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日高央&越川和磨(THE STARBEMS)が考える最適な音楽の伝え方とは?

 元BEAT CRUSADERSの日高央(ヒダカトオル)率いるパンクバンド、THE STARBEMSが、11月12日に徳間ジャパンコミュニケーションズより2ndアルバム『VANISHING CITY』をリリースした。ORICON STYLEでは、ボーカルの日高央とギターの越川和磨(ex.毛皮のマリーズ)にインタビューを実施。新作の話はもちろん、ふたりが考える音楽の最適な伝え方、楽しみ方などについても聞いた。

THE STARBEMSの日高央と越川和磨 (C)oricon ME inc.

THE STARBEMSの日高央と越川和磨 (C)oricon ME inc.

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■音楽フェスはレジャー化している

――今回のアルバムは前作に比べるとポップさが際立っている印象があります。
【日高央】 1stのときは震災後のいろいろな出来事に対する怒りだけをメインに作って、さらに俺は、BEAT CRUSADERSを連想させちゃダメだ、そこから遠いものにしようと思っていたので、メロディックな曲は基本的にボツにしていたんですよ。でも、2ndシングルのレコ発でkamomekamomeの向(達郎)君がMCで「THE STARBEMSもウチも、過去のバンドと比べられて煩わしい時期があったけど、今はそれを感謝しながら今のバンドをやれてる」って言ってくれたんですね。彼はヌンチャク(向が所属していたバンド)と比べられてすごく苦しんだ時期があったと思うんですけど、今は逆に嬉しいって、すごい深いなぁと感動して。確かにビークルがあったからこそ、今もライブに来てくれる人もいる。そういう意味では自分の武器である、ポップさやキャッチーさを無理してボツにする必要はないと気づいたんですよ。だから今回ポップなメロディーも明るめな曲調も全部入れ込みました。

――日高さんはビークル時代からいわゆるライブバンドとして活動されていますけど、最近はパッケージよりもライブに重点を置くバンドも増えていますよね。何か意識面で変わられたことってあります?
【日高】 そんなに変わっていないですね。仰ったようにもともとライブバンドとしてやってきましたから、改めてライブに力を入れていこうというよりは、引き続きやっていくぞという。
【越川和磨】 僕は音楽の本来の楽しみ方に戻ってきているのかなという気はします。CDで聴く音楽とライブハウスで“観る”音楽って、同じなんだけど全く別物で、それぞれ匂いもあれば表情も違うんです。空気やムードは、その生の空間でしかないし、そこで生まれてくるバイブスもある。自分らのビートとお客さんのビートが一緒になってノるっていうのは、原点なんですよね。

――パッケージは購入しないけど、フェスなどの“体験”にはお金を払う、というリスナーが増えているとも聞きます。
【越川】 フェスはレジャーみたいになっていますよね。
【日高】 ここ数年はフェスの細分化が始まっています。朝霧JAMなんかは象徴的で、ああやってユラユラ楽しみたい人は朝霧、アウトドアでキャンプのように楽しみたい人はフジロックへとか。そういうフェスの棲み分けは面白いと思います。だから、我々もフェス的なことをサクッとやれたらいいんですけど、まだ人気ないので(笑)。スタッフの人件費とかを考えると、バンドでフェスをやっている人はすごいなと思います。

■音楽=タダで聴けるという感覚になってしまうのは怖い

――音楽も伝える手段がいろいろ増えてますけど、日高さんは音楽を伝える手段として一番最適なメディアは何だと思いますか?
【日高】 現時点ではBlu-ray Discが一番いいと思っています。容量が大きいですから、カタログが少ないアーティストなら全アルバム、過去のMVまで入れられる。手ごろなオーディオコンポでBlu-rayが再生できるようになればラクなんですけどね。

――動画サイトなどで音楽を知る若者も増えていますが、それについてはどう考えていますか?
【越川】 キッカケとしては便利だし辞書みたいなもんですけど、聴いて消費されるだけじゃなく、そこからお金を出して購入することにつなげていかないとダメだと思いますね。
【日高】 “水道はタダではない”ということですね。水道から出るお水はタダで飲める感覚があるけど、使った分の料金は払ってるわけじゃないですか。水へのありがたみをみんな忘れちゃってるんですよ。それと同じで、“タダで聴ける”という感覚になってしまうのは怖いなと思いますよね。

――そこのバランスは難しいですよね。そういうことも踏まえたうえでのアーティストとリスナーの理想的な関係ってどんな状態だと思いますか。
【日高】 リスナーとアーティストが対等に上がっていくのが理想ですよね。入ってくる情報を受け止めるだけの子もいるけど、俺は探すリスナーだったんですよ。お互いに面白いことを突き詰めていくようなグイグイ感が持てればいいのかなと。我々もそうなんですけど、好きなバンドのライブに通っているうちに、自分自身もアーティストになっちゃう人っているじゃないですか。そういう健全さがシーンに欲しいなと思います。

(文/井桁学,編集部)

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