて、3歳で初ライブ」といったコメントが寄せられていた。さらに、先日のラジオでは星野源が「聴いていないアルバムがいっぱいあるのはいかん、全部買う!」と宣言、サカナクション山口一郎もラジオでユーミンに恋愛相談するなど、新世代のアーティストから影響される若年層もどんどん増えていきそうだ。

 また、親からの影響以外に、若い世代がユーミンの存在を知る大きなきっかけとなったのは、やはり“ジブリ作品”だろう。1989年公開の映画『魔女の宅急便』では「ルージュの伝言」「やさしさに包まれたなら」、2013年の映画『風立ちぬ』では「ひこうき雲」が起用されている(すべて荒井由実名義)。『嵐にしやがれ2時間SP』(4/7放送、日本テレビ系)にユーミンが出演した際にも、松本潤が「やさしさに包まれたなら」を取り上げ、「(自分たちは)この曲でユーミンと出会った世代」とコメント。出演後のSNSでも「世代は全然違うけど、聴いたことある曲ばっかり!」「ジブリで知ってる曲だ」といった声が多数寄せられた。また、それまでユーミンの音楽に馴染みがなかった視聴者も「番組を観てベストを買った」「聴いてみたくなった」と、かなり好評の様子。「“ユーミンさん”と“さん付け”したら罰金」(『嵐にしやがれ』)、「変態です」(『マツコの知らない世界SP』)などのぶっちゃけたトークや飾らないキャラクターも、多くの支持を集めていた。

◆マツコは「バブルはユーミンが作ったと思っている」と発言

 ユーミンは1972年にシングル「返事はいらない」で荒井由実としてデビューし、翌年1作目のアルバム『ひこうき雲』を発表。洋楽から影響を日本語のポップスとして表現した本作は、音楽ファン、音楽評論家から絶賛され、新時代の女性シンガー・ソングライターとして注目された。その後「あの日にかえりたい」「守ってあげたい」などのヒット曲を生み出し、80年代後半から90年代かけて圧倒的な人気を得ることに。アルバム首位獲得数は、女性アーティスト、ソロアーティスト歴代最多の24作。この数字は、40年以上に渡って幅広く支持を獲得してきた証と言えるだろう。

 セールスだけではなく、リスナーの行動、価値観などに大きな影響を与えたこともユーミンの特徴。「卒業写真」(1975年)は当時の卒業ソングの定番となり、「中央フリーウェイ」(1976年)によって中央自動車道がドライブデートのスポットとして定着。また、バブル期を代表する映画『私をスキーにつれてって』(1987年)の主題歌「サーフ天国、スキー天国」、挿入歌「恋人がサンタクロース」は当時流行していたスキーリゾートをさらに活性化させることに。特にバブル期の1980年代後半におけるユーミンは、音楽シーンを超え、まさに時代を象徴する存在だったと言っていい。番組ではマツコ・デラックスも、「バブルはユーミンが作ったと思っている」とコメントしていた。

 さらに、作家としても才能を発揮。特に松田聖子には「赤いスイートピー」「瞳はダイアモンド」「小麦色のマーメイド」などのヒット曲を提供している。また、それまでの常識を覆すライブ演出も注目を集めた。本物の象がステージに登場したり、本格的なイリュージョンや巨大な噴水を取り入れたり。最新の技術を取り入れた大掛かりな演出は、日本のライブエンタテインメントを大きく進化させたと言っていい。特に1981年から新潟県・苗場プリンスホテルで毎年開催されている『SURF&SNOW in Naeba』は、ファン以外にも広く知られる冬の風物詩になっている。

◆止まらぬ進化、「日本のポップスのスタンダードを上書きしたい」

 バブル期に一大ブームを起こし、90年代には「真夏の夜の夢」や「Hello,my friend」、「春よ、来い」などのドラマ主題歌が大ヒット。さらにジブリ作品へ…と、80年代の盛り上がりを知らない世代にも確実に浸透しているユーミン。その最大の要因は、年代ごとに新しさと普遍性を兼ね備えた楽曲を送り出し、リスナーの年齢層を広げたことだ。2016年に発表した38作目のオリジナルアルバム『宇宙図書館』も初登場1位を獲得、累計で10.8万枚のセールスを記録(5/7付現在)。その後に行われた全国ツアーが自己最長、最多公演数だったことからも、彼女の進化が止まることなく、現在も続いていることがわかってもらえると思う。

 今回のベストアルバム『ユーミンからの、恋のうた。』首位についてユーミンは、「本当にうれしいです! 1人でも多くの人に聴いていただき、日本のポップスのスタンダードを上書きしたいと思っています」と喜びのコメントを寄せた。その言葉通り、日本のポップスの在り方を更新し続ける松任谷由実。そんな彼女である限り、これからもさらにリスナーの幅は広がっていくはずだ。
(文:森朋之)



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